宿場町をそのまま残す”町並み保存”のパイオニア『妻籠宿』(南木曽町)

長野県

風情ある宿場町の雰囲気が残る町並みが魅力的な妻籠宿(つまごじゅく)。かつて参勤交代で訪れた大名専用の宿泊施設「本陣」を利用したミュージアムや資料館で、より深く歴史を知ることができます。

訪問日:2020/11/19(木)

中山道の宿場町

江戸と京都をつなぐ街道・中山道(なかせんどう)。その宿場町の一つ妻籠宿は、交通の要衝として栄えていました。一般の旅行者や商人に加えて、江戸と所領を往復する参勤交代を行う各地の大名たちも多く立ち寄っていたそうです。

そんな当時の宿場町の雰囲気を強く残している妻籠宿は、同じく中山道の宿場町である奈良井宿・馬籠宿とともに木曽エリアの人気観光スポットとなっています。

なお、妻籠宿の駐車場は全て有料。第2駐車場に停めたところ、1回500円でした。係員の方はとても親切で、簡単な案内もしてくれます。

町並み保存のパイオニア

情緒あふれる妻籠宿の中でも、ひときわ当時の面影を強く残しているのが寺下地区と呼ばれるエリア。

明治時代に入ると、参勤交代の終了、そして鉄道の発達とともに、各地の宿場町は衰退していきます。さらに昭和の高度経済成長期に開発は進み、古い町並みは次々と姿を消していきました。

その中で妻籠宿は時代に逆行するが如く、あえて昔の状態で町を残す町並み保存運動を行ってきました。この寺下地区では、明治百年事業の一環として家屋を解体修復し、合わせて観光地として整備していきます。

川越、倉敷、鞆の浦など日本各地に町並み保存を行っている地域はありますが、その中でも先駆けて町並み保存に取り組んだのがこの妻籠宿だったのです。

3つの施設からなる南木曽町博物館

妻籠宿の観光スポットの中でも見ごたえのあるのは南木曽町博物館。本陣、脇本陣奥谷、資料館の3つの施設に別れています。(※写真撮影は禁止でした)

開館時間:9:00〜17:00
休館日:年末年始
3館共通券料金:700円

本陣

本陣というのは、江戸時代に参勤交代で通るお殿様が宿泊していた場所。明治時代にはその役目を終えて取り壊されましたが、平成7年に江戸時代の間取り図を元に復元されました。

館内は自由に歩いて見学可能。竈や囲炉裏、重厚なタンスなど、江戸時代の生活を感じられる内容となっています。
お風呂場である「湯殿」、トイレ「雪隠(せっちん)」もあるのですが、それぞれ2セットずつ設けられています。1つは大名のお殿様専用で、もう1つはお付きの者たちが利用するためとのことでした。

脇本陣奥谷

脇本陣という国の重要文化財に指定されている建築物。囲炉裏に常に火を灯すことで建物全体を燻(いぶ)して防虫防腐を行っていることや、それにともなう煤(すす)磨きの結果ツヤが出た壁など、当時の暮らしぶりを知ることができます。

特に光の柱は人気のポイント。写真そのままに木の格子窓から降り注ぐ太陽光はとっても神秘的です。この光の柱は秋分から春分にかけて、冬至の日をピークに見ることができます。夏場は日が高いため、見ることができないのでご注意ください。また、2020年11月現在、コロナの影響で混雑回避のため写真撮影が禁止となっていました。

ところで、本陣が大名ということは、脇本陣はお付きの方が泊まる場所?・・・実はそうではありません。

妻籠宿に泊まる大名は一組とは限りません。万が一大名の宿泊が重なった場合、予備の宿泊施設として造られたのがこの脇本陣。格上の大名が本陣に止まり、格下の大名がこちらの脇本陣に泊まっていたそう。

とはいえ重なるケースは決して多くありませんでした。そのため営業が厳しく副業を営んでおり、そのときの屋号が「奥谷」ということでした。

資料館

脇本陣の奥には資料館があります。本陣・脇本陣とは異なる現代的な建築の中に、妻籠宿の模型や江戸時代の絵図などが並びます。映像やジオラマなどわかりやすい内容なので、一見の価値ありです。

南木曽町の人々の材木の歴史展示も多く、様々な木材の実物や、実際に使用していた道具なども見ることができます。阿寺渓谷で見かけた森林鉄道跡に関する情報も見かけました。

黒いポストの郵便資料館

宿場町の中には、妻籠郵便局があります。言われないと通り過ぎてしまいそうなほど町並みに溶け込んでいますが、よく見ると「〒」マークを掲げています。

こちらは現役の郵便局ですが、内部には郵便局の歴史を展示する資料館スペースがあり無料で見学できます。

並んでいるのは歴代ポストの模型。初期の頃は木製の箱ですが、明治41年に統一されてからは馴染みのある赤いモデルにチェンジしています。

郵便局の前にはかつてのデザインで再現された真っ黒いポストも設置されております。現役で機能しているため、郵便物を投函すればちゃんと届けてもらえます。

なお資料館の見学は、郵便局が開いている平日限定。土日祝は閉館していますのでご注意ください。開館時間は9:00〜17:00までとなります。

合わせて行きたい桃介橋

ここまで来たら、妻籠宿から約4kmほどのところにある桃介橋(ももすけばし)も合せて訪問がおすすめ。

国道19号線に架かる立派な木製の橋は、全長は247mとかなりの大きさ。大正時代に造られた橋で、一時は老朽化のため撤去されそうになったものの1993年にふるさと創生事業の一環として復元されました。

桃介橋は、木曽川とその河川敷を越えて行きます。幅は広く、ほとんど揺れもないため安心して渡ることができる橋です。

木曽川の河原には石がたくさん並んでいるのですが、びっくりするほど真っ白!太陽の光を浴びて、まるで大理石のように輝きます。

コメント

  1. […] 中山道の宿場町であった馬籠宿は、奈良井宿(ならいじゅく)、妻籠宿(つまごじゅく)と並ぶ人気の観光スポット。こちらもまた他の2ヶ所同様に、当時の面影を色濃く残す風情ある町並みが広がります。 […]

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