ハートの猪目窓と竹林のざわめき『竹の寺 地蔵院』(京都市西京区)

京都府

苔寺、鈴虫寺のすぐ近くに建つ寺院。竹林と苔が織りなす情緒あふれる景観を、静かな中でたっぷりと堪能できます。方丈の猪目窓は、ハート形の窓として人気の撮影スポットです。

訪問日:2023/3/27(月) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

静けさに包まれた境内

地蔵院は作庭家として著名な僧・夢窓疎石によって開かれた寺院。竹林に包まれていることから「竹の寺」としても知られています。

すぐ近くには「苔寺(西芳寺)」「鈴虫寺(華厳寺)」と人気の寺院が集まっており、一度にめぐる方も多い人気のエリア。今回は鈴虫寺のあと、苔寺の予約時間まで空いた時間に訪れました。

他の寺院に比べると人が少なくとても落ち着ける雰囲気。境内に入っただけで、心がすっと落ち着いてきました。

竹に包まれた境内

参道には多数の竹が育っており竹林の道を作り上げています。

竹林の道ときくと嵐山が真っ先に浮かびますが、常に多くの人でにぎわうそちらに比べてこちらは混雑とは無縁。風が吹くと葉がさわさわ、そして竹の軋む音が響きます。

竹林の道の先に現れる本堂。伝教大師こと最澄の作といわれる延命安産の地蔵菩薩を本尊として安置しています。

本堂の傍には「一休禅師母子像」。かつて一休さんこと一休宗純が6歳で出家するまでの幼少期、母とともにこの寺院で過ごしたと伝わっているそうです。

心が落ち着く方丈

本堂から先に進むと苔の道が続いています。グリーンがあざやかです。

その先にあるのが方丈。靴を脱いであがることができ、縁側に腰掛けてゆったりと過ごすこともできます。

目の前に広がる平庭式枯山水庭園。一面に広がるスギゴケのグリーン。ところどころに落ちたツバキの花が良いアクセント。

よく見ると木々に隠れて大きな岩が多数置かれています。この庭園は「十六羅漢の庭」とも呼ばれており、もしかしたらこの岩が十六羅漢を表しているのかもしれません。

夢窓疎石が開山の寺院なので、当然この庭園も夢窓疎石作かと思いきや、宗鏡禅師という僧の作。このお寺の歴史をよく見ると、開山・夢窓疎石となっていますが、実際に開いたのは、その弟子である宗鏡禅師とのこと。これは、宗鏡禅師が恩師である夢窓疎石を開山として勧進、自らは第二世となったためであるそうです。

細川家に縁の寺院

方丈で見つけたのは九曜紋こちらは細川家の家紋として知られています。この地蔵院、開基が細川頼之という細川家の守護大名。そのことから、細川家に縁のある寺院となっています。

茶室には細川ガラシャ殉節之経と描かれた絵も飾られています。細川ガラシャといえば、明智光秀の三女で細川忠興の正室であった人物。悲運の女性キリシタンとして知られる彼女の強い信念を感じる絵です。

見応えのあるのは襖絵・瀟湘八景の図。瀟湘(しょうしょう)とは中国湖南省の瀟水と湘水が合流する地点。この地の勝景を8つ選んだもので、近江八景など国内で見る○○八景はこれにならったものであるそう。

実はこの襖絵、細川護熙元総理が描いたものであるそう。常に公開されているわけではないそうなので、気になる方は確認してから訪れるのが良さそうです。

ハートの猪目窓

注目は方丈の猪目窓。ハートのような形から、撮影ポイントとしても人気が出ています。

この猪目という形は日本に古来からある文様。魔除けや火伏せの意味があるそうで、お寺や神社の建築でよく見かけることができます。

ここでは、猪目窓と同じカタチをした招福猪目御札もあります。願い事や感謝を書き込み、吊るして奉納します。

アクセスと拝観情報

阪急嵐山線の上桂駅から徒歩約12分。
バスの場合は京都駅から京都バス(73系統)で約60分の「苔寺・すず虫寺」下車後、徒歩3分ほど。バス停からは階段を登っていきます。

拝観時間 9:00~16:30
拝観休止日 1月10日~2月10日の水曜と木曜
料金 500円
公式サイト https://www.takenotera-jizoin.jp/

※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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