小野小町ゆかりの寺院として知られる隨心院。梅の名所であり、それにちなんだ「はねず踊り」も開催されています。カラフルで幻想的な襖絵や、お気軽にできる恋文の供養も行っており、カジュアルな雰囲気も感じるお寺です。
小野小町ゆかりの寺院
真言宗善通寺派の大本山である隨心院。弘法大師の八代目の弟子である仁海が991年に創建したと伝わる寺院です。
隨心院が建つ「小野」という土地は、もともと小野一族が栄えていた場所。平安時代の歌人・小野小町もそんな小野一族の人物であり、この寺院にて余生を過ごしたといわれています。
境内には小野小町の歌碑も立てられています。そこに刻まれているのは、「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」という歌。色あせた花に、老いた自分を重ねて嘆くという儚げのある内容です。
境内にある小野小町の邸宅跡には立派な石造の井戸が残っております。小野小町はこの水で化粧をこしらえていたという伝承から「化粧井戸」と呼ばれています。かなり大きな井戸なので、ちょっと露天風呂みたいです。
梅の名所として知られる境内
この随心院は梅の名所としても知られています。境内の小野梅園には約230本の梅の木が植えられており、咲き始めの2月末から3月中旬にかけて見頃を迎えます。
3月下旬頃に訪問したところ、梅の花はおしまいの時期。かわりに黄色いレンギョウがきれいな花をつけていました。
最も多い薄紅梅の色である薄紅梅色を「はねずいろ」と呼ぶことから、随心院の梅は「はねずの梅」とも呼ばれているそうです。
華やかな衣装のはねず踊り
そんなはねずの梅にちなんで随心院にて開催されているののがはねず踊り。はねず色の小袖に身を包んだ少女たちが踊りを披露するイベントで、毎年3月の第4日曜に開催されています。2023年は4年ぶりの開催であるそうです。
たまたま訪問した日がちょうどそのとき!会場となる大玄関へ行ってみたのですが・・・。
傘で見えません!!
雨の日だったため、観客の傘が見事なまでのカバーとなって、舞台の様子が全くわかりません。立ち位置を変えて、なんとか傘の隙間からわずかに拝むことができました。
このはねず踊りは、かつて里の少女たちが踊っていたと伝わる踊りであり、1973年(昭和48年)に復活したものであるそう。通常は屋外の舞台で行われるそうですが、この日は雨であったため屋内の舞台にて開催されていました。(※この日は拝観料が1,000円となっていました。)
色鮮やかな襖絵の世界
靴を脱いで「庫裏(くり)」を進むと、「表書院」や「奥書院」といった諸堂の内部をめぐることができます。せっかく来たので、もう少しいろいろ見学していきましょう!
多数の襖絵を見ることができますが、ひときわ目立つのは「能の間」に飾れらたこちらの襖絵。
こちらは小野小町の一生を描いた「極彩色梅色小町絵図」。京都を拠点に活躍する二人組アーティスト「だるま商店」によって2009年に制作、奉納されたものであるそう。
華やかな色彩と、包み込むような花が幻想的な作品です。この絵をあしらったグッズも取り扱っていました。
文張地蔵に込められたラブレター
この寺院には、多くの人々から寄せられた文を下張りして造られたという「小野小町文張地蔵尊像」という像が安置されています。文を下張りというのは、どういうことでしょうか?
像そのものは撮影禁止でしたが、近くにはかわいらしい解説パネルが。張られた文というのは実らなかった恋文、すなわちラブレターを供養するためのものであるそう。
その多くの恋文というのは、小野小町のもとに寄せられたもの。絶世の美女と謳われた小町のもとには、数多の男性から恋文が集まってきていたのです。
そんなエピソードにちなんで行われているのが文張供養。このカードに、かつて自分に想いを寄せてくれた人が自分にかけてくれた言葉を思い出して記します。
そして文張地蔵を象ったこちらのポストに投函することで、その恋文を供養することができます。
さぁ、恥ずかしがらずに青春時代の甘酸っぱい思い出を振り返ってみましょう!!といいたいところですが、自分の恋ではなく、あくまで人から寄せられた恋文が対象。恋文なんてもらったことが無い人は、虚無の表情で通り過ぎるしかなさそうです。
アクセスと拝観情報
地下鉄東西線の小野駅より徒歩5分。「醍醐寺」から歩いて15分、「勧修寺」から歩いて10分ほどなので、健脚な方は徒歩で寺院めぐりするのもおすすめです。
拝観時間 | 9:00~17:00 |
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料金 | 500円 |
公式サイト | https://www.zuishinin.or.jp/ |
※掲載の情報は2023年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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