CMでも話題となった水に浮かぶ能楽殿がインパクト抜群な神社。きれいに手入れされた境内は、清らかな空気が流れております。とても清々しい気分になれる場所です。
唯一神明造の社殿
鳥居をくぐるとすぐに拝殿が見えてきます。境内は一面砂利が敷かれた広々とした空間で、清々しい空気の流れる神社です。
拝殿の向こうには3社並んだ本殿があります。中央が天照大神、向かって右がこれまでの神職、そして左が崇敬者のご先祖を祀っているそう。
装飾などはほとんどない古来の姿は、伊勢神宮と同じ「唯一神明造」。切妻屋根の上には鰹木(かつおぎ)と呼ばれる木が並べられており、端には千木(ちぎ)が交差するように伸びています。
水に浮かぶ能楽殿
この身曾岐神社で特に有名なのが、こちらの能楽殿。水に浮かぶように建てられており、なんとも絵になる姿です。
この水というのは、見た目の美しさだけでなく実は機能性があります。まだ電気が無い時代、光を反射させて能舞台に届ける照明設備としての機能があったそう。また、水面で音を反響させて増幅させる音響設備でもあったのです。
能楽殿ばかりに目が行ってしまいますが、その隣にある鏡の間や回廊もとても美しい。水上建築というのは、なぜこうも魅力的なのでしょうか。
様々な催しが行われるステージ
能楽殿の前の芝生はひな壇になっており、まさにステージと客席のよう。一番手前の大理石のところは神様の席となるので、人間は立入禁止です。
この能楽殿は八ヶ岳薪能や観月祭といった祭事が行われる場所。なのですが、他にも様々な利用がなされています。
J-POPデュオの「ゆず」は、ここで何度もライブを開催しており、ファンの間では聖地として知られています。また、2017年にはauのテレビCM「夏のトビラ・英雄だけの夏」篇の撮影舞台にもなりました。
さらに、ここでは能舞台結婚式も行われています。こんな素敵なロケーションで挙式ができるなんて、一生の思い出になりそうですね。
境内の見どころ
能楽殿が見たくて訪れたのですが、せっかく来たのでもう少し境内を散策してみることにしました。
本殿の隣りにあるのは火祥殿。太陽光から結び出した炎を御神火として祀っています。毎月2日、12日、22日には開運厄除けの火祥神事が執り行われております。
一方、こちらは水祥殿。御神水の井戸を祀っており、車の清め祓いの神事を行っているそう。この御神水というのは、八ヶ岳より流れる湧き水。降り注いだ雨や雪が伏流水となり、80年という長い歳月をかけてここまで流れてくるそうです。
こちらは縁結びのご利益があるという子宝の杉。男性は左回り、女性は右回りに回るのが参拝方法とのこと。
響き渡るニワトリの鳴き声をたどっていくと、そこには烏骨鶏(うこっけい)がたくさん。白と黒、それぞれ多数飼育されており、なかなかにぎやか。この烏骨鶏は「御神鳥」とされているそうです。
身曾岐神社の歴史
こちらの石碑は旧社号標。かつてこの身曾岐神社は東京都の東上野にあり、「井上神社」という名でした。
この井上というのは、井上正鉄(いのうえまさかね)。幕末の国学者として知られる人物で、幼少期より学徳に優れていました。人々を救うために積極的な活動を行っており、神道の一派である伯家神道を継承します。
しかし、江戸幕府に邪教の疑いをかけられてしまい、牢に入れられてしまいます。島流しとなり、配流先の三宅島にて59歳の人生に幕を閉じました。
正鉄の没後、その思想は門人であった坂田鉄安らによってまとめられます。そして、正鉄を教祖とする教派神道「禊教」が立教。正鉄を祭神とした井上神社が建立されました。
1956年、この地を高天原と命名し東京より遷座。名を身曾岐神社と改めました。「みそぎ」という言葉には、「身を清める」だけでなく「きれいになる」という意味合いがあるそうです。(ちなみに「身曾岐」という漢字は全くの当て字とのこと)
アクセス情報
最寄り駅はJR中央本線の小淵沢駅ですが、バスはありません。徒歩だと約40分、タクシーを利用すれば約5分ほど。
車の場合は中央自動車の小淵沢ICより5分ほど。無料の駐車場があります。
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