大迫力の御船祭を知るならココへ行こう!『漁業歴史資料館よう・そろー』(北茨城市)

茨城県

北茨城市大津町に伝わる佐波波地祇神社の「御船祭」についての展示が充実したミュージアム。実際に使用される神船や、祭の映像でその迫力を体感することができます。あんこうミュージアムや異人上陸のストーリーなど、個性的な見どころも多く、想像以上に楽しめます。

訪問日:2022/8/19(金)

漁業と歴史の資料館

古来より漁業がのまちとして知られる北茨城市の大津。江戸時代には水戸徳川家の領地であり、文献などにも漁業に関する記載が残されています。そんな大津の漁港に建てられたミュージアムが漁業歴史資料館ようそろー

漁業に使用する道具や、漁法の紹介、北茨城の歴史、北茨城のサカナなどを紹介した小さなミュージアム。

漁業や文化だけでなく、東日本大震災に関する展示もあります。3.11シアターでは、東日本大震災の被災状況を写す映像作品を見ることができるそう。(※2022年8月現在は故障中でした)

街の人へのインタビュー映像も視聴可能で、中には大津町出身のアーティスト・石井竜也さんの姿も。貴重な映像であるため、石井さん目当てのファンの方も多く訪れるそうです。

圧巻の御船祭り

入館者を出迎えるのは大きな漁船。こちらは漁業で使用していた船、ではなくこの大津町に鎮座する佐波波地祇(さわわちぎ)神社の5年に一度の祭事「御船祭り」に使用される神船。

このお祭り、かつは海上を巡遊していましたが、埋め立てによりそのコースが陸地となってしまいます。それに伴い、コース変更が余儀なくされ・・・・かと思いきや、コースを変えず、なんと陸地で船を曳く「陸上渡御」へと変化します。

船だけで7トン、神輿や神官、囃子などが乗り総重量は約10トン。普通に曳いても動かすことができません。そのため、船の左右に人々が掴まり、船体を大きく揺らします。揺らすことで船の地面との摩擦が減り、良いタイミングで一気に引っ張るそう。

写真では非常にわかりづらいのですが、この展示されている船も実際に左右に動きます!!案内してくれたスタッフさんがスイッチを操作して動かしてくれました。

館内のモニターで実際の映像を見ることができるのですが、実物はさらに激しい!!!家屋にぶつかったり、怪我する人もいるそう。岸和田だんじり祭と比べられるほどアグレッシブなお祭りなのです。

そんな激しいお祭ですが、国指定の重要無形文化財にも指定されています。さらに、現在、世界遺産への登録も進んでいるとのウワサ。次回開催となる令和6年5月2日と3日は、これまで以上に盛り上がりそうな予感です。

楽しいあんこうミュージアム

資料館の2階は、北茨城市の名産である「あんこう」を紹介したあんこうミュージアムとなっています。

ちょっぴりグロテスクなサカナですが、エラやキモなど骨以外は全て食べることのできるそう。それらの部位を「七つ道具」と呼ぶそう。かわいらしいアンコウをばらばらにして、その七つ道具を見ることができます。

あんこう料理の食品サンプルと、その作り方も展示されています。定番の「あんこう鍋」、濃厚な味わいの「どぶ汁」、つまみとして知名度の高い「あん肝」など、いろいろなメニューが紹介されています。ディスプレイでは実際の調理映像も流れており、ずっと見ていられそうです。

なんとあんこうゲームもあります。レバーを動かし魚をおびきよせ、タイミングよくボタンを押してパクっと飲み込むシンプルなゲーム。なのですが、意外とムズカシイ!私はあんこう失格になってしまいました。

知られざる大津浜の異人上陸

館内には電動紙芝居が設置されています。ここで見ることができるストーリーは「大津浜異人上陸劇場」。ペリー来航より30年も前にこの大津には異人が上陸していた、という知られざる歴史ストーリーを映した約5分の作品です。

時は文政7年(1824年)5月28日、沖を進むイギリスの捕鯨船から、小舟に乗った異人たちが大津浜に上陸してきます。

この異人たちはただちに捕らえられ、水戸藩から取り調べ隊がやってきました。筆談役を介して彼らの話をきいたところ、「クジラを追ってやってきた。食べ物と水が無いため分けてほしい。」とのこと。

侵略の意図は無いとの主張でしたが、水戸藩における水戸学では黒船は日本を狙う敵と教えられていたため、その要求は受けてもらえず・・・。続いて、ついに幕府の役人がやってきます。彼らの運命やいかに・・・?

最後まで書いてしまうと、現地での楽しみが半減してしまいますので、あえてここでストップ。どうしても気になる方は「大津浜事件」で検索すると、いろいろと情報がでてきますよ。

行ってみた感想

天心記念美術館のついでに軽い気持ちで立ち寄ったのですが、想像以上に楽しめました!

タイミング良くスタッフのお兄さんが「御船祭り」について案内してくださったのですが、これがとっても面白い。わかりやすく、ちょっとしたクイズなんかも交えており非常に充実した内容でした。

あんこうについても、異人上陸についても知らないことばかり。コンテンツは中止となっているものも目立ちましたが、それを差し引いても大満足のミュージアムでした。

見学所要時間は、ゆっくり見ても30分程度あれば大丈夫です。

御船祭りの佐波波地祇(さわわちぎ)神社もすぐ近くにありますので、合わせて参拝するのもおすすめです。

アクセスと営業情報

最寄り駅は大津港駅ですが、徒歩だと30分ほどかかります。
車の場合は常磐自動車道の北茨城IC、およびいわき勿来ICより15分ほど。駐車場は無料です。

天心記念五浦美術館や六角堂からも車で10分弱と近いため、合わせて訪問するのもおすすめです。

開館時間 9:00~17:00
休館日 水曜
料金 310円
公式サイト https://www.yo-soro.org/

※掲載の情報は2022年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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