レトロな煉瓦のミュージアム『舞鶴赤れんがパーク・赤れんが博物館』(舞鶴市)

京都府

ノスタルジックな独特の雰囲気を持つレンガ建築。レンガの歴史や建築についてたっぷりと知ることができるのが、舞鶴赤れんがパーク内に建てられた赤れんが博物館。レンガ建造物の模型や、再現されたホフマン式輪窯など、感覚的にも楽しめるミュージアムです。

訪問日:2022/5/9(月)

舞鶴赤れんがパーク

舞鶴にはかつて横須賀・呉・佐世保と並ぶ海軍の拠点である鎮守府が置かれており、倉庫として多数の赤れんが建造物が建てられました。現在は12棟の赤れんが倉庫が立ち並び、そのうち8棟が国の重要文化財に指定されています。

そんな倉庫群を保存・活用したのが舞鶴を代表する観光スポット、舞鶴赤れんがパーク。博物館やイベントホール、カフェなどが並んでおり、観光施設でありながらも地域交流施設としての役割も果たしています。

レンガの醸し出す趣深い景観が人気で、映画やドラマのロケ地としても良く利用されています。近年では2017年公開の「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」や2019年公開の「アルキメデスの大戦」などでも撮影が行われたそうです。

レンガ専門のミュージアム

舞鶴のまちや赤れんが建築についてさらに知識を深めたい方におすすめなのが、パーク内にある「赤れんが博物館」。その名の通りレンガ専門という非常にレアなミュージアムです。

この建物は、もともと海軍の魚雷格納庫として建設されました。国から舞鶴市に払い下げられた後、1993年に世界初となるレンガの博物館としてオープンしました。

館内ではレンガにかかわる様々な資料やパネルが展示されています。世界の代表的なレンガ建築やレンガの歴史、さらには現代のレンガについての展示などもそろっております。情報たっぷりな解説パネルに加えて、レンガの実物や模型などもあるため、感覚的にも楽しめるミュージアムです。

日本のレンガの歴史

紀元前8000年頃から建築に利用されていたとされるレンガ。メソポタミア文明やエジプト文明など、古代文明において使用されてきたといわれています。

日本へは、飛鳥時代から奈良時代にかけて仏教建築のために伝わってきました。この頃はレンガではなく「塼(セン)」と呼ばれていたそう。

本格的に活用されるのは幕末から明治時代にかけて。イギリスやフランスから招かれたお雇い外国人は、建設材料としてレンガを導入、製造を指導していきます。

このときに北海道庁旧本庁舎、東京駅、大阪市中央公会堂など、今なお残るレンガ建築が完成。さらに世界遺産にも指定された富岡製糸場なども建てられていきます。

ホフマン式輪窯

こちらのレンガ積みの部屋は、ホフマン式輪窯を再現したもの。「輪窯」という名が示す通り、ループ状になっております。

通常の窯でレンガを焼く場合、以下の工程を踏む必要があります。

①レンガを並べる
②火をつける
③焼き上がったら火を消して冷ます
④レンガを取り出す

ホフマン式輪窯は、窯がリング状にぐるっとつながっています。最初の部屋でレンガを焼いている間に、その余熱で次の部屋のレンガを乾燥させます。また、その間にさらに先の部屋にレンガを積み上げてスタンバイしていきます。

最初の部屋のレンガが焼き上がると、火はそのまま次の部屋へ。焼き上がったレンガを冷ましている間にも次の工程が進んでいくため、途切れることなく効率良くレンガを焼くことができるのです。

最盛期には全国に50基以上あったそうですが、現存するのは舞鶴にある神崎ホフマン窯をはじめわずか4基だけとなっています。

海軍のまち・舞鶴

この博物館ではレンガだけでなく、舞鶴というまちについても学ぶことができます。舞鶴はもともと半農半漁の村でしたが、明治時代に入ると急速に軍港都市として整備が進められます。対ロシア戦略上の拠点として鎮守府が置かれ、海軍のまちへと姿を変えていくことになります。

こちらは舞鶴東港のジオラマ。赤レンガパークやドックなど様々な港湾施設が並びます。

ユニークなのは通りの名前。舞鶴の市街地は鎮守府設置に伴い碁盤の目状に整備されているのですが、各通りには「三笠通り」「敷島通り」など、海軍の艦船にちなんだ名前がつけられています。

この名は現在も残されております。戦艦のシルエットを記した指標も設置されているので、街歩きしながらめぐってみるのも面白そうです!

海軍グルメも楽しめる

さて、れんがや舞鶴についてたっぷり学んだところで、とってもお腹が空きました!

赤レンガパークには、「5号棟カフェ」「Cafe Jazz」という飲食店が入っており、海軍カレー肉じゃがといった海軍グルメを楽しむことができます。

こちらはCafe Jazz「肉じゃが丼の卵とじ」。肉じゃがに卵というのは初めて食べる組み合わせですが、甘しょっぱい味付けに卵が合わないわけがありません!添えられた紅ショウガも良いアクセントになってます。

肉じゃがは、カレーとともに、海軍が洋食を日本人向けの味に改良したメニュー。発祥の地については諸説ありますが、近年では舞鶴・呉の双方が発祥地ということで落ち着いているようです。

さてさて、お腹も落ち着いたところで赤れんがパーク最大の見どころともいえる「海軍ゆかりの港めぐり遊覧船」へと向かいます!続きは次回。

アクセスと営業情報

東舞鶴駅駅より徒歩20分、もしくはバスで約10分。車の場合は舞鶴若狭自動車道の舞鶴東ICから約15分。

博物館は国道27号から見て赤レンガパークの一番奥にあります。駐車場は台数の多い「赤れんがパーク駐車場」に停めて歩いて行くのが一般的。
(博物館だけが目当てでしたら、赤れんがパークの北側、「舞鶴警察署 東庁舎」の奥にも駐車場がありますが台数は少な目なようです)

開館時間 9:00~17:00
休館日 年末年始
料金 400円
公式サイト https://akarenga-park.com/facility/facility_01.html

※掲載の情報は2022年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

  1. […] […]

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