縄文時代の遺跡が広がる長者ヶ原。土器や住居跡などが発掘されています。石の加工技術が発達しており、ここで加工されたヒスイや石斧は、日本各地へと伝わっていきました。
休館日:11〜2月の月曜、年末年始
料金:300円
見学所要時間:考古館20分+遺跡25分(移動時間含む)
美山にある博物館
長者ヶ原考古館は、フォッサマグナミュージアムと同じく美山公園内にあります。駐車場も共有で、歩いてすぐ。
山のビジターセンターのような外観で、木々に包まれるように建っています。
自然の恵み豊かな土地
長者ヶ原遺跡は、標高90mほどの土地に広がる縄文時代の遺跡。姫川から約1kmほどの場所に位置しており、周囲はクリやシイノキが茂る森であったと考えられているため、山や川の恵みを存分に受けていたことは想像に難くありません。
また、遺跡からはアシカやイルカの骨も出土しており、豊かな海産物とともに暮らしていたことが想像できます。
北陸地方でも最大級であったといわれるこの遺跡には、いったいどんな人々が暮らしていたのでしょうか。
縄文土器や土偶がずらり
長者ヶ原遺跡で発掘された出土品を展示する歴史博物館。常設展示室1部屋、企画展示室1部屋の小さなミュージアムです。
館内には食器や調理用具として使用されていた縄文土器が並んでいます。原始的な装飾がされている縄文土器は、とっても力強い。
こちらは出土した土偶。高さ30cmと大型で、顔や足以外はほぼ完全な状態を保っています。お皿状の頭部を持つため、カッパ型土偶と呼ばれているそう。
石加工のスペシャリスト
この長者ヶ原遺跡、他の縄文遺跡とは違うポイントがあります。それは、この地に暮らしていた人の石の加工技術が国内屈指であったということ。
ヒスイの勾玉や、蛇紋岩の石斧などが他の地域縄文遺跡でも出土しております。しかし、この長者ヶ原以外では加工遺跡が見つかっていないため、ここで生産されて他の地域に渡っていったと考えられています。
一方、長者ヶ原では黒曜石や他の地域で造られたと考えられる土器も出土しており、物々交換していた当時の交易の様子を探ることができます。
蛇紋岩で造られた石斧「磨製石斧」。つるつるに磨かれた磨性石器で、当時のブランド品だったと言われています。
こちらはヒスイの加工品。硬いヒスイに穴を開けることができたのは、当時の加工技術の高さを物語ります。
「電気といえば秋葉原」くらいの勢いで、「石加工といえば長者ヶ原」みたいな感じだったのでしょうね。
竪穴式住居が並ぶ遺跡
考古館から徒歩5分ほどのところに長者ヶ原遺跡があります。森の中を進むので、歩きやすい靴推奨です。途中分かれ道があるので、帰り道に迷わないようにお気を付けください。(私は「どっちから来たんだっけ」と迷いかけました。)
森を抜けた広場には、再現された竪穴式住居が5件。緑に包まれており、その出で立ちは遺跡のイメージにぴったりとはまります。
それぞれ住居の傍らに解説板があるため、何のための場所だったのかがわかりやすい。
11号住居の床には炉があり、その周りからは蛇紋岩の破片も見つかっているため、ここで石を加工して磨性石斧を作っていたと考えられています。きっと遥か昔、この場所で職人たちは技術を高めていたのでしょうね。
見学所要時間は考古館が20分、遺跡まで含めるとプラス20分くらいでした。流通というイメージが全くなかった縄文時代ですが、当時から日本各地で交易がされていたのはびっくりです!
遺跡とは関係ないのですが、近くにはドラえもんの石像が。これはいったい誰が何のために設置したのでしょうか?
よく石材屋さんの店先などに、加工技術を示すためにゴジラなどの石像が置かれているのをみかけますが、このドラえもんも加工技術のアピールだったりするのでしょうか。
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