壮大な伽藍を彩るシダレサクラ『醍醐寺』(京都市伏見区)

京都府

京都最古の木造建築物である五重塔をはじめ、歴史ある伽藍が立ち並ぶ世界遺産の寺院。春に訪れると、枝垂桜や山桜など数多くのサクラが咲き誇り「花の醍醐」の姿を見せてくれます。

訪問日:2023/3/26(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

広大な境内をもつ寺院

京都駅周辺から少し離れた伏見区にある真言宗醍醐派の総本山、醍醐寺。空海の孫弟子にあたる聖宝という僧によって平安時代に開かれました。応仁の乱によって荒廃するも、豊臣秀吉によって再興されます。1994年には「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されました。

そんな醍醐寺、「下醍醐」「上醍醐」に分かれております。多くの人が参拝するのは下醍醐。もし上醍醐まで行く場合は、山道を1時間ほど登る必要があります。

また、下醍醐も五重塔をはじめとした国宝建築が並ぶ「①伽藍」、美しい庭園が魅力の「②三宝院」、約10万点の寺宝を収蔵する「③霊宝館」と3つのエリアに分かれております。

醍醐寺境内はとても広く、下醍醐だけでもけっこうな歩行距離となります。「①伽藍」の奥にある観音堂や弁天堂まで行くと、往復だけでも30分ほどかかりますのでご注意ください。

①壮大な建築が広がる伽藍エリア

総門をくぐり、正面に見えてくるのが重厚な西大門(仁王門)。1605年に豊臣秀頼によって再建されたものです。

巨大な建築は、国宝の金堂。豊臣秀吉の発願により紀伊国(和歌山県)より移築、秀頼の代に完成したものであり、本尊の薬師如来像を安置しています。

同じく国宝の五重塔。総高38mですが、屋根の上に伸びる相輪部が12.8mと、約3割近くを占めています。951年に建立されたもので、応仁の乱でも兵火を免れます。京都府下で最も古い木造建築物とのことです。

五重塔に向き合うような形で配置されている清瀧宮本殿。醍醐寺の総鎮守である清瀧権現(せいりゅうごんげん)を祀る鎮守社で、毎年4月には清瀧会(桜会)が行われるそう。石垣の上で苔むした姿が、非常に趣きのある建築です。

伽藍エリアを奥まで進むと、上醍醐へのゲート。ここから山を登って1時間ほどかかるそうです。このゲートは一度出てしまうと、再入場できなくなるのでご注意ください。

②庭園が魅力の三宝院エリア

三宝院は醍醐寺の塔頭であり、歴代座主が居住する本坊的な存在。

境内にある三宝院庭園は、豊臣秀吉が自ら基本設計をした庭。秀吉一世一代の催し物といわれる「醍醐の花見」に際して造り上げたそうです。

特別公開を行っていた御殿内部では、葵祭の風景が襖に描かれた葵の間(重文)や秋の七草が描かれた秋草の間(重文)など、様々な見どころがあります。国宝の表書院には、金色の厨子に千手観音像が納められていました。

奥宸殿にあるこの違い棚、「醍醐棚」と呼ばれています。壁にくっついておらず、ロウソクを灯すと透かし彫りが壁に映るという仕掛けがあるそう。修学院離宮の「霞棚」、桂離宮の「桂棚」と合わせて「天下の三大名棚」と呼ばれているとのことです。

③仏像がずらりと並ぶ霊宝館エリア

霊宝館は、10万点以上にも及ぶ寺宝を展示したミュージアム。入口から見ると小さな建物に見えますが、非常に奥行きがあり、館内はかなり広々としております。

迫力のある五大明王像、華やかな堂本印象の襖絵、金属製の金銅両界曼荼羅、国宝の薬師如来及両脇侍像など、見ごたえのある寺宝が多数。解説や保存修理のビフォーアフター写真などもあり、知識がなくても楽しめるように工夫されています。

必見は鎌倉時代に作られた「水晶宝龕入り阿弥陀如来立像」。レンゲのツボミを象ったクリアーな水晶の中に金色の如来像が埋め込まれた、非常にインパクトのある仏像です。平成30年に初めて公開されましたが、微妙なバランスであるため移動が難しく、ここ以外では展示されないとのことです。霊宝館に来たらぜひ見ておきたい作品です。

霊宝館の隣には「仏像棟」もあり、千手観音像など多数の仏像を展示しています。こちらは一部屋だけの小さな展示室でした。

シダレザクラの名所

「花の醍醐」と称される醍醐寺、境内には枝垂桜、ソメイヨシノ、山桜、八重桜など、約700本ものサクラが咲き誇ります。

「①伽藍」「②三宝院」「③霊宝館」いずれのエリアにも多数のサクラが花開いており、どこを見てもサクラに彩られた華やかな光景が広がります。

特に目に付くのはぶわっと広がる枝垂桜!参道や三宝院をはじめ、境内各所に多数植えられております。五重塔との組み合わせは、醍醐寺を象徴する景色です。

土曜日の訪問だったので混雑が心配・・・ということで、朝イチを狙って開門時間の15分前に訪問すると、既に受付には長蛇の列が!!さすが京都有数のサクラの名所、やっぱり混雑してるなぁと思ったのですが、いざ開門してしまうと、それほど人が密集した感じはありません。おそらく境内が広いため上手いこと分散されていくのでしょう。

なお、サクラの期間中は拝観券の金額が少し変わります。2023年度は、「①伽藍」「②三宝院」「③霊宝館」の3エリア共通券が1,500円でした。さらに、三宝院の御殿内部は別途500円、霊宝館の入口では500円以上の寄付を求められたので、思った以上にお金はかかりました。

他の寺院の拝観料に比べると少し高く感じますが、広い境内でたっぷり楽しめたので大満足でした!

アクセスと拝観情報

地下鉄東西線の醍醐駅より徒歩10分ほど。京都駅八条口から「京都醍醐寺ライン」という直通バスもあり、これを利用すれば30分ほどでアクセスできます。

拝観時間 9:00~17:00 ※冬季は16:30まで
料金 通常期1,000円(①伽藍+②三宝館、③霊宝館は寄付制)
公式サイト https://www.daigoji.or.jp/

※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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