くしろの自然&歴史を学べるミュージアム『釧路市立博物館』(釧路市)

道東

釧路に暮らす生き物や、海の生物、港町として発展した歴史やアイヌ文化など多彩な展示が魅力の博物館。釧路ならではの内容で、旅行で立ち寄るのにもおすすめなミュージアムです。

訪問日:2025/1/25(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

釧路の総合博物館

釧路駅から少し離れた春採湖の傍に立つ釧路市立博物館。もともとは1936年に釧路市役所内に設けられた「釧路市立郷土博物館」がルーツ。その後、何度か移設があり現在の博物館は1983年に完成したものです。

非常にインパクトのある外観は、釧路市出身の建築家・毛綱毅曠(もづな きこう)によるもの。金の鳥が翼を広げた姿をイメージしているそうです。この建築家、釧路市内をめぐっているといろいろなところで名前が出てきます。この後も登場しますので、難しい名前ですがぜひ覚えておいてくださいね!

受付のそばに鎮座するのはマンモスの骨格標本。ロシアでみつかった化石をもとに作られたレプリカで、体長は3.5m、体高は2.9m。

展示室は3フロアにまたがっており、それをつなぐのがこちらのらせん階段。二重らせん構造となっています。

釧路ならではの生物

こちらは日本最大の淡水魚イトウ。現在は北海道のみに暮らすサカナです。

ドームに入っているのはヤチボウズ。カブスゲやヒラギシスゲといったスゲ類の植物がつくりあげる株であり、釧路湿原の至る所で見られるシンボル的存在だそう。

阿寒湖のマリモは水槽で展示されています。糸状に岩に付着した「着生型」、綿のような姿で湖底に堆積する「浮遊型」は他の湖でも見られますが、このようにまるまった「集合型」は阿寒湖に限られます。

エゾヒグマ、エゾタヌキ、エゾモモンガ、エゾリスなど、エゾシリーズの動物たちの剥製もたっぷり。

4階には、タンチョウの剥製が並ぶタンチョウドームも。左右で季節が異なる世界は、なんともフォトジェニック。これ、屋内なんですよ!

多彩な海洋生物

巨大なトドの剥製もあります。体長3mはあるかという巨大な姿。鋭い牙と分厚い毛皮が迫力あります。

吊り下がるのはミンククジラの骨格標本。2005年の鯨類調査で捕獲された個体であり、体長7.5m.体重5.5t。釧路沖には夏から秋にかけて回遊してくるそうです。

カニ3人衆。手前からケガニ、タラバガニ、ハナサキガニ。こうしてみると、タラバガニが英語で”King crab”というのも納得です。

こちらはシロナガスクジラの下顎骨。釧路沖300kmで捕獲されたもので、体長は25m、アゴの骨は6.7mもあります。釧路港では1946〜1962年にかけて、約60頭ものシロナガスクジラが水揚げされていたそうです。年代的に、戦後の食料不足を補う意味があったのではないでしょうか。

漁業と炭鉱の歴史

横たわるのは大きな木造船。明治30年頃、新潟の漁師により釧路へ持ち込まれた川崎船であり、この船により、釧路の沖合漁業がはじまったそうです。最後の無動力船で、1952年頃まで活躍していたとのこと。

壁にびっしりと展示されているのは様々な道具。「昆布漁具」「銀杏草とり」さらには採炭に使用された「コールドリル」や「カーバイト灯」なども。釧路には釧路炭田があり、明治〜昭和にかけて大きな産業となっていました。

巨大なラッパ状のもの。何かの部品のようですが、3mほどとかなりの大きさ。これ、いったい何かわかりますか?

正解は「霧笛(むてき)」。これは釧路埼灯台に設置されていたものです。

6~7月の初夏にかけて、釧路では霧のかかる日が多くなります。視界の悪い霧の日には、沖合を運航している船舶に対してその位置を音声で知らせるための霧笛が鳴らされていました。町中に鳴り響く霧笛の音は、釧路の象徴のひとつ。釧路を歌った歌謡曲の歌詞にも登場することが多いです。

釧路の先史時代

本州が稲作中心となる弥生時代に入るころ、北海道では寒冷な気候のために米作りが広まらなかったことから縄文時代と同じ生活が続きました。

約2000年前から1300年前の時代を続縄文時代、約1300年前から700年前を擦文時代と呼び、本州とは異なる文化が形成されていました。

縄文時代から使われてきた縄目の文様は姿を消していき、代わりに登場するのが擦文土器。木片で文様が刻まれています。

こちらは東釧路人の墓。「仰臥屈葬」という仰向けで手足を折り曲げた姿にて残る人骨。赤い顔料であるベンガラが振りかけられています。この状態だと、とても人の骨には見えませんね。

見逃せないアイヌ文化

釧路にも多数のアイヌが暮らしておりました。ずらりと並ぶのは、魚の皮で作った衣服「魚皮衣」や木の皮製である「樹皮衣」。さらには狩猟の道具や漁労具も展示されています。

帯を織る女性のアイヌのマネキンも。よく見ると、口周りや手の甲にタトゥーが入っています。

ヒグマの霊送り「イオマンテ」の道具もたくさん。穴グマ狩りで捕らえた子グマは、集落の人々全員で育て上げます。大きくなったヒグマは、儀式によって親元の天上界に届けられます。束ねられた矢、木の枝にくくられた頭骨、植物の束はその際に使用する道具。呪術的な様相です。

様々な展示が並んでおり、非常に見ごたえのあるミュージアム。滞在時間は1時間くらいでした。

最後に1枚、4階で見かけた記念撮影スポット。

2.3mという巨大なヒグマは、剥製だとわかっていてもコワいです!!

アクセスと営業情報

JR釧路駅よりバスで10~15分ほどのバス停「市立病院」から徒歩5分ほど。

※バス停「博物館」もありますが、こちらは釧路駅を通らない路線であるためご注意ください

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜、11~3月の祝日、年末年始
料金 480円
公式サイト https://www.city.kushiro.lg.jp/museum/

※掲載の情報は2025年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

  1. […] 設計は釧路出身の建築家・毛綱毅曠。前々回の記事に書いた釧路市立博物館も手掛けています。読み方を忘れてしまった方のために、もう一度だけ平仮名「もづな きこう」を置いておきます。非常に難しい名前ですが、17日後くらいの記事にもまた登場するので、もう少し覚えていてくださいね! […]

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