吸い込まれそうな曜変天目茶碗の魅力『静嘉堂@丸の内』(千代田区・丸の内)

東京都(23区)

重厚な洋風建築・明治生命館内に位置する私設美術館。年間を通して様々な展覧会を開催しており、膨大なコレクションを公開しています。鮮やかな色味で見る物を虜にする国宝「曜変天目(ようへんてんもく)」は必見です。

訪問日:2024/1/21(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

明治生命館内の美術館

静嘉堂文庫美術館は、三菱の創設者・岩崎彌太郎の弟である2代社長・岩﨑彌之助が1892年に創設した美術館。その後、彌之助の子である4代社長・岩崎小彌太によって収蔵品が拡充されました。そのコレクションは膨大であり、国宝7件、重要文化財84件を含む約6,500件の東洋古美術品を収蔵しております。

かつては東京の世田谷の地にありましたが、2022年10月に展示ギャラリーが明治生命館1階に移転。「静嘉堂@丸の内」という名の美術館としてオープンしました。

各展示室につながるのは広々としたホワイエ。ガラスの天井が特徴的な空間です。ここを中心に、4つの展示室が設けられています。

ここでは「静嘉堂@丸の内 歴史と名宝」「曜変天目物語」という2つの映像作品を上映しております。鑑賞の途中で休憩がてら閲覧するのもおすすめです。

時期によって異なる展覧会

展示内容は、一部の作品を除き企画展がメイン。訪問した際は、新年にぴったりな以下の展覧会を開催しておりました。

ハッピー龍イヤー!〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜
会期:2024/1/2(火) 〜 2/3(土)

干支の辰年にちなんで龍を表現した美術品を集めた展覧会。ずらりと並んだ作品には、わかりやすい解説に加えて親しみやすいキャッチフレーズも。美術の知識が無くても楽しめる工夫がなされています。

バリエーション豊かな展示品

絵画、彫刻、陶磁器、漆芸など様々なラインナップがそろう展示品。館内は一部を除いて写真撮影が可能ということなので、いくつかの作品を紹介させていただきますね。


《龍虎図屏風》橋本雅邦
江戸時代の幕府の御用絵師、橋本雅邦による大きな屏風画。左隻には崖で咆哮する虎、右隻には激しい雷鳴とともに海を渡る龍が配置された迫力満点な作品です。


《雲龍堆朱盒》
渋い赤色の蓋物。こちらは中国・明の時代に造られたとされる作品。フタに描かれた宝珠を追う五爪の龍をはじめ、合計9匹の龍が描かれています。彫漆の最高峰とされるもので、江戸時代までは京都・大徳寺の塔頭でかる高桐院に伝わっていたそう。


《全盛見立三福神》三代歌川豊国(国貞)
豪華な衣装を纏う三人の花魁が描かれた作品で、中央の花紫は「龍虎」の図柄。写真では見切れておりますが、左の代々山は「鯉の滝登」、右の花扇は「鬼の念仏」とそれぞれ異なった柄があしらわれており、見比べる楽しさも。

国宝・曜変天目

ぜひ見ておきたいのが国宝にも指定されている曜変天目。直径10cmほどの小さな器ですが、鮮やかなブルーは吸い込まれそうな魅力があります。

※撮影禁止であったので、イメージとして購入したポストカードの写真を掲載しております。

「曜変」とは茶碗の内面に浮かぶ斑文の周り、青から藍に輝く光彩があらわれたもの。「天目」は小さな高台に開いた口を持つ黒釉茶碗のこと。

完全に近い姿で残る曜変天目は、世界に3つだけしかありません。どこにあるかといいますと、ここ以外では京都の「大徳寺龍光院」、大阪の「藤田美術館」が所蔵しているとのこと。なんと、すべて日本に揃っています。この静嘉堂のものは、稲葉家に伝わっていたため「稲葉天目」とも呼ばれています。1934年に岩崎家に購入されますが、岩崎小彌太は「天下の名器を私に用いるべからず」と使用することはなかったそうです。

ちなみにこの鮮やかな色はタマムシの羽やCDと同じ「構造色」。そのため、光の具合によって見え方が変わってきます。見る角度によって姿を変えるその美しさ、ぜひ現地に訪れて体感してみてくださいね。

ミュージアムショップもお忘れなく

なお、ミュージアムショップでは、「ほぼ実寸の曜変天目のぬいぐるみ」を販売しております。1日10個限定、おひとり様1個限り。お値段は5,800円。

他にも、曜変天目柄の「手ぬぐい」(1,500円)、「Tシャツ」(4,800円)、「スカーフ」(22,000円)、「アロハシャツ」(39,600円)など、様々な曜変天目グッズが。

さらに彦十蒔絵による細部までこだわった一点ものの「漆塗ボールペン」(100,000円)や、「青花紅彩龍文盤柄のスケートボード」(33,000円)など、非常にユニークなラインナップが多数!お値段はいずれも高価ですが、眺めているだけでも楽しめます。美術館に訪れた際は、ぜひ忘れずにお立ち寄りください。

また、この美術館の入る明治生命館は、昭和初期の洋風建築であり重要文化財にも指定されています。2階には無料で見学できるエリアもありますので、訪れた際には合わせての訪問がおすすめです。

予約不要で見学できる!重厚でレトロな洋風建築『明治生命館』(千代田区・丸の内)
丸の内にて存在感を放つ明治生命館は、重要文化財にも指定された昭和初期の洋風建築。無料で一般公開されており、館内の随所に詰まった意匠や内装をじっくりと見学することができます。

アクセスと営業情報

・JR「東京駅」の丸の内南口から徒歩5分
・JR「有楽町駅」の国際フォーラム口から徒歩5分
・東京メトロ千代田線「二重橋前駅」の3番出口直結

開館時間 10:00~17:00
休館日 月曜
料金 1,500円
公式サイト https://www.seikado.or.jp/

※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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