遺跡のようなアートミュージアムと翡翠の庭『谷村美術館&玉翠園&翡翠園』(糸魚川市)

新潟県

建築と展示作品が一体となっており、全体で一つの作品とも呼べる完成された美術館。鑑賞式の玉翠園&回遊式の翡翠園という2つの日本庭園も見応えあります。

営業時間:9:00〜16:00
休館日:12~3月中旬の火曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※翡翠園は12月~3月中旬まで冬季休園
料金:谷村美術館&玉翠園500円 翡翠園500円セット券800円
見学所要時間:谷村美術館&玉翠園と翡翠園、全て回って1時間ほど
訪問日:2020/7/23(木)

谷村美術館&翡翠園へのアクセス

フォッサマグナミュージアムや長者ヶ原考古館と並び、新潟県糸魚川市を代表する観光スポット。

彫刻を展示する「谷村美術館」と同敷地内にある窓から眺める日本庭園「玉翠園」、そこから約1kmほどはなれたところにある回遊式日本庭園「翡翠園」と2つに分かれています。

車の場合は糸魚川ICから10分、電車の場合は糸魚川駅から徒歩25分、もしくはバスで約5分。バスは、糸魚川駅の日本海口から1日4本、アルプス口から1日3本出ています。乗り場が2口に分かれているのでご注意ください。

谷村美術館&玉翠園の最寄りバス停は《京ケ峰二丁目》、翡翠園の最寄りバス停は《蓮台寺入口》と異なっています。ただし、両者間は徒歩15分ほどです。

砂漠の遺跡「谷村美術館」

静岡県生まれの彫刻家・澤田政廣の作品が並びます。ここは彼の作品を展示するために作られた美術館。

まず目に入るのは、石造りのインパクトのある外観。シルクロードの砂漠の遺跡をイメージして作られているというこの建築は、大阪の新歌舞伎座(初代)や志摩観光ホテルで知られる佐賀県生まれの建築家・村野藤吾の作品です。

美術館周囲をめぐる回廊も、石造りと和風な軒の組み合わせが妙にノスタルジック。ついつい写真に撮りたくなります。

外観のイメージ通りの世界が広がる館内はいくつかの部屋に別れており、それぞれの部屋に彫刻作品が配置されています。

自然光や照明なども計算された館内は、作品に合わせて設計されております。壁の色との関係で配色を変更したという仏像もあり、建物と合わせて一つの作品として楽しめます。

この美術館のために作られ、その制作過程がNHKで放映されて話題となった「金剛王菩薩」、「曼珠沙華」と題された金色の八臂立像など、見ごたえのある作品が並びます。仏像が中心なのですが、翼の生えた天使の姿をした「天彦」など、古美術にとらわれない作風を見ることができます。

出口には「建物の外観が何かの石像に見えませんか?」の文字が。これは、もしかしてモアイ像では!?

茶室から望む庭園「玉翠園」

谷村美術館を出て順路にそって進むと、ショップ&休憩所が見えてきます。室内の窓からは日本庭園・玉翠園が広がります。

並べられた大きなヒスイのテーブルもゴージャス。コーヒーや抹茶も販売しており、庭園を眺めながら一息つけるスポットです。ミュージアムショップも併設しています。

立体的な庭園は、大きめの玉砂利と絶え間なく流れる水が印象的。水面を覗くとアメンボやオタマジャクシがすいすい泳いでいました。

巨大なヒスイが鎮座する「翡翠園」

谷村美術館&玉翠園から約1kmほどのところには、もう1つの日本庭園・翡翠園があります。足立美術館などで知られ、「昭和の小堀遠州」とも呼ばれた作庭家・中根金作によって造られた日本庭園。先ほどの玉翠園も彼の作品でした。

築山林泉回遊式庭園に分類される庭園で、「回遊式」の名が示す通り自由に歩き回れるのがポイント。園内は立体的に造られており、ちょっとした探検気分。高いところまで登れるため、園内を見渡すこともできます。

こちらの巨大な石は、コバルトヒスイの原石。その重さは70トンもああります。このヒスイ、なんと触っても大丈夫!パワーストーンと言われる石に触ってご利益をいただくことができます。

庭園の地下にあるひすい美術館では、ヒスイを加工した様々な作品がずらりと並びます。

観音像や香炉など緻密に細工されたヒスイ。硬くて加工しにくいといわれる翡翠を使って、ここまで繊細な造形を作り上げているのは凄いです!

なぜ「谷村」なのか?

そういえば、なぜ「谷村」美術館というのでしょうか?「彫刻家・澤田政廣」「建築家・村野藤吾」「作庭家・中根金作」と3人の巨匠が登場しましたが、どの方の名前とも異なっています。

気になったのでスタッフさんに尋ねてみたところ、谷村建設という地元の企業がつくったためだそう。

谷村建設の初代社長・谷村繁雄と澤田政廣、村野藤吾に個人的な結びつきがあり、美術館建設に至ったそう。なお、施行したのはもちろん谷村建設。細部まで計算された空間づくりは、かなりの難工事であったそうです。


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