あまりにも強烈なインパクトの人形館。一歩足を踏み入れると、優美な洋館のいたるところに人形が隠れている不思議な世界が広がります。悪夢とも感じ取れる異空間は、なぜか居心地が良い・・・。
坂出にある人形の館
突然ですが、『人形の館』ときいてどんなイメージを浮かべるでしょうか?
華やかでかわいらしいお人形さんがずらりと並ぶメルヘンなイメージが浮かんだりするのではと思いますが、今回訪れた四谷シモン人形館はそれとは大きく離れた恐ろしいスポットです。このように書くとびっくりお化け屋敷みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、高い芸術性も感じられる不思議な空間なのです。
そんな四谷シモン人形館は、坂出駅から徒歩10分ほどの商店街の中にあります。建物の前では怪しいキリンさんがこちらを覗いているのですが、入り口は反対側。一度商店街を出て回り込む必要があります。
受付の女性はとても明るく元気な方で、勝手に持っていたおどろおどろしいイメージはいきなり大きく崩れました。最初に館内の案内や四谷シモンさんのことについて少し解説してくれるので、知識が無くても大丈夫です。
出迎えてくれる人形たち
館内へ進むと、薄暗い中に堂々とかまえる大男が出現!ここで悲鳴を上げてしまうと、この先は耐えられないかもしれません。
こちらは『ルネ・マグリットの男』。シュルレアリスムの画家として知られるルネ・マグリットの絵画をモチーフにして作られた人形で、大阪万博にて展示されました。薄暗い部屋に15体並び、その中を赤いレーザービームが行き来していたそう。
続いて現れる少年の人形。こちらに気が付いているのか、ばっちりカメラ目線を決めてくれています。
飛び出しているのは黒く焦げた娼婦のような人形。雑居ビルの火災が脳裏をよぎりました。
隠れた人形を探せ
この人形館、自由にドアや戸棚を開けて良いのです。怪しいところを開けてみると・・・・
直立不動であったり、座っていたりと、様々なポージングで過ごす人形たちの姿を見ることができます。
心臓ドキドキの人形探し。最初は怖くてしょうがなかったのですが、人形は何もしてこないとわかると、徐々に心が落ち着いてきます。「次はどんな人形が出てくるかな?」と楽しくなってきました。
重厚な扉に包まれたウォークインタイプの金庫を開けると、どこか悲しそうな表情をした人形の姿。もし外から押されてドアを閉められたら、この人形たちと狭い空間に閉じ込められることになります!間違いなく人形は話しかけてくる・・・・そんなことを妄想していると、人形の表情が笑っているように見えてきました。
四谷シモンとは何者?
この館のテーマとなっている四谷シモンとはいったい何でしょうか?
四谷シモンというのは人の名前。アングラな劇団において、男性でありながらも女優として活躍した俳優でした。館内の階段には、八端十字をかかげた天使とともに、女形時代の姿が映し出されています。
球体関節人形「シモンドール」で国内外に知られる人形師でもあります。彼が作った人形を集めて展示しているのが、こちらの四谷シモン人形館なのです。
館内には、四谷シモンさんの名前の由来ともなったジャズシンガー・ニーナシモンの音楽が流れており、こちらも安らぎをもたらしてくれます。
舞台となる洋館「淡翁荘」
この人形館は、さぬきうどんのつゆでもお馴染み鎌田醤油の本社に併設されています。
こちらは淡翁荘という建物で、もともと鎌田醤油の鎌田勝太郎が迎賓館として建てた洋館。寄木細工の床、布張りの壁、左官の腕が光る天井の細工・・・明治末期から大正初期にかけての作品とのことです。
四谷シモンと鎌田醤油は特に縁もゆかりもなく、館長の趣味で集めたものだそう。
一見するとB級スポットのようですが、その実とても綺麗でアーティスティックな空間でした。
アクセスと営業情報
坂出駅から徒歩6分ほど。坂出駅は高松駅から電車で15分ほどとすぐ近く。高松を拠点としている方でも気軽に訪問できます。
開館時間 | 10:00~16:00 |
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休館日 | 月~木曜 |
料金 | 500円 |
公式サイト | https://kamada-museum.jp/doll |
※掲載の情報は2023年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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