コレクション展や特別展など、様々な展覧会を開催しているアートミュージアム。自然をテーマにした絵画や写真作品、現代美術など様々な作品をコレクションしています。釧路をはじめとした北海道の作家による作品も多数です。
釧路のアートスペース
フィッシャーマンズワーフMOOのすぐそばに立つ釧路市芸術館は、釧路・根室圏の新しい芸術文化の拠点として1998年に開館した美術館。
煉瓦造りの重厚な外観。入口ではアルナルド・ポモドーロ《球》が来館者を出迎えます。雪の中に佇む姿はこの季節ならではの景色。
館内に常設展示室はなく、様々な展覧会を開催しているタイプの美術館。訪問した際はコレクション展が開催中でしたが、普通のコレクション展とはちょっと違う雰囲気。ただ収蔵品を展示するだけではないようです。
ユニークな展覧会
訪問時に開催されていたコレクション展はこちら。
12月21日(土)~2025年3月9日(日)
マスコットキャラクター・かもめのももちゃんがナビゲートしてくれるコレクション展。深い知識がなくても芸術を楽しめるようにアートを楽しむヒントを教えてくれる、カジュアルな展覧会です。
作品とともに掲載されているのは、「うまい絵ってなんだろう?」「この彫刻のモデルは誰でしょう?」といったような、ちょっとした質問。高坂和子《秋の章》、赤穴宏《作品 (目-Ⅲ) 》という2つの絵画には、「これは何をあらわした絵?」といったクエスチョンが添えられていました。
絵画作品だけでなく、写真作品も展示されていますが、いずれも一目見ただけでは何を撮ったかわからないものばかり。普後 均《FLYING FRYING PAN》には「この写真に写っているものは何?」というクイズが。
絵を見ていろいろ考える、そんな楽しみ方が自然と身に付く非常に面白い展覧会です。
北海道ゆかりの芸術家
ここからは私が気になった作品をさらっとご紹介。
居島春生《森》
留萌生まれの画家による作品。写実的な森の姿が描かれておりますが、そこに光のような白い粒子が加わることで、幻想をもたらします。
米坂ヒデノリ《コタンコロカムイ》
釧路生まれの芸術家による、フクロウの木彫りの作品。アイヌ語で村を守る神様という意味の名が付けられています。2mほどのダイナミックな作品ですが、腹部をよく見ると、破線のような模様も見えて繊細さも感じ取れます。
羽生輝《北の浜辺 (オホーツク) 》
釧路を拠点に活動を続けてきた日本画家による作品。赤い建物がずらりと並び、その奥には暗い海。見守るように靄がかかった満月が浮かんでいます。赤と白と青の調和が美しく、ずっと見ていられる作品です。
ビン・カシワ《フィッシャーマンズワーフ (釧路)》
釧路育ちの画家による作品。釧路感はあるけど、外国に見える不思議な街並み。日本ではないどこかの国の釧路という、パラレルワールドのような感覚に陥る楽しい作品です。
前衛的なモダンアート
千住博《ウォーターフォール》
カジュアルに楽しんでいる中に現れるのは千住博の作品。流れる水はどのように描かれたか、水しぶきはどのように描かれたかというクイズも添えられていました。
上田薫《流れS》
きらきらと光が反射する水面。まるで写真のような姿ですが、描かれた絵画。よく見ると絵の具の塗り合わせや筆の跡も見ることができます。
林範親《4:17 P.M. (ストリート) 》
木でできた自動販売機、公衆電話とゴミ箱もセットになっています。コイン投入口や、商品受取口藻細かく丁寧に作られております。下部をよく見ると、高さ調整の金具やプルタブが落ちていたりと非常に細かい仕上がり。電話の受話器のカールコードまで木というのが凄いです。
もしかして自販機の下に小銭が落ちているのではと思ったのですが、さすがにそこまでは再現されてませんでした。と、ここまで細かに説明しておいて、なんとこの作品は写真を撮るの忘れていました!!!
普段撮り忘れることなんてないので、何度もフォルダを探したのですが見つからず。あまりにも集中して見過ぎていたのが原因かもしれません。ということで、困ったときの魔法の言葉「現地に行ってのお楽しみ」ということで。
展示室はそれほど広くないので、ゆっくり見ても1時間弱といったところ。帰り際にショップでポストカードを買ったら、包装紙がなぜか「富野由悠季の世界」でした!ボランティアで過去の様々な美術館チラシを活用しているそうです。
アクセスと営業情報
JR釧路駅より徒歩約15分。
開館時間 | 9:30~17:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | コレクション展:460円 特別展:企画により異なる |
公式サイト | https://www.kushiro-artmu.jp/ |
※掲載の情報は2025年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント
[…] いずれの展覧会も、作品名だけでなく作者や作品の補足情報もあるので、知識がなくても楽しめました。特に北海道の作家は知らない方も多く、いろいろと新しい発見も。先日訪れた釧路市芸術館で知った名前も見つけられてちょっと嬉しくなりました! […]