ZENを世界に広めた人物の思想に触れる『鈴木大拙館』(金沢市)

石川県

仏教哲学者である鈴木大拙の思想を後世に伝えるために造られたスポット。館内に散らばる彼のことばを集めたら、思索空間で思考の海の中へ。にぎやかな街を離れ、静かに物思いに耽ることができる場所です。

営業時間:9:00〜(16:30)17:00
休館日:月曜、年末年始
料金:310円
見学所要時間:20分~
訪問日:2020/7/25(土)

鈴木大拙館へのアクセス

鈴木大拙館があるのは、金沢の市街地。金沢駅からは3kmほど離れているため徒歩で向かうと40分ほどかかります。駅から北鉄バス、もしくは城下まち金沢周遊バスを利用してバス停《本多町》で下車すればそこから徒歩4分ほど。

21世紀美術館や兼六園などとも近く、徒歩で回ることができます。また、中村記念美術館までは緑の小径という散策路でつながっています。

駐車場は無いため、近隣のコインパーキングを利用する必要があります。私は21世紀美術館近くの「ミニッツパーク24h 柿木畠第2」という60分100円の駐車場に停めて、近くのスポットと合わせて訪問しました。

派手な看板などは全く無い外観。洗練された雰囲気が漂います。

世界に禅を広めた人物

鈴木大拙を一言で表現すると、「日本の禅文化を世界に広めた人物」。彼がどのような人生を歩んできたのか、まずは簡単にまとめてみました。

1870年、鈴木大拙は金沢市の医師の家庭に生まれます。東京専門学校、帝国大学哲学科を中退した後、鎌倉の円覚寺で禅修業に打ち込みます。

1897年、アメリカへ。出版社で宗教・哲学に関する雑誌の編集者を行います。その際、禅に関する著作物を英訳し、禅の文化を英語圏に広めます。

1909年、日本へ帰国。東京帝国大学にて英語の講師となります。禅修行も再開し、仏教学の教授を務めます

1949年、ハワイにて禅の研究に関する討論に出席。その後はアメリカ本土へ渡り、各地の大学で禅の思想を伝える講義を行います。この影響で、1950年代後半から禅ブームが到来します

1966年、東京築地の病院にて病のため世を去ります。享年は95歳でした。

 

この鈴木大拙館は、仏教哲学者である鈴木大拙の考えを後世に伝えるために造られた施設。設計は金沢市に縁の深い建築家・谷口吉生が担当しています。

「展示空間」

展示空間には彼の著書や直筆の書、抽出された彼のコトバが展示されています。

中でも「本の読み方」という著書が印象的で、近代化によって出版物があふれた現代において、本に読まれずに読むようにするための方法が書かれています。

掛け軸に書かれた書は「A wonderful, Wonderful, and most wonderful wonderful! and yet again wonderful」、「うんとこいどっこいしょ」。シンプル過ぎてどう受け取っていいか難しいです。

一部のコトバは印刷されてテイクフリーとなっています。入館時にもらえるパンフレットにはフォルダ部分があるので、気に入ったコトバはそこに挟んで持ち帰ることができます。

「学習空間」

展示空間を抜けた先にある学習空間では、鈴木大拙の著書や、学友であった同郷の哲学者・西田幾多郎に関する書籍が並んでおり、自由に手にとって閲覧することができます。難しい書籍だけでなく、漫画などの読みやすいタイプの書籍もあるため、活字がニガテな人でもトライしやすい。

また、この部屋は大きなガラス窓があり、そこからは「露地の庭」を眺めることができます。

「思索空間」

展示空間・学習空間の先にある回廊を抜けると、思索空間と呼ばれる水に浮かぶ四角い建築物が見えてきます。

本多の森公園を借景としており、自然に包まれるように建つ空間。穏やかな水面が広がる水鏡の庭も美しいです。

曹洞宗や臨済宗など禅宗寺院で見ることができる「方丈」という建築をイメージして設計されたこの建物は、文字通り自らが考える場所として造られております。畳敷きの椅子が並ぶ内部はとても静かな空間で、腰掛けて外の世界を眺めていると、自然と穏やかな気持ちになってきます。


訪れる人は多いですが、非常に静かな空間。にぎやかな金沢の観光地めぐりの合間に立ち寄ると、ほっと一息つくことができる場所です。

アップルのスティーブ・ジョブズや、スターウォーズで知られるジョージ・ルーカスがZENへ関心が深かったという話はよく耳にしますが、鈴木大拙の働きがあったからこそなのではないでしょうか。

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