パーキングエリアから入る静かな離島『与島』(坂出市/塩飽諸島)

塩飽諸島

瀬戸大橋を支える塩飽(しわく)諸島の島の一つ。パーキングエリアが設置されているため、そこに車を停めて歩いて島内へ降りることができます。静かな港の集落は、ドライブの合間でのんびり散歩するのにぴったり。

2020/9/19(土)

PAから行く島

瀬戸大橋の架かる与島(よしま)。橋が架かっているため車で気軽にアクセスできる離島に見えますが一般車は島内へ降りることができません。

高速道路上に与島PAが設置されているため、そこに車を停めて歩いて降りることができます。こんなアクセス方法の島、日本でここだけではないでしょうか。

ちなみに、お隣の岩黒島・櫃石島はPAが無いため、車を停めることができません。こちらは、与島PAに車を停めてバスで行くというさらに変わったアクセスの島です。

エレベーターで降り立つ瀬戸大橋の島『岩黒島』(坂出市/塩飽諸島)
瀬戸大橋が架かる塩飽(しわく)諸島の島。車で通り抜けることはできますが、島民以外の車は島に降りることは不可。唯一の交通手段は、なんとエレベーター!

島内へ降りる3つのルート

いざ与島PAへ来たものの、島への入口がわかりません!

案内板などあるかと思ったのですが、全く見当たらず。与島PAは広く、闇雲に歩いて探すと体力を奪われるので観光案内所で聞いてみました。案内所では、丁寧に道を教えてくれ、散策マップももらえます。与島島内に行く方は、立ち寄りおすすめです。

さて、与島PAから島へ入るルートは3つあります。

①展望広場の奥
②バス停近くの階段
③第2駐車場へ車で行く

今回は、一番わかりやすそうな気がした①でアクセスすることにしました。

細道を越えて島内へ

展望広場の奥にある遊歩道へ。この築山展望台を右から後ろへまわると入口があります。

突き当りには「関係者以外立入禁止」の看板が見えます。「え、立ち入り禁止?」と焦りますが、道はその看板の手前。右手に見える細い切れ目がそれです。

にぎやかだったPAが嘘のように、人の気配の全く感じない道にドキドキ。細く草木が生い茂っておりますが、きちんと舗装されているため意外と歩きやすい。3分ほど歩いたあたりで、島の集落が見えてきました。

迷路のような集落

集落内は細い道が続きます。車が通れないような道が続く光景は離島ならでは。

こちらのテーブルのようなものはかつての共同井戸。水道設備が整うまでは、ここから水を採って生活していたそう。フタ代わりに乗せられているのは、なんとノコギリの刃!与島は採石業で栄えていた時代があり、そのときの名残を感じます。

海沿いを歩いていると、道に唐突に現れるプロペラと祠。ポジション的に海上安全のご利益がありそうですが、詳しいことはわからず。プロペラはまるで扇風機のように設置されていますが、おそらく船のスクリューではないでしょうか。

灯台の小島「鍋島」

集落を歩いていると、すぐに海に出ます。視界に入るのは、大きく伸びる瀬戸大橋。こちらは与島から三つ子島まで繋がる北備讃瀬戸大橋です。

港から延びる堤防の先には、鍋島という小島があります。この鍋島には、「日本の灯台の父」と称されるブラントンによって設計された鍋島灯台が建っています。明治5年に造られたもので、瀬戸内海で最も古い灯台だそう。

釣り人たちの合間を縫って堤防を歩いてみたのですが、島内に続く階段はフェンスで閉ざされており立入禁止。年に一度、灯台の日(11/1)にのみ公開されているそうです。

なお、案内版にはQRコードが貼られています。灯台カードを集めている方は、ここでダウンロードすることもできるようです。

海辺の寺院「法輪寺」

十一面観世音菩薩を安置する真言宗醍醐派の寺院。港の近くにある石段を登っていきます。立派なお堂が建っており、海辺のロケーションがとても清々しい。

このお寺は高台にあるため、港周辺の集落を広く見渡せます。密集した瓦屋根は、まるで波のようです。

廃モノ好きにささる「浦城バス停」

与島の島内には、香川県坂出方面へむかうバス路線「琴参バス 瀬戸大橋線」の停留所が複数あります。

その中でも、港近くにある浦城(うらじょう)バス停は、まるで廃墟のような建物が建っており、インパクト抜群。全面サビついたそれは廃墟の趣きですが、こちらは廃船を利用した現役の待合室。

自由に入ることができる内部には、ノスタルジックなマッサージチェアなどレトロな雰囲気が漂います。他所から来た人には物凄い違和感なバス停ですが、島で暮らす人にとっては日常に溶け込んだ普通の光景なのでしょう。

浦城バス停のすぐ隣には、海の上に建つ小屋が。こちらは与島検潮所

検潮所というのは気象庁が設置した潮位を観測し、記録するための施設。似た名前の施設で「験潮所」という施設もありますが、こちらは海上保安庁によるもの。さらに「験潮場」という施設もあり、こちらは国土地理院の管理施設。非常にややこしいのですが、どれも機能はほぼ同じらしいです。

石段の先にある「天津神社」

与島散策で見つけた唯一の神社が天津神社。木々に包まれており秘境感がありますが、集落から与島PA方面へ向かう県道274号線への通り道でもあります。

少々急傾斜な石段を登った先には、離島とは思えない立派な社殿が建てられています。天津神を祭っているそうですが、天津神は高天原にいる神々の総称なので、かなり範囲が広いです。

ついでに与島PAへ

約1時間ほどで散策終了、車を停めている与島PAまで戻ってきました。

与島PAは展望台も複数備えており、瀬戸大橋や瀬戸内海に浮かぶ塩飽(しわく)諸島の島々をぐるっと見渡すことができます。お土産屋さんはもちろん、フードコートやうどん屋さんも入っており休憩場所にピッタリ。

更に、夜になると坂出市や宇多津町といった香川県の街並みの夜景がとってもキレイ!岩黒島へ早朝のバスを利用するためここで車中泊したのですが、残暑厳しい9月末でも涼しい海風が吹き、とても快適に過ごすことができました。



瀬戸大橋が架かる島の中でも、バスを利用しないと行けない岩黒島や櫃石島に比べるとずっとアクセスしやすい与島。

しかし、他の島に比べて島内の観光情報の少なさが非常に気になります。与島PAでもらえる観光マップはポイントの名前が記されているだけで、詳細な解説はありません。また、観光案内を記載したWebページも見当たりません。
もう少し島について知りたい場合は、島の人に直接聞くしかないのでしょうか。

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