奥嵯峨野に位置する化野(あだしの)は、古来より人々の葬送の地。西院の河原にずらりと並ぶ石塔は、無縁仏を弔うために集められました。異国を感じるトーラナや苔の庭、そして竹林の道など見所の多い寺院です。
※12~2月は15:30受付終了
料金:500円
伝統家屋が並ぶ嵯峨鳥居本
最寄り駅はJR山陰本線の嵯峨嵐山駅。そこから2kmほど離れているため、徒歩だと30分くらいかかります。
今回は化野念仏寺のさらに奥にある愛宕(おたぎ)念仏寺までバスで移動、そこから歩いて他のスポットと合わせてめぐりながら駅へもどる「嵯峨野めぐり」コースでまわりました。
あだし野念仏寺があるのは嵯峨鳥居本と呼ばれる情緒あふれるエリア。古民家や鮎料理の店、雑貨屋さんなどが並びます。
ここは京都に4ヶ所しかない伝統的建造物群保存地区に指定されています。町並みの景観を保存するために電柱も立っておらず、電線は地面の中を通っているそう。
風葬地に建つ寺院
そんな街道から石段を登ったところにあるのがあだし野念仏寺。本堂では、ご本尊である阿弥陀如来坐像が安置されています。
あだし野の「あだし」は、「儚い」といった意味をもつ古語。
かつて、この地では埋葬せずに晒した状態で自然に還す風葬と呼ばれる葬送が行われていました。
風葬は東山の鳥部野(とりべの)、船岡山の蓮台野(れんだいの)でも行われており、化野と合わせて三大風葬地とも呼ばれています。
弘法大師・空海が土葬を伝え、野ざらしとなっていた無縁仏をこの地に埋葬したことが念仏寺のはじまりといわれています。当初は真言宗の五智如来寺という名でしたが、鎌倉時代に浄土宗の宗祖である法然によって念仏道場となります。そのときに宗派が浄土宗に変わり、念仏寺と呼ばれるようになりました。
墓石が並ぶ境内は、身が引き締まります。
海のように広がる「苔の庭園」
境内を進んでいくと、目に入るのはコケの庭園。ここもまた苔寺と呼んで差し支えないほどモスグリーンの世界が広がります。
凄くフカフカしたコケはまるで海、もしくは雲海のようです。ところどころ石仏が浮かんでいる様子に、幽玄な世界観が現れています。
そんな苔の中に建つのは虫塚。文字通り虫を供養するための塚で、毎年9月には祭壇を作り、虫にお経をあげて供養するそう。
異国を感じる「トーラナ&仏舎利塔」
変った形の鳥居を見つけました。通常見かける鳥居とは異なり貫(ぬき)が1本多く、横線が3本になっています。
こちらはトーラナといい、ヒンドゥー教寺院などで見られる門です。日本の神社鳥居の起源の1つではないかともいわれています。多くの寺院が存在する京都でも、トーラナはここでしか見ることができないそう。
トーラナの先には仏舎利塔。びっしりとした石積みで、寺院の遺跡のような重厚な外観です。上部に続く階段がありますが、通行禁止でした。
隙間なく並ぶ石塔「西院の河原」
賽の河原を模して「西院の河原」と名付けられたこのエリアには石塔がびっしり。その数は約8,000体に登ります。
石仏・石塔は、かつてこの地に葬られた人たちのお墓。山の中に散らばっていたものをこの地に集めたものだそう。
5つのパーツが積み重なる五輪塔。下から地輪・水輪・火輪・風輪・空輪と呼ばれており、丸や四角などそれぞれ異なった形をしています。
風流な「竹林の道」
境内の奥には竹林の道があります。嵐山の「竹林の小径」より少しだけ小ぶりですが、こちらは訪れる人も少なく写真に撮りやすいのがポイント。
Windows7のテーマ「日本」には、富士山やタンチョウヅルとともにこちらの竹林の写真が使用されていました。
登った先には六面六体地蔵。六角形の各面それぞれに、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人道、天道の6つの世界「六道」を表すお地蔵さまが彫られています。天道から時計まわりに水をかけて罪を洗い流しながらお参りするそうです。
境内はそんなに広くないのですが、次々と場面が切り替わっていくので、短編映画を見ているような気持ちになりました。
このあとは、引き続き嵯峨野めぐり。嵐山方面へと進み、祇王寺を訪ねます。
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