文化遺産となった富士山の魅力『山梨県立富士山世界遺産センター』(富士河口湖町)

山梨県

自然遺産ではなく文化遺産として世界遺産に登録された富士山。決め手となった「信仰」と「芸術」、2つの要素についてじっくり知ることができるのが、こちらの富士山世界遺産センター。所要時間わずか5分という、忙しい人のため富士山登拝体験も楽しめます!

訪問日:2022/12 /30(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

富士山のガイダンス施設

2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産に登録された富士山。その3年後にオープンしたのが今回ご紹介する山梨県立富士山世界遺産センター。もともとこの地にあった「富士ビジターセンター」に増設する形で開館しました。

建物はメインの展示ホールとなっている南館と、旧ビジターセンターでありカフェやショップが入る北館の2つの建物に分かれています。といっても、隣接しているのでそれほど気になりません。受付は向かって左の南館になります。

なお、入館料は無料!ショップでのお土産探しと合わせて、気軽に立ち寄りやすいスポットです。

静岡県にも「静岡県富士山世界遺産センター」という施設があります。非常に名前が似ているので、お間違えないようにご注意くださいね。

充実した展示空間

展示室の入口は鳥居のような富士山ゲート。富士山が信仰の対象であることを感じさせる演出です。

展示室は大きなホール状の空間。中央にそびえる巨大な富士山は冨嶽三六◯。標高1,500m以上の姿を1/800スケールで表現したもので、七色に輝きます。

吊り下げられたスクリーンでは映像作品「Fujisan 不二の山、不尽の山」を上映。約8分間のコンテンツで、毎時00/15/30/45に上映されています。雪をまとう荘厳な姿や、山で修行する様子が映された神秘的な映像です。

富士山信仰の様々なカタチ

古来より信仰の対象であった富士山。江戸時代に入ると「富士講」と呼ばれる民衆宗教が流行、富士山信仰は繁栄を極めます。館内では、そんな信仰の歴史や、どのような活動を行っていたかの様子がわかる展示がたっぷり。

信者たちは富士山を御神体として拝んだり、実際に登る富士山登拝を行ったりといった活動に加え、巡礼地や霊場をめぐる「巡礼」を行っていました。そんな巡礼の一つが内八海巡り。富士山麓の8つの湖、山中湖、河口湖、精進湖、西湖、本栖湖、明見湖、四尾連湖、泉津湖をめぐり、水行を行うというものです。

さらに、日本各地にある8箇所の水行の場をめぐる外八海巡りを行う者もいたそう。その対象となる巡礼地は、中禅寺湖、榛名湖、霞ヶ浦、諏訪湖、芦ノ湖、桜ヶ池、二見浦、竹生島(琵琶湖)・・・。北関東から琵琶湖までというかなりの広範囲!現代でも巡るのが大変なのに、江戸時代にこれを巡るというのはかなり過酷だったのではないでしょうか。

こちらは溶岩洞穴を模した展示物。噴火の際に流れ出した溶岩によって生み出された洞穴ですが、神仏が宿る場所として信仰の対象でした。樹木を焼き尽くしたあとに残る溶岩樹型は内部があばら骨のように見えることから人間の胎内に見立てられ、これをくぐる「胎内潜」という修行もおこなわれました。

芸術の世界の富士山

世界遺産として認められたのは、信仰の地であることに加えて、多くの作品に登場する芸術面への影響。中国伝来の水墨画で描かれた富士山、不死のイメージとして戦国武将の鎧や陣羽織に描かれた富士山など、設置されたモニターでは、様々な作品を閲覧することができます。

富士山の芸術ときいて多くの人が最初に思い浮かべるであろう富嶽三十六景。江戸時代の浮世絵師である葛飾北斎が描いた富士山で、こちらの「神奈川沖浪裏」は、世界で最も親しまれている富士山作品の一つです。この作品は青波と呼ばれ、赤富士と呼ばれる「凱風快晴」、黒富士と呼ばれる「山下白雨」とともに三役と呼ばれるそうです。

こちらは世界最古の富士山画といわれる「聖徳太子絵伝」。11世紀に作成された聖徳太子の生涯を描いた絵画で、右上に「甲斐の黒駒」と呼ばれる馬にまたがり富士山を飛び越える太子の姿が描かれています。

忙しい人のための登拝体験

デジタルコンテンツもいくつかありますが、中でもユニークなのは富士山登拝体験。登拝体験ってどういうことでしょうか?ディスプレイのタッチパネルでスタートしてみると・・・。

富士山の登山道を撮影した映像が流れます。これがかなりのスピードの早送りで、なんと5分ほどで山頂までの行程を見ることができるのです。富士山に登ってみたいけど時間が無い・・・そんな現代人にはぴったりなコンテンツです!

吉田ルート以外にも全部で4つのコースが登録されており、さらに凝縮されたお急ぎコースだけでなく各名所でストップして解説が楽しめるじっくりコースもあります。これから富士山に登ろうとしている方の予習にも良さそうです。

あざやかなブルーの富士山カレー

北館の2階にはFUJIYAMA CAFEが入ってます。「吉田のうどん」「溶岩からあげ」「フジヤマはんぺん」など、観光客にも嬉しいご当地感マックスなラインナップ。

名物は青い富士山カレー。水色のルーがかかったとっても色あざやかなカレーです。サラダと選べるドリンク付で、せっかくなのでブルーのフジヤマサイダーにしてみました。

ご飯が少し崩れており盛り付け失敗したのかのように見えますが、これはきっと大沢崩れを表現しているのだと思います。気になるお味は、バターとココナッツを感じるマイルドなテイスト。ナンにも合いそうな味わいです。

なお、1階のショップではレトルト販売もしています!変わり種なお土産にしてみたら、盛り上がるのではないでしょうか。

アクセスと営業情報

河口湖駅からバスで約5分。徒歩でも25分ほどでアクセスできます。

中央道の河口湖ICから約1分ほど。インターを降りて本当にすぐに入口があるため、素通りしてしまわないようにご注意ください!

開館時間 9:00~17:00 (7~8月は8:30~18:00、12~2月は9:00~16:30
休館日 年中無休 ※展示のある「南館」は第4火曜日
料金 無料
公式サイト https://www.fujisan-whc.jp/

※掲載の情報は2022年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました