東京駅から徒歩5分、京橋のオフィス街に立つアートミュージアム。ピカソやモネといった著名な画家をはじめ、近現代を中心とした様々な作品を収蔵しています。ガラス張りで開放感あふれる空間や、色づけられた展示室も見どころです。
タワー型の美術館
アーティゾン美術館の前身は、1952に開館したブリヂストン美術館。ブリヂストンの創業者である石橋正二郎のコレクションを展示するために、ブリヂストン本社ビル内にてオープンしました。
その後2015年には、ビルの建て替えに伴い休館へ。2019年7月に、新しく完成したミュージアムタワー京橋内にてアーティゾン美術館として再オープンを果たしました。
ビルの3階が受付、4〜6階が展示室となっております。まずはエレベーターで6階に上がり、エスカレーターで降りながら展示を見ていくのが順路。
3フロアに渡る吹き抜け部分は、ガラス張りで広々とした空間となっています。ベンチが設置されたビューデッキも設置されており、開放的な気持ちで美術鑑賞を楽しむことができます。
アーティゾン美術館の特徴
都内には多くの美術館がありますが、ここアーティゾン美術館は他の施設と比べて、いろいろと異なるポイントがあります。
①個性的な展示室
壁の色が赤く染まっていたり、ティファニーブルーだったりと、ちょっとした演出が施されています。規模の大きい美術館ですが、単調にならないためか、あまり疲れずに鑑賞することができます。
②学べる美術館
「キュビズム」、「デュシャンとニューヨーク」「瀧口修造と実験工房」といった具合にセクションがわかれており、それぞれ入口に貼られた案内を読んでいくと、作品だけでなく美術史の流れも学ぶことができます。また、専用アプリをダウンロードすれば、作品の音声解説も聞くことができます。知識を深めることができる美術館です。(アプリ利用予定の方は、スマホのイヤホンをお忘れなく)
③写真撮影OK
このアーティゾン美術館、なんと作品の撮影が可能となっています。入館時に、撮影マナーについて書かれたカードがもらえるのですが、アンリ・マティスの作品がデザインされておりとってもおしゃれ。(※一部撮影禁止マークがあるものもあります。)
日本・西洋の近代絵画
ここからは、展示作品の一部をご紹介。
白とブルーを基調とした透き通るような作品。留学先のフランスで描かれた作品で、部屋を借りていた農家の娘さんをモデルにしています。繊細でリアルに映し出されていますが、人物の脚の角度や椅子の足組は少し歪んでいるようにも見えます。
裸の人々が海から陸へ上がってくる様子が描かれた作品。皆モリを片手に、大きなサメを担いでいます。友人から聞いた千葉県館山の漁村で行われた大漁陸揚げの話からイメージを膨らませて描いたとのことですが、武器を手に2列縦隊にて歩く男たちの姿は、なんだか軍隊を表しているような気もします。
まるで写真のようなリアリティが詰まった油彩画。静かに黒光りするピアノには、演奏者の指先がしっかりと写り込んでいます。
燃えるような夕陽と、それを映し出す水面が幻想的な作品。間近で見ると筆使いを見て取ることができるのですが、空の部分はまるで筆が踊っているかのように自由に動き回っています。
ビビッドな赤い服と紫の椅子が印象的。よく見ると人物の影にも赤が使用されており、独特な色彩感覚を感じ取ることができます。ちなみにサルタンバンクというのは大道芸のことです。
“青騎士”の作品
青騎士(The Blue Rider)というのは、ドイツミュンヘンに生まれた芸術家グループ。第一次世界大戦の影響もあり、活動期間は1911年からわずか3年間ほどでしたが、現代美術の先駆けとも呼ばれる大きな影響を残しました。
青騎士の中心人物であったのがこのヴァシリー・カンディンスキー。非常にカラフルな絵画の上を、黒い線が自由に動く。様々なモチーフが集まっているように見えますが、それぞれが何か特定できません。物を描くことを放棄した、まさに抽象画と呼べる作品。(こちらは1924年という青騎士での活動より後、バウハウスにて教官を務めていた時期のものです。)
ヴァシリー・カンディンスキーとともに青騎士を結成したメンバーであるパウル・クレー。まるで象形文字のように描かれた人物と生き物による、不思議な作品。極限まで単純化されているように見えますが、ハート型の心臓やくるんとまるまっている線に遊び心も感じます。
まるでセロファンを当てたような、光を感じる色彩がとってもあざやか。どことなくメルヘンを感じさせるタイトルとは裏腹に、噛み合わない平行線が少しもどかしい気持ちになります。
ニューヨークダダ
1910年の半ばにおこった、規制の常識を否定する芸術運動ダダイズム。ニューヨークでもマルセル・デュシャンを筆頭に、フランシス・ピカビア、マン・レイといった芸術家が活躍しました。
デュシャン自身の作品をミニチュアに複製してトランクに詰めた携帯できる美術館。そこには、モナリザにヒゲを生やした「L.H.O.O.Q」や、ただの小便器「泉」といった、彼の代表作もしっかりと詰まっています。
古代に使用されていた天体観測機器をモチーフとした作品。一本だけ取り付けられた横棒には、画家が風景画を描くときに使用するレンズが取り付けられています。覗き込んでも壁しか見えませんが、裏側にまわってみると小さくなった展示室や美術鑑賞する人々の姿が見えてきます。
展示作品は多く見ごたえたっぷり。そして館内はかなりキレイ。展示室も広々としており、ところどころに休憩用の椅子も多くあるため、とても快適に鑑賞できます。前述の通り学べるポイントが多く、なんだか「美術博物館」のような感覚でした。滞在時間は、ゆっくり目に見て2時間ほどでした。
アクセスと営業情報
東京駅、京橋駅、日本橋駅から徒歩5分ほど。東京駅から向かう場合、八重洲地下街を通るのがおすすめ。一番奥の24番出口を使用すれば、美術館のすぐ目の前に出ることができます。
また、2021年8月現在、チケットは日時指定制となっております。
1日4つの時間帯に分かれていますが、入れ替え制ではないため、何時間滞在しても大丈夫。また、オンラインチケットは希望の時間帯終了10分前まで受付しております。美術館に向かう途中に予約しても間に合うのが嬉しいです。(ただし、支払いはクレジットカードのみとなります。)
また、ローソンチケットにて購入することもできます。ただし、こちらは希望の時間帯がはじまる10分前に販売終了となります。オンラインチケットより締切が早いのでご注意。※時間帯に空きがあれば、当日美術館受付でも購入可能なようです。
開館時間 | 10:00~18:00 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 1,200円 |
公式サイト | https://www.artizon.museum/ |
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