いきもの観察が楽しくなる水族館『相模川ふれあい科学館アクアリウムさがみはら』(相模原市)

神奈川県

相模川に暮らす生き物を中心に集めた川の水族館。添えられたパネルや解説文はとてもわかりやすく、見慣れたサカナでも新しい発見に出会えます。他では滅多に見かけない魚道に関する展示や、様々なテーマで開催されるハイクオリティな企画展も見どころです。

2021/7/30(金)

相模川の水族館

アクアリウムさがみはらは、相模原市にある水族館。水の上に浮かぶような建築が特徴的です。

この水族館のテーマとなっているのが相模川。富士五湖の一つである山中湖を水源に、山梨県の都留市や大月市を流れ、神奈川県の相模原市や厚木市を抜けて太平洋へと注ぐ一級河川です。ここでは、そんな相模川に暮らすサカナを中心に飼育、展示しています。地味になりがちな淡水魚ですが、きれいな水槽と見やすい展示でなかなか見応えあり。

ふれあい科学館の名が示す通り、ボタンを押すと変化するパネルやデジタルシアターなど子供が楽しめる展示も多い。水中に手を入れてコイやウグイにエサをあげられる水槽も備えています。

7月の平日に訪問したところ、ほとんどのお客さんが子連れのファミリーでとってもにぎやかでした。

流れのアクアリウム

館内のメインとなっているの長い水槽は「流れのアクアリウム」。相模川の水源から河口までを再現しており、上流・中流・下流と流域で変わる生態系を一連の流れで見ることができます。

上流域には大きなニジマス。体の側面に赤いラインが入っており、とってもあざやか。日本古来のサカナのような印象がありますが、実は明治以降にアメリカから輸入された外来種なのです。

中流域では、オイカワウグイがひらひらと舞うように泳いでいます。どちらも初夏になるとオスが婚姻色に染まります。赤みがかった姿はとってもキレイ。

下流になると大きなサカナの姿が目立ってきます。2匹並んでいるのは巨大なソウギョ。コイに似ていますが、目の位置がちょっと下で、ヒゲが無いのがポイントです。

相模湾の海水魚

相模川は太平洋の相模湾へと流れます。河口を再現した水槽にはスズキやボラ、ゴンズイなどの海水魚が集まります。写真は、底でゆったりしていたらアカエイが被さってきてしまったネコザメ

相模湾水槽では華やかなミノカサゴや、おもしろい顔のカワハギが泳ぐ。

3匹集まったイトマキヒトデ。まるでハイタッチしているかのように、互いに手を合わせています。

両生類もたくさん

横たわるのは立派なオオサンショウウオ。数は減っておりますが、岐阜県より西の本州各地で見ることができる大きなサンショウウオ。実は世界最大の両生類でもあるのです。

ヌメっとしたトウキョウサンショウウオ。神奈川県や東京都など、関東地方を中心に分布している小型のサンショウウオです。水棲かと思いきや、産卵期以外は森林などで暮らしているそう。

同じく東京の名を冠したトウキョウダルマガエル。トノサマガエルと似ているため、本種がトノサマガエルと呼ばれていることもしばしばあります。よく見ると背中の黒い斑点が独立しているので見分けることができるそう。(トノサマガエルは黒い斑点が繋がっています)

タナゴが暮らすには・・・

きれいな並んだタナゴの水槽。ヤリタナゴやアブラボテなど様々なタナゴが飼育されています。

こちらはミヤコタナゴ。かつては関東地方で広く見ることができましたが、その数は激減。1974年には国の天然記念物に指定されました。

神奈川県では、横浜市の権田池を最後に姿が見られなくなってしまいます。そこに残ったミヤコタナゴ保護、研究の結果、繁殖に成功したそう。

タナゴが暮らすにはきれいな水や、隠れるために必要なヨシなどの草が茂る環境が必要となります。

さらに、タナゴは貝の中に産卵するため、ドブガイカワシンジュガイなどの二枚貝が暮らすための泥や砂が必要。
さらにさらに、これらの貝の稚貝はハゼ科のサカナのヒレに寄生して育つため、ヨシノボリなどのサカナも暮らしていける環境も不可欠となります。

一見すると関係のなさそうに見えるのですが、タナゴにとってヨシノボリは間接的に必要な存在。捕食関係でなくとも生物は互いに支え合って生きており、これらを保護するには多角的な視点が常に必要だなと思い知らされました。

環境保護への人々の工夫

こちらのドーナツ型の水槽は魚道を再現した「坂道お魚観察水槽」。人間がダムや堤防によった河川の流れを作り変えるとき、そこに暮らす生き物の生活環境を崩さないように考えられた様々な工夫を見ることができます。

コンクリートの壁が並んでいるのは階段式魚道。上部に乗り越えられる隙間があり、サカナはそこを抜けることができます。この壁があることで、休憩できるプールができあがり、上流へと上ることが可能になります。

このぶっとい綱はカニロープ。魚道を抜けることができないカニのために作られた足場で、これを渡ることでカニが自由に行き来できるようになります。ロープの質感が落ち着くのか、はたまた藻を喋んでいるのか、ずっとしがみついているカニもいました。

企画展がすごい!

7/2〜9/5の期間限定で開催されていた夏季特別企画展のアマゾン探検隊

水族館の企画展って珍しいなと思って入ってみたのですが、展示のクオリティがとても高い!

ジャングル風に飾られた展示室内にはピラニアデンキウナギハイギョなどインパクトあるサカナたちが勢ぞろい。

さらにサカナだけでなくオニオオハシ、アカハナグマ、ヘラクレスオオカブト、グリーンイグアナなど個性的な生き物たちまで展示されています。

ラストにはカピバラまで登場!岐阜県のアクア・トトぎふの展示協力とのことですが、ここまで豪華なラインナップが揃っているのはすごい。

常設の水槽よりもずっと目立っているように感じる企画展でした。他にはどんな企画を行っているのかとっても気になる・・・!

調べてみたところ、公式ホームページに過去の企画展の一覧を見つけました!

過去に開催された特別企画展 - 相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら

「ふぐ展 ~笑う門にはフグきたる~」「発電魚 ―電気をだす魚たち―」など、面白そうなものばかり。もしアクアリウムさがみはらに行く場合、好みの企画展に合わせて行くのも良さそうです。

アクセスと営業情報

相模原駅・淵野辺駅・橋本駅・上溝駅からバスが出ています。最も本数が多いのが相模原駅で、1時間に2本ほど。他の駅はかなり少なめなので時刻表の確認をお忘れなく。

車の場合は圏央道の相模原愛川ICより10分ほど。無料の駐車場が3つあり、合計100台近く停めることができます。

開館時間 9:30~16:30
休館日 月曜 ※夏休み・GWなど長期休暇期間は無休
料金 460円
公式サイト https://sagamigawa-fureai.com/

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