絶景広がる山上とカチカチ山ストーリー『富士山パノラマロープウェイ』(富士河口湖町)

山梨県

河口湖畔にある富士山パノラマロープウェイは、おとぎ話のカチカチ山の舞台といわれる天上山(てんじょうやま)へとつながる絶景のロープウェイ。パノラマが広がる山上には絶景やぐらやうさぎ神社などの見どころも多く揃っています。

2021/11/3(水)

河口湖畔のロープウェイ

富士五湖の一つである河口湖。湖畔には旅館&ホテル、お土産屋さん、美術館、ボート乗り場など様々な施設が立ち並ぶとてもにぎやかなエリアです。

富士さんパノラマロープウェイの乗り場は、そんな河口湖畔にあります。「御坂みち」という河口湖のメインストリート沿いにあるため、観光のついてでに立ち寄りやすい立地です。

かつては「カチカチ山ロープウェイ」という名でしたが、2018年にはインバウンドも意識した「〜河口湖〜 富士山パノラマロープウェイ」という名前になりました。派手なゴンドラは定員36名の小型タイプ。カチカチ山時代の名残か、随所にウサギとタヌキの装飾が施されています。

よく見ると、ゴンドラの上には2匹のタヌキが乗っかっています。日本各地に様々なデザインで100以上あるロープウェイですが、車体の上にまで装飾があるのってとってもレアじゃないでしょうか!?

一気に天上山の山頂へ

ロープウェイは高低差219mをわずか3分で一気に登ります。進み始めると、車内では和風でテンション高いBGMとともに、自動音声の観光案内が流れてきました。

中間あたりで下りのゴンドラとすれ違い。乗ったのは黄色でしたが、もう1台は赤いカラーリングでした。

山上駅からは、広がる河口湖周辺の光景が一気に飛び込んできます!それほど高い山ではありませんが、湖とその周辺に広がる街並みの景色はなんとも爽快です!

山上の見どころ

山頂となる富士見台駅を降りると、そこにはいろいろな見どころが待っています。ここでは、たぬき茶屋、うさぎ神社、かわらけ投げ、絶景やぐらの4ヶ所をご紹介。

たぬき茶屋

みたらしのたぬき団子、黒蜜きなこのうさぎ団子、動物の形をした最中の乗ったたぬきソフト・うさぎソフトなど、カチカチ山にちなんだメニューがたくさん。絶景を眺めながらひと休みができます。

うさぎ神社

狛犬の代わりにウサギ、中央のお社内にも御神体のウサギが安置されています。参拝方法は、右の夢見兎の頭をなで知恵を授かり、左の富士見兎の脚をなでて丈夫な脚を授かります。最後にお社の中の兎さんに「こんにちは!」と挨拶するそうです・・・!

かわらけ投げ

山上ではかわらけ投げも楽しめます。鳥居に下がる注連縄に入れば良縁にめぐまれ、さらに奥にある小さな鳥居に入るとありえないほどの縁にめぐまれるそう。かわらけは2枚100円にて販売中。

せっかくなのでやってみることにしました!思うよりも力を込めた方が飛ぶそうなので、注連縄に向けて思いっきり投げてみたところ、なんと奥の鳥居に当たりました!あと少しでありえない縁にめぐまれるところでした。なお、はずれても厄払いの効果は期待できるそう。

絶景やぐら

さらに奥地へと進んでいくと、謎の構造物が見えてきます。こちらは絶景やぐらと呼ばれる展望台。不安になるほどせり出した、インパクトのある展望施設です。

目の前には大きく広がる富士山の姿。雲を被っているためその全貌は拝めませんでしたが、その存在感は絶大。古来より信仰の対象として崇められる理由を実感できます。

刺激的なカチカチ山

ところでカチカチ山のお話って、皆さま覚えておりますでしょうか?

ロープウェイ乗り場の壁には、イラストとテキストでカチカチ山のストーリーが記されており、待っている間に眺めて楽しむことができます。

昔々、ある日のこと、おじいさんは山でいたずら好きのタヌキをつかまえます。おじいさんはおばあさんにタヌキ汁を作るように頼むとふたたび山へとでかけていきました。

追い詰められたタヌキはおばあさんの命を奪い、逆に「ばばあ汁」にしてしまいます。帰ってきたおじいさんはタヌキに騙されてこれを飲んでしまいました。

事実を知ったおじいさんが悲しみに暮れているとウサギが現れ、おばあさんの仇討ちを計画。タヌキの背負った薪に火をつけ、火傷に辛子を塗り、最期は泥船に乗せて沈めてしまうのです。

私はすっかり記憶が薄れてタヌキが燃える印象しかありませんでしたが、こんなに残酷なストーリーだったのですね・・・!大人になってから見ると、いたずら好きなだけのタヌキを容赦なく汁にしようとしたおじいさんも、おばあさんを汁にしてしまうタヌキの行いも、一方的で凄惨なウサギの仇討ちもなんだか理不尽でオーバーキル。感情移入しにくいお話です。

太宰治との関連

この天上山がカチカチ山と呼ばれている理由の一つに、太宰治の影響があります。

彼は「お伽草子」にてカチカチ山を新解釈にて書き直すのですが、物語の冒頭部分で原作の内容に触れる際、「これは甲州、富士五湖の一つの河口湖畔、いまの船津の裏山あたりで行はれた事件であるといふ。」という風に記載しています。ここから舞台は天上山ではないかと言われるようになったのです。

ただし、太宰治は「婆汁なんてのは、ひどい。」「悪戯に対する懲罰としてはどうも、兎の仕打は、執拗すぎる。」といった具合に原作についてはかなり否定的な感想を述べており、太宰治版カチカチ山では、ウサギ=純粋で残酷な少女に、タヌキ=ウサギに恋する醜男へと置き換えたストーリーにて展開されていきます。

アクセスと営業情報

富士急行線の河口湖駅から徒歩15分。車の場合は中央自動車道富士吉田線の河口湖ICから約15分。駐車場は、河口湖畔の県営無料駐車場を利用します。

ロープウェイ乗車券に加えて、遊覧船や周遊バスがセットになったお得なセット券も販売していました。

営業時間 平 日:9:30~16:00
土日祝:9:00~17:00
料金 片道500円、往復900円
公式サイト https://www.mtfujiropeway.jp/

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