リアルな再建天守と石仏が埋まる石垣『福知山城』(福知山市)

京都府

明智光秀が築いた城として知られる福知山城。リアルに再建された木造風の天守閣や仏像や墓石などの転用石をとりこんだ石垣など歴史を感じる見どころに加えて、喋る自販機やライトアップなどカジュアルな楽しみ方もできる城郭です。

訪問日:2022/5/8(日)

福知山城のヒストリー

京都府北部の福知山市。ここを代表する観光スポットが福知山城。高台に建つ平山城で、街を見守るように鎮座しています。

訪問する前に、まずは簡単に福知山城の歴史をご紹介!

福知山城は、織田信長に中国攻めを命じられた明智光秀が、丹波を平定した際に築城した城郭。しかし、築城後のわずか3年で本能寺の変がおこり、それに続く山崎の戦いで光秀は秀吉に討たれます。

その後は、羽柴秀勝、杉原家次、小野木重勝と城主が変わり、関ヶ原の戦い以降は有馬豊氏が入城。近世城郭に改修を行い、城下町を整備しました。

豊氏が久留米藩へ転封されると、その後は次々と城主が変わって行きますが、最終的に土浦藩の朽木植昌(くつきたねまさ)が入城。以後、明治時代まで200年にわたり朽木氏がこの地を治めて行きます。

その後は、日本各地の他の城郭と同様に、明治時代の廃城令にて解体。300年の歴史に幕を閉じました。

気軽に見学できる城郭

現在は、福知山城公園として整備され、自由に見学することができます。市街地からも近く、非常に訪問しやすいお城です。

天守へ向かうには、まず昇龍橋を渡ります。非常に優美な太鼓橋ですが、なかなかの急傾斜。この橋を迂回していくルートもあります。

その後、天守まではスロープが続きます。楽々ではありませんが、それほどハードでもない、ほどよい上り坂。

登った先の天守台からは、市街地が見渡せます。開放的で心地よい空間です。

リアルに再建された天守

明治時代の廃城令によって解体された福知山城ですが、昭和後期になると、まちのシンボルとして天守再建を望む声が大きくなっていきます。瓦1枚3,000円の寄付を募る「瓦一枚運動」などが行われ、1986年に見事再建が果たされました。

絵図などを参考に再建された連結式望楼型の天守。構造は鉄筋コンクリートですが、外観は木造風に仕上げられており、非常に趣があります。天守内部も見学可能なのですが、訪れたのが夕方であったためもう閉館しておりました。

石垣からはみ出しそうなほどぴったりに建てられており、さらに一層に比べて二層の方がわずかに大きく造られています。近くでみるとかなり圧迫感がある天守です。

この福知山城、2020年に明治以前の天守の写真が発見されました。古い写真のためぼんやりとしか写っていませんが、そこに映る天守の姿は現在再建されたものと非常に似通っています。

再建天守の中には観光用に見栄えを重視した結果、歴史資料とは大きく離れた姿で再建されたものも多数存在しております。この福知山城の天守は、ほぼ正しい姿で再建されているのですね。

本丸で見つけたもの

天守閣に入ることはできませんでしたが、せっかくここまで来たので本丸を少し散策してみることにしました。

天守の隣には朝暉神社(あさひじんじゃ)が鎮座しています。福知山初代藩主である朽木稙昌が、父・稙綱(たねつな)を藩祖として祀ったことにはじまる神社だそうです。明智光秀の印象が強い福知山城ですが、江戸時代以降200年にわたり治めてきたのは朽木氏ということを忘れてはいけませんね。

高さ150cmにも及ぶ立派な鯱は福知山城天守閣復元鯱瓦日本の鬼の交流博物館の巨大鬼瓦でもおなじみ日本鬼師の会が平成18年に作り上げたものだそう。言われて見れば目つきや鋭いキバは鬼瓦に通ずる迫力がありますね。

こちらは豊磐井(とよいわのい)という井戸。深さは50mで、城郭本丸内の井戸では日本一の深さとのこと。その深さは海抜を下回り、近くを流れる由良川の川底よりも深くまで達しているそうです。

ちなみに日本一深いといわれる丸亀城の井戸は約65m!こちらは二の丸にあるため、「本丸内」という注釈を付ければ福知山城の井戸が日本一となります。

神をも恐れぬ転用石

自然の石を未加工でそのまま積み上げた「野面積み」の石垣・・・なのですが、よく見ると明らかに整形された石も混じっています。

こちらはなんと五輪塔や石仏といった寺院の石造物。このような石材は「転用石」と呼ばれており、短い期間で築城が強いられる中での石材不足を補うために、寺院や墓所を破壊して石材を調達していたと考えられています。

本丸には、そんな転用石がたくさん並んでいます。再建時の発掘調査では、なんと500個あまりの転用石が見つかったそうです。

いくら材料不足だからとって、お墓を破壊するのはバチが当たりそうですが、この転用石には、当時力を強めていた寺院勢力を否定する意味合いもあったそう。さらに、城を守護するという意識があったのでは、とも考えられています。

なお、同時期の城郭である安土城(滋賀県)大和郡山城(奈良県)でも転用石を見かけることができます。

光秀が喋る自動販売機

天守の開城時間を過ぎた夕方に訪問したのは、理由があります。この福知山城はライトアップを行っているのです!

ということで、日没まで待機。まだ5月とはいえ日中はなかなかの暑さだったので薄着で来てしまったのですが、徐々に気温が下がり身体が冷えてきました。

そんなときに目に付いたのが、天守目の前に設置された自動販売機。何か温かい物を・・・・!コインを入れると「そなた、只者ではないな」という声が!!

この自動販売機、喋ります!!!

しかも、その声の主というのが明智光秀。「福知山、良いところであろう」とささやきます。寒空の中、誰もいない天守台で待機していたため、温もりあふれるイケメンボイスに物凄く癒されました。

ライトアップも開催

そうこうしているうちにすっかり日が暮れてライトアップ開始。福知山城では日没から夜の22:00まで毎日ライトアップが開催されています。真っ暗な中に浮かび上がる天守はとっても幻想的。

時期によってはカラー照明やプロジェクションマッピングなどのライトアップイベントも開催しているそうです。

さらに、エッセンシャルワーカーへの感謝の気持ちを込めたブルーライトアップ、「福知山市みんなの多様な性を尊重する条例」に合わせたレインボーライトアップ、児童虐待のない社会を目指すオレンジリボン運動に合わせたオレンジライトアップなど、メッセージ性の強いライトアップも行われています。

現代においてもまちのシンボルとしてたたずむ福知山城、今後も様々なメッセージを人々に送りつつ、街を見守って行くことでしょう。

アクセスと営業情報

JR・京都丹後鉄道の福知山駅より徒歩15分。

車の場合は舞鶴若狭自動車道の福知山ICから約5分。駐車場は水路を挟んだ向かい側、「ゆらのガーデン」を利用します。ゆらのガーデンは飲食店やショップが並ぶとってもおしゃれな施設です~。

福知山城公園は24時間開放されていますが、天守閣は時間が決まっておりますのでご注意ください。

開館時間 9:00~17:00
休館日 火曜
料金 330円
公式サイト https://www.fukuchiyamacastle.jp/

※掲載の情報は2022年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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