東京・赤坂にある日枝(ひえ)神社は、様々なご利益を求めて多くの参拝者が集まる人気の神社。印象的なデザインの「山王鳥居」や、境内で多数見ることのできる「神猿」、稲荷参道の「千本鳥居」と見どころも多いです。
エスカレーター完備の参道
赤坂と永田町の間に建つ日枝神社は、「東京十社」にも数えられる都内を代表する神社。28mほどの高台に鎮座しているため、参拝するには石段を登っていく必要があります。
参道はいくつかありますが、一番多くの人が利用するのが赤坂見附駅や溜池山王駅から徒歩数分のところにある西参道。境内へは、重厚な鳥居が構える緩やかな階段を登っていきます。
この階段の傍には、なんとエスカレーターも完備。高齢者や障がい者でも比較的容易に参拝できるようにと2000年に設置されました。さらに、2021年には下りのエスカレーターも新設。ゆっくりと下るエスカレーターからは、赤坂の街並みや広々とした石段が広がる開放的な景色を楽しむことができます。
一方、永田町のある東側にも参道があり、こちらが表参道。53段の急な石段が立ちはだかり、「山王男坂」とも呼ばれています。エスカレーターに比べるとハードな道のりですが、一歩一歩踏みしめながら登っていくと雑念が消えていくような気持ちになれます。
山の神を祀る神社
参道を進んだ先にあるのが神門。
そして、神門の先にある拝殿。1945年の東京大空襲で焼失、1958年に再建されたものです。主祭神は山の地主神である大山咋神(おおやまくいのかみ)。
創建年は不明ですが、もともとは武蔵国の武士である江戸氏が山王宮を祀っていたものがルーツであるそう。室町時代には太田道灌が江戸城築城にあたり、川越の無量寿寺(現在の喜多院・中院)より川越日枝神社を勧請、さらに徳川家康によって江戸幕府が開かれると「城内鎮守の社」として崇敬されました。
境内には神猿がたくさん
社殿や社地を守る神様である随神像が安置されている神門。この日枝神社では、隋神に加えて猿の姿をした像も祀られています。
主祭神の大山咋神の使いが猿であることから、境内では多数の猿を見ることができます。「神猿(まさる)」と呼ばれるこの猿、「魔が去る」という語呂から、勝運や魔除けの神としても信仰されているそうです。
さらに拝殿の前にも、狛犬ではなく神猿像が置かれています。向かって左手には、子猿を抱えた母猿の姿。家内安全や安産祈願をする方が多いそうです。
一方、向かって右手には父猿の姿。こちらは商売繁盛や社運隆唱を祈願して撫でていくとこのこと。
絵馬にも可愛らしい日枝神社公式キャラクターの「まさるくん」が描かれていました。よくみると「山王」と書かれているデザインが秀逸です・・・!
千本鳥居が並ぶ山王稲荷神社
そんなお猿さんの姿を多数見ることができる境内ですが、山王稲荷神社も祀られています。
こちらは日枝神社が現在地に遷る以前からこの地に鎮座していた神社であるそう。1657年の大火で焼失しており、1659年の山王社造営にあわせて造営されたという歴史ある建築。千代田区内で唯一の江戸時代初期の木造建築とのことです。
参拝した際は既に閉門していたので、玉垣の隙間から少し覗かせてもらいました。よく見ると、社殿の周りには白い狐の置物がびっしり!
さらにこの山王稲荷神社の傍には、もう一つの参道である稲荷参道があります。赤い鳥居がずらりと並ぶ「千本鳥居」の姿をしております。
鳥居の間隔が狭く、なおかつ一直線であるため密度の高い神秘的な千本鳥居を写真に納めることができます。
山王鳥居と山王信仰
さて、この日枝神社の鳥居が普通とは異なる特徴的な姿をしていることにお気づきでしょうか。
鳥居の上部の笠木の上に、三角形の破風のようなものが乗っています。こちらは「山王鳥居」と呼ばれるタイプの鳥居。
滋賀県大津市にある日吉大社にルーツがある山王信仰の神社で見ることができます。山王信仰というのは比叡山に鎮まる神を祀る信仰。全国にある日枝神社・日吉神社はこの信仰に基づいて建てられた神社なのです。
神道と仏教が混じりあった神仏習合の時代には、山王権現とも呼ばれていました。この山王鳥居は、そんな時代に仏教の胎臓界・金剛界と神道の合一を表して生み出されたそうです。
アクセスと参拝情報
・東京メトロ千代田線の「赤坂駅」出口2より徒歩3分
・東京メトロ南北線・銀座線の「溜池山王駅」出口7より徒歩3分
・東京メトロ千代田線の「国会議事堂前駅」出口5より徒歩5分
・東京メトロ銀座線・丸の内線の「赤坂見附駅」出口11より徒歩8分
開館時間 | 6:00~17:00 |
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料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.hiejinja.net/ |
※掲載の情報は2024年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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