現代美術を中心としたギャラリータイプのアートミュージアム。常設展示はなく、期間に合わせた展覧会を開催しています。今回訪問した際に開催されていたのは「ジャッド|マーファ展」。装飾や説明がほとんどないミニマルな作品を鑑賞して、その楽しみ方を考えてみました。
現代美術のギャラリー
ワタリウム美術館は、国際的なコンテンポラリーアートを多く展示する私設美術館。建築設計はスイスの建築家マリオ・ボッタによるもの。御影石とコンクリートのストライプが印象的な姿です。

和多利志津子によって開設された「現代美術画廊ギャルリー・ワタリ」を前身として、1990年に開館しました。

2〜4階の3フロアが展示室。いずれのフロアも小規模ですが、吹き抜け空間も多く、閉塞感はありません。

ここは常設展示作品はなく、企画展を開催するギャラリータイプの美術館。訪問時はこちらの展覧会が開催中でした。
会期:2026年2月15日(日)- 6月7日(日)
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日
入館料:大人 1,500円 / 大人ペア 2,600円
ドナルド・ジャッドは、アメリカの現代アーティス卜。ミニマルアートを代表する芸術家の一人です。
変遷していく作風
ジャッドが手掛けた絵画作品《無題》。屋上庭園のように見えるスペースが描かれた抽象的な絵画。ぼんやりと樹木が感じ取れますが、何の木なのかといった情報は見当たりません。

平面における有機的な曲線に飽きてしまったことから、3次元へと向かったジャッド。物体そのものを空間に表す立体作品へと転向していきます。
壁に設置された立体作品、タイトルはこちらも《無題》。アルミニウムを塗装した抽象的な作品です。「積み重ね(スタック)」と呼ばれる、ジャッドの代表作シリーズです。

黒は輪郭が曖昧になり、白は純粋主義的に見えてしまうことから、対象を明確に見せる唯一の色として赤い色を好んだそう。

赤一色となっていくかと思いきや、青い色の立体作品も登場しました。後年、アルミニウムを用いてマルチカラーの作品を制作するようになったのは、ドイツのRALカラーチャートに基づいたスイスの焼付塗装が、アメリカの塗装よりも明快な色彩を持っていたために可能になったのだそう。

町に広がるインスタレーション
展覧会の名称にもなっているマーファというのはテキサス州にある町の名前。
作品の周りを取り囲む空間を、作品そのものと同じくらい重要視していたジャッド。美術館では制作場所から切り離されてしまい、展覧会においてもしばしば不適切な形で展示され、展示期間も短かったことに違和感を覚えていたそう。適切かつ恒久的に配置できる場を探していた彼がたどり着いたのが、このマーファだったのです。
ジャッドは1970年代にニューヨークを離れて、この町に移り住みます。陸軍基地跡の廃屋を含む砂漠の土地を買い取り、制作の場として作り替え、恒久的な展示スペース「パーマネントインスタレーション」を作りあげていきました。
5階の展示室では、ドローイングや写真、そして特別に制作された映像でその壮大なプロジェクトを紹介しています。

壁一面に映されるのは十字扉のCG。「アリーナ」の屋外に設置された、中心を軸に回転する扉。その動く様子がCGで再現されています。

他にも、ジャッドはマーファにてパーマネントインスタレーションを25箇所以上も創出したそうです。「私にとって、ここは何もない田舎ではない。世界の中心なんだ。この土地が好きで、ここにいるのが好きなんだ。」というのは、彼の残したコトバ。このマーファという土地に、何か感じるものがあって選んだのでしょうね。
行ってみた感想
そんなわけで、じっくりと楽しんできた「ジャッド|マーファ展」。作品の解説は多数設置されていましたが、作品自体は多くが《無題》。そして、作品そのものに装飾や情報がほとんどないミニマルなアート。マーファについての展示も、ジャッドがマーファに感じた魅力などは見当たらず・・・。そんなわけで、頭で理解しようとすると、非常にとっつきにくくなる展覧会でした!
作品の多くは間近で見ることができます。また、美術館の構造上、上から見られるポイントも。作品を見る角度を変えてみると、作品の印象が少し変化してきました。


空間を大事にしていたというジャッドの作品であるからこそ、展示室全体という空間を含めて見てみるのも面白そう。作品がない空っぽの展示室をイメージしたあとに、作品の存在でどれくらいか変わるか考えてみたらどうでしょうか。作品単体ではなく、空間を変化させる装飾として認識してみると、見え方が一気に変わってきました。

あれ、気がつけば無意識に楽しみ方を探していますね!もしかして、これがミニマルアートの魅力だったりするのでしょうかね?
ボリューム満点なショップ
この美術館にはミュージアムショップがあります。美術館の規模的に数点の商品が並ぶ小規模なスペースかと思いきや、1階と地下を使っておりなかなかのボリューム。

ヤノベケンジ、キース・ヘリング、アンディー・ウォーホルなど、現代を代表するアーティス卜のグッズがたっぷり!ポストカードも現代アート、写真家、建築など、様々なジャンルで膨大な量を取り揃えています。

様々なグッズが盛りだくさんで、ミュージアムショップというよりは、なんだか違う店に来たみたいな気分になりました。
さてさて、最後の1枚はこちら。2階から3階へ移動する際に利用する屋外階段。

この踊り場にあるベンチ、めっちゃ居心地良いです!ちょっと奥まった感じも落ち着きますし、眼下を歩く人を眺められるのも良いです。またいつか別の機会に訪れたい場所です。
アクセスと営業情報
東京メトロ銀座線「外苑前駅」3出口より徒歩7分
東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」A2出口より徒歩9分
東京メトロ副都心線・千代田線「明治神宮前<原宿>駅」5出口より徒歩13分
東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目駅」1出口より徒歩15分
JR山手線「原宿駅」竹下口より徒歩14分
JR中央線「千駄ヶ谷駅」より徒歩17分
| 開館時間 | 11:00~19:00 |
|---|---|
| 休館日 | 月曜 |
| 料金 | ※展覧会により異なる |
| 公式サイト | http://www.watarium.co.jp/ |
※掲載の情報は2026年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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