福江島から運んできたレンタルバイクでまわる久賀島。田園風景の中を走り、まずは浜脇教会、潜伏キリシタン資料館、牢屋の窄殉教記念聖堂の3つのスポットへと向かいます。激しいキリシタン弾圧の歴史を目の当たりにする場所です。
浜脇教会
浜脇教会は久賀島の4つの教会の中で最も港に近くに位置しており、港からは徒歩でも20分ほどでアクセスできます。
天を突き刺すようにそびえるゴシック建築な教会はとても印象的。福江から船で向かう際にも、木々の中にそびえるこの教会は、ひときわ目立っていました。
1881年に建立され、1931年に五島列島初となる鉄筋コンクリートを使用して建て替えられます。パンフレットの写真では伝わりにくいのですが、内部は白地にピンクベージュのラインが入ったリブ・ヴォールト天井。高貴なイメージを纏う内装です。
このあとは、島の奥地へ向けてさらにバイクを走らせます。久賀島の道は、ひたすら森の中か田んぼの中。ただし、道はしっかりと舗装されているのでとっても気持ちよく走ることができます。
内上の杜ミュージアム
料金:300円
続いて訪れたのは、2018年11月にオープンした内上(うちかみ)の杜(もり)ミュージアム。久賀島ミュージアムとも潜伏キリシタン資料館とも言うそうです。
マリア観音や踏絵のレプリカ、キリスト教をテーマにしたカトリック美術作品が並ぶ資料館。館内ではスタッフのおばちゃんが丁寧に解説してくれます。
こちらはキリシタン鍔(つば)とも呼ばれる刀の鍔。一見すると普通のツバですが、斜めから見ると十字架が浮き上がります。
教会は基本的に内部撮影禁止ですが、このミュージアムは館内の写真撮影が可能。いろいろなものを記録に残せるので、ブログを書く身としてはとっても嬉しいです。
そして特筆すべきことは何といっても館内にクーラーがしっかりと効いていること。それくらい普通かと思われるかもしれませんが、久賀島は港にターミナルビルやお店も無いため、観光で訪れた人がまともに涼めるのはココだけではないでしょうか。7月という暑い季節に訪問したため、冷房の存在は代え難い魅力です。
牢屋の窄殉教記念聖堂
しばらく田園風景を走っていると、カラフルな牢屋の窄(ろうやのさこ)殉教記念教会が見えてきます。
明るい印象の教会ですが、ここにまつわる「牢屋の窄殉教」は壮絶です。
1868年、明治政府は切支丹宗門禁制を布告し、キリシタンへの弾圧を強めていきました。この久賀島では、わずか12畳ほどの狭い牢屋に信徒200名が押し込まれました。
畳1枚あたり17人という過酷な環境。常に体が浮いている状態で、排出もその場でするという凄惨な状況だったそう。この仕打ちは8ヶ月も続き、その過程で39名が、さらに出牢後に3名と合計42名もの信徒が命を落としました。
この悲劇が各国に伝わると、近代化をめざす日本は諸外国から非難を浴びることになります。そして、この出来事のわずか5年後となる1973年、ついに明治政府は禁教令を解き、キリスト教は徐々に認められることとなります。
このときの牢屋の跡地に造られた教会がこの牢屋の窄殉教記念教会。教会の裏手には、殉教した信徒たちの年齢と名前を刻んだ石碑が建てられていました。
『一粒の麦は、地に落ちなければ、一粒のままである。だか、命を落とせば多くの実を結ぶ』
これは、「ヨハネによる福音書」12章の24節の内容。命をかけても信仰を守ったキリシタンの胸には、個人を超越した命の捉え方があったのでしょう。
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