下町の空気感が残る深川エリアにそびえる巨大な美術館。個性的な展覧会を複数同時に開催しており、アート空間にどっぷりと浸ることができるミュージアムです。今回は『坂本龍一展』狙いで訪問したのですが・・・。
巨大な現代美術館
東京都現代美術館は、1995年にオープンした現代美術館。MOT(Museum Of contemporary art Tokyo)の略称でも知られています。
延床面積 33,515㎡。実は日本の美術館で最大規模を誇る大きな美術館。展示替え期間を除き、年に数回の企画展やコレクション展を開催。訪問した際はこちらの展覧会が開催されていました。
開館30周年記念プレ企画
イケムラレイコ マーク・マンダース Rising Light/Frozen Moment
2024年12月14日(土)- 2025年3月30日(日)
こうふくのしま
2024年12月14日(土)- 2025年3月30日(日)
2024年12月21日(土)- 2025年3月30日(日)
なんと展覧会を3つも同時に行っています!見応えたっぷりで、それぞれをメインとしても楽しめるほどの充実っぷり。時間配分にはご注意くださいね。
①MOTコレクション 竹林之七妍 小さな光
会期ごとに様々な切り口を設けて収蔵作品を展示するMOTコレクション。来館者を出迎えるのは、広い空間に鎮座する天体観測器具のような作品。こちらは鉄とブロンズでできた《太陽のジャイロスコープ》by アルナルド・ポモドーロ。
大きな織物の立体作品《形象》by 高木敏子。カラフルな糸で織られた布は、近くでじっくり見ると糸の色が様々。飛び出す糸くずも意味があるような気がしてきます。
小林ドンゲさんの版画作品も多数展示。妖しくも美しい女性が多く描かれた作品たちは、シンプルながらも見る人を惹きつけます。神奈川県立近代美術館鎌倉分館で見かけて気になっていた作家さんなので、また会うことができて嬉しいです。
自立した巨大なドレスは《深海のアネモネ》by 前本彰子。金色のロープは装飾のようでもあり、束縛のようにも見えます。
真っ暗な部屋に展示されているのは《人間を超えたレゾネーター》by オラファー・エリアソン。光の輪っかとともに映るカラフルなリング、ペイントに見えますが光の屈折によって映し出される色なのです。
イケムラレイコ作品が並ぶお部屋も。壁一面に掛けられた大きなスクリーンに流れる《Morning Garden》、ガラス製の胸像《Ohne Gesicht》、頭部が欠けた土偶のような《Guernica of our time》と、それぞれ違った輝きを見せます。
向かい合うように置かれているのは《椅子の上の像》《椅子の上の乾いた像》by マークマンダース。木材が粘土をまとい人体に切り替わっていく姿。どこか寛いでいるようにも見えるのは、椅子というモチーフが持つイメージかもしれません。
赤いデジタルな数字が1728個並ぶ《それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く》by 宮島達男。数字は1から9まで達すると空白となり、また1から進んでいきます。それぞれスピードが異なり、照度も違うため、じっくり見ていると個性が感じられてきます。
②MOTアニュアル2024 こうふくのしま
今後の活躍が期待される4名の作家の作品を集めた展覧会。それぞれ非常に個性的な世界を構築しており、内容はコントラストが鮮やか。いずれの方も名前を存じ上げていなかったのですが、なんとなく入って見たところ世界にどっぷりと浸ることができる素敵な展覧会でした。
①清水裕貴
スピーカーから流れる朗読、様々な場所を映した写真、壁や床に映し出されるテキスト。朗読は架空の物語であるそうですが、流れてくるフレーズは聞き流せないような独特な内容。まったく知らない地名や種族の名前が出てくるのに、なぜか引き込まれます。
②川田知志
4つの壁すべてに描かれた鮮やかな絵画、《ゴールデンタイム》と題された大きな作品です。茶色い背景に水色の線が走り、そこに黄色やオレンジ、緑の造形が描かれています。色ごとにレイヤーが決まっているかと思いきや、実はそうではなかったり。竹林のようにも見えましたが、そうでもなかったり。見続けていると印象が変わっていきます。
③臼井良平
車止めやトタン屋根、ブルーシートやフェンスなど、町中で日常的に見かける人工物が並びます。素材としてではなく、そのまま展示されているのが新鮮。よく見ると全ての作品に共通する、見慣れたモノがあります。そしてそれが通常とは異なる素材でできていることに気がつくと、まったく違った世界が見えてきます。
④庄司朝美
ずらりと並ぶ絵画作品。一歩間違えれば恐ろしくも見えますが、人物の表情が柔らかいため不思議と楽しくも感じられます。置かれている双眼鏡に気がついたり、キャンバスではなくスクリーンであり変化していることを見つけるとさらに楽しくなってくる不思議な空間でした。
最後、出口付近の小さな部屋に展示されているのは《幸福の島》by 国吉康雄。今回の展覧会のタイトルとして引用された作品です。少々わかりにくい場所にあるので、お見逃しなく!
③坂本龍一 音を視る 時を聴く
世界中の様々なミュージシャンや芸術家から支持される、日本を代表する音楽家・アーティスト、坂本龍一。彼の大型インスタレーションとともに、高谷史郎やアピチャッポン・ウィーラセタクンといった様々なアーティストとのコラボレーション作品も展示しています。
そんな坂本龍一展ですが、非常に話題の展覧会であるため大混雑!!土曜日の15:00頃でチケット30分待ち、入場50分待ち。先に①MOTコレクション展や②MOTアニュアル展を見てきたのですが、入場待ちの行列はまったく短くならず。
スタッフさんにいろいろ話をきいてみると、これほどの混雑は初めてで、できるなら別日の方が良いかもとのこと。
ということで、出直します!!
せっかくなので霧の彫刻 #47662 《LIFE–WELL TOKYO》by 坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎だけ鑑賞。展覧会に入らなくても見ることができますが、霧の中に入るには入館が必要です。
なお、17:00過ぎても入場30分待ち。閉館18:00なので、最後に並んだ人はかなり急ぎ足になってしまったのかもしれませんね。
アクセスと営業情報
・東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口より徒歩9分
・都営地下鉄大江戸線「清澄白河駅」A3番出口より徒歩13分
・東京メトロ東西線「木場駅」3番出口より徒歩15分
開館時間 | 10:00~18:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 展覧会によって異なる |
公式サイト | https://www.mot-art-museum.jp/ |
※掲載の情報は2024年12月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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