築地にそびえ立つ異国情緒あふれる寺院。インド風に仕上げられた建築は、重厚な存在感を放ちます。堂内には多数の動物彫刻と、グロテスクと呼ばれる不思議な彫刻が隠されています。
異国情緒あふれる外観
築地場外市場のすぐ近くに建つ異国風な建築物。日本ではなくどこかアジアを彷彿とさせるこの建築は、なんとお寺。浄土真宗本願寺派の寺院であり、その名も築地本願寺といいます。
この建築は、1923年の関東大震災で焼失した後1934年に再建されたもの。仏教発祥の地であるインドの様式にて建てられています。
建築を手掛けたのは伊東忠太。京都の「平安神宮」「祇園閣」や三重の「俳聖殿」、東京の「明治神宮」「湯島聖堂」など、日本各地に多数の作品を残す建築家です。
広い本堂内部は椅子が多数並べられており、巨大なパイプオルガンも。雅楽とパイプオルガンのプレミアム・ナイト・コンサートなど、音楽イベントも開催されているそうです。
また、日没後にはライトアップも行っております。基本的に夕方以降は閉門しているため中に入ることはできませんが、幻想的な姿を拝むことができます。
多数の動物彫刻
大の妖怪好きとして知られている伊東忠太。彼の作品には、不思議な動物の彫刻が付けられていることが多いです。この築地本願寺もまた、様々な動物の姿を見ることができるのです。
入口の階段には、まるで狛犬のようにかまえる羽の生えた獅子。勇ましい姿で参拝者を見守ります。
本堂内部にもたくさんの彫刻があります。ウシ、クジャク、馬などバリエーションは豊富。参拝に訪れたら、ぜひとも動物探しをしてみると楽しめるかと思います。
インド風の建築に象のモチーフはぴったりハマりますね。
謎のグロテスク彫刻
動物に混じって異彩を放つのがこちら。階段の手すりの端っこに隠れるように彫られた彫刻、その名も「グロテスク」。
グロテスクときくと、一般的に「グロい」と形容するなんだか気色が悪いものをイメージしてしまいます。しかし、このグロテスクはそれほどグロい気はしません。
どうやら建築の分野におけるグロテスクは、「奇怪な生物の彫刻」のことを意味するそう。キメラやガーゴイルとほぼ同義、と書くと少しイメージしやすくなるのではないでしょうか。
ちなみにこのグロテスクは、南側の1階と2階をつなぐ階段にあり、他の彫刻とは少し離れております。人の気配も少なく、ちょっとわかりにくい場所です。
築地の地名の由来
さて、そんな見どころの多い築地本願寺ですが、最後に1つだけ地名の由来となったエピソードをご紹介。
築地本願寺は1617年に浅草にて創建するも1657年の明暦の大火で本堂を焼失してしまいます。江戸幕府の区画整理の影響で旧地への再建が許されず、その代替地として与えられたのは八丁堀沖の海上でした。
門徒たちは本堂再建のために海を埋め立てて土地を築き、1679年に再建。「築地御坊」と呼ばれるようになります。
今でも知られる築地という地名は、この埋め立て工事が由来となっているそう。
その後、関東大震災によって全壊した日本橋魚河岸が築地に移転、卸売市場として多くの人が集まる土地となりました。2018年に豊洲移転が行われるも、残った築地場外市場のにぎわいは健在。ということで、築地本願寺へ訪れる際は、ぜひ場外市場にも足を運んでみてくださいね。
アクセスと営業情報
・東京メトロ日比谷線の「築地駅」出口1直結
・東京メトロ有楽町線の「新富町駅」出口4より徒歩約5分
・都営地下鉄浅草線の「東銀座駅」出口5より徒歩約5分
・都営地下鉄大江戸線の「築地市場駅」出口A1より徒歩約5分
開館時間 | 6:00~16:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://tsukijihongwanji.jp/ |
※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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