海に浮かぶ爽やかな戦争遺跡『片島公園 魚雷発射試験場跡』(川棚町)

長崎県

海軍の町であった佐世保近くの片島半島には、魚雷発射試験場をはじめ、いくつもの軍需施設が造られていました。現在でも多くの遺構が残されており、自由に見学することができます。周辺はキレイに整備されているため、特別な装備の不要、気軽に訪問することができる物件です。

2021/5/5(水)

海中にそびえる戦跡

海に向かって伸びるコンクリートの橋。その先に何か建物の跡のような廃墟がそびえています。

ここは、かつて佐世保鎮守府が開庁した際に、佐世保海軍工廠や三菱長崎兵器製作所で製造した魚雷の発射試験をするために設置された魚雷発射試験場跡

ここに持ち込まれた魚雷は実際に発射され、動力の確認や速度計測が行われていたそう。ここで合格となった魚雷は佐世保鎮守府へと送られていきました。魚雷の試射なんて非常に物騒な気がしますが、火薬は抜いていたので爆発することはなかったようです。とはいえ、民間の旅客船にぶつかる事故も起こっていたそう。

歩いて渡ってみたくなりますが、残念ながら立入禁止。ぱっと見た限りではかなりしっかりとしているように見えますが、建造物の老朽化は素人目にはわかりにくいものです。

穏やかな海に立つ構造物

さらに奥へと進むと、探信儀領収試験場跡「探信儀(たんしんぎ)」というのは、大日本帝国海軍が開発していたレーダーのことで「領収試験」は、工場から納められた品を実際に動かして確認することかと思います。言い換えるなら、”レーダー受け入れテスト場”ってことになるでしょうか。

波穏やかな静かな海に建つ姿は、アート作品といっても差し支えないほどの存在感。穏やかな表情で静かに佇んでいます。

現在は離れ小島状態ですが、かつては橋が架かっていたのでしょうね。

日の光が射し込む遺跡

周辺には、他にもいくつか遺構が遺されています。その中でも一番大きい建物は、空気圧縮ポンプ室跡。ここは特に柵なども設置されていないため、自由に中に入ることができます。

屋根の無い壁だけの建築物で、日当たりは抜群、風通しも最高な優良物件です。太陽の光がさんさんと降り注ぐ中で、植物たちが元気に育ち、コンクリートの無機質な世界を彩っています。葉が茂る新緑の季節にこそ訪れたい場所です。

会いに行ける廃墟

廃墟や戦争遺跡というのは、うっそうと茂る森の中で静かに眠っていることが多いです。しかし、ここは海辺という、非常に開けた場所にあります。

また、2015年に片島公園として遊歩道や駐車場、案内板が整備されました。雰囲気も良くとっても訪問しやすいため、カジュアルに訪れることができます。

私が訪問したときは、なんとウエディング撮影も行われていました。ウエディングドレスとタキシード姿でも訪れることができる、それくらい行きやすいスポットなのです。

さらに、映画『バケモノの子』ではここがモデルとなった描写もあったり、ミュージックビデオの撮影なども行われているそう。今後も様々な利用がされていくような気がします。

この場所の淀みの無い雰囲気は、風通しの良い立地だけでなく、「新しい役割を得て人が多く訪れるている」というところにあるのかもしれません。

アクセスと駐車場情報

JR大村線の小串郷駅から車で6分、川棚駅から車で10分ほど。小串郷駅からは徒歩30分ほどなので、気合いで歩くこともギリ可能です。

片島公園の駐車場は2ヶ所あります。以下のGoogle Mapに示した場所だと魚雷発射試験場跡は目の前。歩きたくない方、また夜間や早朝に訪れるときはこちらがおすすめ。

こちらが駐車場の写真。魚雷発射試験場が見えている(写真右奥)ので、30秒もせずにアクセスできます。

ここよりちょっとだけ東側にあるもう一つの駐車場からだと少し歩きます。といっても数百メートルなので大した距離ではありませんが、お手軽さではコチラの方が圧倒的におすすめです。

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