実物大の世界の窯が大集合!『波佐見やきもの公園』(波佐見町)

長崎県

陶器や磁器といったやきものの造成に使用される「窯(かま)」。ここではレンガや土で再現された世界各地の窯を見ることができます。日本の磁器として代表的な波佐見焼(はさみやき)の歴史や技術も学べる、陶磁器系のスポットです。

2021/5/6(木)

屋外に並ぶ世界の窯

長崎県の波佐見町は、佐賀県の有田や伊万里と並び、日本を代表するやきもののまちの1つ。波佐見観光の拠点となる波佐見やきもの公園は、世界の窯が再現された野外博物館が広がっています。

レンガ積みの窯がたくさん並ぶ様子は、まるで村のよう。それぞれわかりやすい解説が添えられているので、窯について何も知らなくても大丈夫です。

世界の窯のうつりかわりを記したパネルも展示されています。案内板は全て陶板というのも、やきものの産地ならではのポイントです。

この公園では、毎年GWに「波佐見陶器まつり」が開催されています。波佐見陶器市とも呼ばれており、町内にある約80にも及ぶ窯元が出店しにぎわいを見せるそうです。

個性あふれる窯たち

不思議なカタチの窯は、ボトルオープンというイギリスで使用されていた石炭窯。まるでとっくりのような滑らかな見た目から「徳利窯」という名でも呼ばれています。

円筒状にレンガが積まれているのはキタヒヤ窯。トルコの代表的な陶器の産地であるキタヒヤ(キュタヒヤ、キュタフヤ)にて使用されていた窯です。焼き上がったやきものは上部から取り出すため、人が上に登れるようにできています。この公園では、ちょっとした展望台のような役割も。

中国で使用されていた龍窯(りゅうよう、りゅうがま)。斜面にそって長く伸びる登り窯タイプの窯で、効率良く陶磁器を焼くことができます。現地では50mにも及ぶ大型のものも存在しているそう。

陶芸の館で知る波佐見焼

園内にある陶芸の館。この2階は資料館となっており、波佐見焼の歴史や、その製法を学ぶことができます。真面目な雰囲気の博物館ですが、テキストはとても読みやすく、目で追っていくだけで波佐見焼について少しだけ詳しくなれます!

再現された絵付師の座敷。人形の絵付師が筆を握っているのですが、なんとこの人形動きます!!佐渡島の「佐渡歴史伝説館」や栃木の「塚田歴史伝説館」と同じタイプのハイテクロボットで、かなりリアルな動きをします。

陶磁器の美術館や博物館に行く際は、陶器と磁器の区別を知るだけでも内容への理解が深まります。様々な違いがありますが、一番大きな点は材料。「陶器(写真左)」は土の粘土から作られていますが、「磁器(写真右)」は石の粉から作られています。

波佐見焼の歴史

長崎県波佐見町で作られる陶磁器・波佐見焼。その歴史は古く、安土桃山時代に文禄・慶長の役の際に朝鮮半島から連れてこられた陶工たちが、窯を開いたのがはじまりとされています。

その際に、磁器生産の技術が持ち込まれ、白磁、染付、青磁などが生産されていきます。波佐見では特に草花などの文様を彫り出した青磁が多く作られていました。高度な技術とその美しさから非常に高価なものとして、お金持ちから人気を博します。

江戸時代の半ば頃になると、窯の規模が巨大化。それまでの高級志向から一変し、安い磁器を大量生産できるようになります。そのおかげで一般庶民でも購入することが可能となり、日本中に広く普及していきます。特に茶碗は「くらわんか茶碗」と呼ばれ、多くの人々に親しまれてきました。

有田や伊万里も同様ですが、波佐見焼の歴史もまたスタートから磁器であったというのが最大のポイント。

この磁器の登場というイノベーションによって、陶器の産地は大ピンチを迎えていました。詳しくはコチラの記事にまとめてあります。

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アクセスと営業情報

JR大村線の川棚駅前の川棚バスセンターからバスで25分ほど。車の場合は西九州自動車道の波佐見有田ICから車で5分ほど。

開園時間 見学自由 ※陶芸の館は9:00~17:00
料金 無料
公式サイト https://www.town.hasami.lg.jp/kankou/meisho/1284.html

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