金沢に残る3つの茶屋街の一つにして、最も多くの人が集まる人気のスポット。色鮮やかなお茶屋建築を見学したり、神社で忍者を探したり、おしゃれカフェの和風スイーツを食べたりと、いろいろな楽しみがある場所です。
ノスタルジックな茶屋街
ひがし茶屋街は、1820年に加賀藩がこの近辺に点在していたお茶屋を一か所に集めて町割りしたもの。風情ある街並みが今も保存されており、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。
金沢駅から約2kmと少し離れていますが、バスを利用すれば10~20分ほど。兼六園や金沢城公園からは徒歩15分ほどでアクセスできます。
情緒あふれる景観が人気で、金沢を代表する観光スポットの一つ。お茶屋さんを見学したり、カフェやお土産屋さんに立ち寄ったりとのんびり散策するのにぴったりな場所です。
なお、お茶屋さんといっても喫茶店ではありません。ここでいうお茶屋というのは、芸妓さんの芸を見ることができる場所。ティータイムを楽しむ場所というよりは、夜に輝く大人の社交場であったのです。
芸妓文化を学べるお茶屋「志摩」
志摩は、1820年に建てられた国の重要文化財にも指定されている茶室。一般公開されており、料金を支払えば誰でも見学可能。入館の際には靴を脱ぎ、カバンなどは無料のロッカーに入れて見学します。
外観は派手な要素は無く、気が付かないと通り過ぎてしまいそうなくらい地味。しかし、階段で2階へ進むと「前座敷」という真っ赤な壁がインパクト抜群なお部屋に。
前座敷と襖を挟んた位置にある「ひかえの間」。金の屏風と太鼓が置かれたこの部屋は、芸妓さんが芸を披露する場所。先ほどの前座敷に集まったお客さんを前に、様々な芸を披露していました。
一方、「はなれ」は白木造りで落ち着いた部屋。ここでは、姿を見せず笛の音だけを楽しむ影笛と呼ばれる芸なども演じられていたそう。
芸妓さんが姿を見せなくてお客は満足できたのでしょうか?
金沢のお茶屋では、客側にも芸を理解する力量が問われ、それができないと野暮とされていたそう。最上の客は芸姑を楽しませるほど懐の広さを持ち、最高の芸妓は客に我を忘れるほどの術を持った者であるといいます。
1階から繋がる別棟の寒村庵にてお抹茶をいただくこともできます。お庭を眺めながらほっとひと息ついてみてはいかがでしょうか。
朱・群青・黄金の部屋が揃う「懷華楼」
有料で一般公開しているお茶屋さんが志摩ともう一軒あります。それがこちらの懐華樓(かいかろう)。金沢で一番大きな茶屋建築で、内部には様々な見どころがあります。夜は「一見さんお断り」のお座敷へと変貌しますが、昼は茶屋内部の一般公開とカフェ営業も行っております。
こちらも志摩と同じく外観はかなり控えめですが、館内へ進むと鮮やかな朱色の階段がお出迎え。艶のある姿は、石川県北部の輪島市で生産される伝統工芸・輪島塗で仕上げられています。
2階へ進むと「大座敷・朱の間」が広がります。朱く染め上げられた壁は、妖しくも美しいしつらえ。壁に合わせて畳の縁(へり)の部分も赤くなっているのもポイントです。
こちらは青色をテーマとした「群青の間」。群青は朱色よりも格上とされており、ここは貴賓室として使用されているそう。
赤、青と来たら次は黄色と言いたいところですが、ここではさらに上の黄金が待っています。こちらは「黄金畳の茶室」。敷かれた畳は井草ではなく金箔が貼られた水引きでできております。写真ではこの黄金が伝わりにくいので、ぜひ生でその輝きをご覧になってください!
ちなみに、この懷華楼には裏玄関があります。複数のお客同士が顔を合わせないように、またはお忍びで訪れる方のためにと配慮がなされた設計となっています。
黄金の蔵が見学できる「箔座ひかり藏」
金箔を使用した商品を多数取り扱う箔座。店内を抜けて中庭に進むと、光り輝く蔵が見えてきます。こちらは金箔約20,000枚を使用した「黄金の蔵」。漆喰の壁に純金とプラチナの合金箔で仕上げられています。
内壁は24Kの純金箔によるグラデーション仕上げ。キラキラ輝く黄金に眼が眩みます。
中央に置かれた椅子が雰囲気抜群。腰かけたらラスボス感満載の写真が撮れそうですが、残念ながら蔵の中は立入禁止。もし撮影可能だったら、大行列ができてしまいそうです。
ちなみに、この箔座の金箔は、中尊寺金色堂や清水寺などにも使用されています。
忍者が隠れた「宇多須神社」
ひがし茶屋街の奥地に鎮座する宇多須神社。創建は718年という長い歴史を持つ神社です。
参拝者を出迎えるのは、逆立ちをした加賀獅子狛犬。金沢の伝統芸「加賀獅子」をモチーフにしているとも言われているそう。
さて、この写真の左下に注目!縁の下に何か見えますでしょうか。
こちらはリアル忍者。サムライ金沢株式会社という企業が、地域活性化活動として配置しているそう。現在は他に、宝仙寺の境内にも忍者がおり、忍者を発見しながら散策する観光ルートを作る予定とのことです。
宇多須神社境内にはもう一体の忍者の姿も!これ、事前に知らないと、気づいたときめっちゃびっくりしそうです。
和カフェの贅沢スイーツ
お茶屋さんといってもティータイムではありません、と冒頭で述べてしまいましたが、現在のひがし茶屋街はおしゃれなカフェがたくさん。文字通りお茶をするのに良さげな場所でもあるのです。
今回は午後に訪問したので、ちょうど甘いモノが食べたくなるタイミング。ということで、立ち寄ったのは餡屋musubi。白玉や金澤クリームどらパンが人気の和風カフェ。店員さんもとっても親切で、気持ちの良い接客を行っています。
おすすめは「ひがし茶屋街セット」。団子、どら焼きなどいろいろな甘味が少しずつ味わえる、お得感あるメニュー。小さな傘も添えられており、ぬい撮りやアクスタ撮りも捗ります。
こちらは「白玉プレート」。きなこ、みたらし、つぶあん、抹茶、モンブランの5つの味の白玉がセットになったメニュー。こちらもまたいろいろなテイストがちょっとずつ楽しめます。
このお店以外にも、ひがし茶屋街にはひゃくまんさんの姿をした「多華味屋のひゃくまんやき」や、行列ができる「cafe たもんのパンケーキ」、TVなどでもよく話題になる「箔一の金箔ソフト」など様々なメニューがたくさん。お腹を空かせていくのがおすすめです!
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