明治時代を伝えるレトロな洋風建築『札幌市時計台』(札幌市)

道央

市民に愛される時計台。その印象的なデザインは、モチーフとしても取り入れられています。多くの観光客が訪れる人気スポットですが、がっかりスポットとの声も。時計台の魅力とがっかりされる理由について考察してみました。

2015/2/11(水)

札幌市街地を代表する観光スポット

札幌の市街地ど真ん中にある札幌市時計台。まっしろな壁と赤い屋根、そしてその上に乗った時計がレトロでかわいらしい木造洋風建築です。

札幌市時計台という名で広く親しまれていますが、正式名称は「旧札幌農学校演武場」。“Boys, be ambitious like this old man”のフレーズでおなじみのクラーク博士が作った札幌農学校の演舞場として、1878年(明治11年)に設立されました。

演舞場の名が示す通り兵式訓練がおこなわれたり、札幌農学校の入学・卒業式が行われたりと様々な利用がされてきました。戦時中は陸軍に接収されますが、終戦とともに解除。その後は永久保存が決定され、復元・改修が進められます。現在では、札幌を代表する観光スポットとして人気を集めています。

歴史を感じるレトロな建築

館内は思ったよりも広々。合掌構造で支えられる屋根は、柱のない開放的な空間を作り上げています。

椅子が並ぶ様子は教会のようでもあります。腰かけて休んでいる方も多く、ちょっとしたひと休みスポットになっていました。

写真ではわかりづらいのですが、ガラス窓から外を覗くと少し歪んで見えます。これは、古いガラスである証。昔のガラスは制作時に空気が入り込んでしまうため、光が屈折してしまうのです。

 

実はスゴイ時計

時計台の時計は、特殊なポイントがあります。それは電気を使用していないということ。

週に2回、おもりを人の手で巻き上げることで、それを動力として時を刻んでいます。この巻き上げ作業は、重い木箱の重りを2時間かけて巻き上げるというかなりの重労働だそうです。

館内には、時計台に設置されている時計と同じハワード社製の時計機械が置かれており、その仕組みが良く見えるようにガラスに包まれて展示されています。毎朝9:15には、時計機械の仕組みの解説が行われているそうです。

がっかりスポット?

札幌市時計台は、高知県のはりまや橋・長崎県のオランダ坂と合わせて三大がっかりスポットと呼ばれることがあるそう。

いくつか理由が考えられますが、まず挙げられるのが立地。広大な草原の真ん中に建っていたらとってもフォトジェニックなのですが、時計台があるのは開発が進んだ市街地。高いビルに囲まれているため、こじんまりとした地味な印象となってしまっています。
2018年には時計台の後ろに高さ131mのさっぽろ創世スクエアが完成し、さらに囲まれ度がアップしました。

また、その魅力を知るのに予備知識が必要な点もあるかと思います。内部に入っても、歴史を知らないと少々わかりにくいかな、といった印象がしました。がっかりしないためには、事前に少し調べていくのがおすすめです!

立地については、過去に移転案が出たこともあるそうです。しかし、市民からは「ここにあることに意味がある」という意見が多く、取りやめとなりました。

アクセスと営業情報

JR札幌駅南口から徒歩10分、すすきの駅から徒歩10分、地下鉄東西線・南北線の大通駅からは徒歩5分と、非常にアクセスが良い場所にあります。
市街地観光の合間や、各所へ向かうバスの時間調整に訪れることも可能です。

開館時間:8:45~17:10
休館日:1/1~1/3
料金:200円

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