東京理科大と科学の歴史が学べる『近代科学資料館』(新宿区・飯田橋)

東京都(23区)

東京理科大学の神楽坂キャンパスにある大学博物館。近代科学技術の発展の歴史を学ぶことができるミュージアムです。少し難しめですが、他の施設にはない独自の展示を見ることができます。

訪問日:2024/3/23(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

東京理科大学の博物館

飯田橋にある近代科学資料館は、東京理科大学が運営する大学博物館。予約不要で、誰でも無料にて見学することができます。

外堀通りにある不思議なモニュメントは坊っちゃんの塔。夏目漱石の小説『坊っちゃん』の主人公が東京理科大学の前身である東京物理学校卒業生であることに由来しているそうです。「鏡映対称な一対の五面体ペンタドロンを組み合わせている」とのことですが、なかなか難しいです。

坊っちゃんの塔から細い道を進むとすぐに見えてくるのが近代科学資料館の建物。明治時代の洋風建築のような外観は、1906年に建てられた東京理科大学の前身「東京物理学校」の校舎を復元したものであるそう。

大学開設と激動の歴史

まずは東京理科大学のあゆみから。1881年の東京物理学校創立からはじまる歴史が年表で紹介されています。歴代学長の専門分野や、研究の紹介も続きます。

モニターでは、東京物理学校創立歴史が語られます。激動の明治や、戦争がおこった昭和など、時代と合わせて紹介されているため、歴史が好きな方はとっても楽しめる内容です。

奥に広がる「奎運(けいうん)ホール」は、吹き抜けの空間。鮮やかなステンドグラスは、建学の精神「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」を象徴しているそうです。

理科大ならではの展示

奎運ホールでは大学にちなんだモノが展示されています。こちらの水準器は、開校当初より保存されていたもの。明治初頭につくられた貴重な国産の科学実験器です。

始業、終業を知らせるために鳴らせていた振鈴。これとは別にサイレンも使用されていましたが、戦時中は空襲警報と間違われたり、戦後は停電などで利用できなかったりしたため、この鈴が重宝したそう。鳴らしてみると、けっこう大きな音がします。

こちらの凄みのある箱は屋井乾電池。世界に先駆けて作られた国産の乾電池であり、屋井先蔵という人物によって発明されました。当時の時計はゼンマイ式で、時計ごとに時刻がズレているという問題を抱えていました。屋井さんは、東京職工学校への入学試験当日、そのズレのせいで遅刻とみなされ受験できなかったという自身の体験から一念発起。正確な連続電気時計を製作、さらに乾電池の開発を達成しました。

難易度高めな科学資料

この博物館の名前の通り、近代科学資料も多数展示されています。

このホイートストンブリッジは、1843年にイギリスのホイートストンが考案した抵抗測定装置。既知の3つの抵抗と調べたい抵抗を接続して電気的平衡状態をつくることで未知抵抗を計測することができます。

ちょっと難しいです!!!

この常伝導電磁石は、昭和25年ごろ戦時中ドイツから輸入した高純度鉄によって 作られた電磁石の一号機。高性能で強磁場が得られ、核磁気 共鳴の研究成果が昭和28年の理論物理国際会議で発表され、その後も電子物性測定を通して多くの修士・博士 研究の一端を担ったそうです。

やっぱり難しいです!!!

と、このように解説は難しめ。ある程度知識が無いと「おおおっ!」とはなれない気がしますね。

こちらは、発明王ことエジソンが発明したエジソン蓄音機。音声の振動を錫箔に刻みつけて録音する装置です。1889年第4回パリ万博で注目を集めた出展品であり、エッフェル塔に次ぐ集客を誇ったそう。

これはわかりやすいですね!

大村智の偉大なる功績

資料館の2階は大村智記念展示室となっています。ここに展示室があるということは有名な科学者の方だとは思うのですが、いったい何者なのでしょうか?

大村智(おおむら さとし)さんは、2015年に日本で3人目のノーベル生理学・医学賞を受賞した人物。その主な理由は「線虫感染症の新しい治療法の発見」。500種類以上もの新しい化合物を発見、その中でも有名なのが「イベルメクチン」という熱帯感染症の特効薬であり、世界中の4億人以上もの人を救ったそう。

数字を見るだけで、その功績の偉大さに絶句。今まで知らなかったのが恥ずかしいレベルです・・・!

なお、大村博士は常にカバンにはビニール袋とスプーンを持ち歩いていたそう。その理由は、様々な場所の土を採取しては、微生物の分離・培養をするためであったとのこと。研究への飽くなき情熱が感じ取れるエピソードです。

さて、このあたりで展示はおしまい。内容は少々難しめに感じましたが、無料とは思えないほど充実したボリュームで大満足です。

出口付近には理大オリジナルグッズの販売コーナーも。「理大」と書かれたTシャツやトートバッグなどスタンダードなラインナップに加えて、オリジナルの扇子、お箸、ゴルフボールなどユニークなモノも。最後にぜひぜひご覧ください。

アクセスと営業情報

JR総武線「飯田橋駅」西口より徒歩4分、または地下鉄「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分。

開館時間 水・木・金曜:12:00~16:00
土曜:10:00~16:00
休館日 日・月・火・祝日及び大学の休業日
料金 無料
公式サイト https://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/

※掲載の情報は2024年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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