渋谷で感じる非日常現代アート『UESHIMA MUSEUM』(渋谷区・渋谷)

東京都(23区)

彫刻や絵画からデジタルアートまで、多数の現代美術作品をコレクションした都市型美術館。ジェームス・タレルからチームラボまで、インスタレーションを展示した部屋もあり、非日常感にたっぷり浸ることができるミュージアムです。

訪問日:2025/8/23(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

事前購入が必要な美術館

UESHIMA MUSEUMは2024年6月にオープンした、まだ新しいミュージアム。渋谷と原宿の間あたり、渋谷教育学園内にあります。

ここは、同学園出身の事業家・投資家である植島幹九郎による現代美術コレクションを収蔵・展示している美術館。事前予約制であり、クレジットカードによる事前決済が必要。申し込み時に入力したメールアドレスにQRコードが届き、建物や各展示室に入る際に提示します。

エントランスで来館者を出迎えるのは、ごろんと寝転がるネコ。一瞬、生きたホンモノのネコかと思うほどリアルな作品はライアン・ガンダー《Sowing confusion amongst the titles, or The squatters》。よく見ると、呼吸するかのように少しずつ動いています。

壁から生えるシカの頭は名和晃平《PixCell -Deer #40》。泡のように集まるビーズによって形作られている作品です。

6フロアにまたがる展示室

展示室は6フロア。地下1階から5階にかけて小さな展示室が続いています。各フロアで展示室に入るのにはQRコードが必要です。

B1: 宇宙と重力
1F: 都市とポップ
2F: ゲルハルト・リヒターとジェームズ・タレル
3F: 幾何と内省のコンポジション – 常温の抽象
4F: ナラティヴと色彩のアウラ
5F: 物質と感情のエンタングルメント

作品のそばに作品名や解説の展示はないため、名前や作者を知りたい場合は、目録を片手にめぐるか通路部分にまとめて張られた解説を読むというスタイルになります。

各フロアにはソファやベンチ、自動販売機も。自由に利用可能なスマホ用の充電器も置いてあります。きれいなトイレも複数フロアにあり、とっても快適です。

ここからは私が訪問した際に気になった作品を紹介させていただきますね!展示内容は時期により変わる可能性がありますので、あくまで参考程度にご覧ください。

入りやすいポップアート

アンディー・ウォーホルの代表作のひとつである《Campbell’s Soup》も。アメリカポップアートを代表する作品です。

奈良美智《In the Floating World》は、歌川国芳や葛飾北斎、安藤広重といった浮世絵の作品をポップに仕上げています。

話題のバンクシー作品も展示されています。笑顔の子供たちに、その正反対の公権力を映した《Jack & Jill (Police Kids)》、ベトナム戦争時にナパームから逃げ惑う子供を描いた《Napalm》など、様々な作品が揃っています。

この色彩と模様は草間彌生だ!カボチャのようなモチーフが描かれていない抽象的な絵画は、《今こそわが芸術のおとづれをまっているワタシ ハナバナしいわが心のナメグサのおとづれをまっている いつ年月をえてしらぬまにわたしは 今日のわたしはさみしかったので空の白いクモみつめたのだ》という、非常に長い名前の作品なのです。

刺激的な現代美術作品群

赤い頭部から液体が垂れ下がるショッキングな作品はマーク・クイン《Thick Pink Nervous Breakdown》。未知の生物のようでも、人間の成れの果てのようでもあります。

壁一面に広がるモノトーンの作品、ニコラ・ビュフ《ポーリア (カルトゥーシュ)》。中央部分だけ立体感があり、初期ディズニーのようなポップでワンダーな世界がキャンバスから飛び出します。

垂直に置かれたベッドに横たわる2人の人物。足元にはVOXアンプとレコードプレイヤー、そしてPLASTIC ONO BANDのレコード。水戸部七絵《remember love》という作品で、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「Bed-ins for Peace」というパフォーマンスをテーマにしています。

木箱に横たわったり、台の上に載せられているのは加藤泉の作品。木材と鮮やかなペイントが原始的であり、呪術的にも感じるインパクトのある作品です。

壁に張られたディスプレイに映し出されるのは、クローバーの群生地とそれを分析する映像。スプツニ子!《幸せの四葉のクローバーを探すドローン》という作品で、その名の通り四葉のクローバーを見つけると赤い枠が現れます。テクノロジーによって超高速で幸せを見つけ出すという、科学の進歩に対する皮肉も感じる作品です。

インスタレーションの部屋

大きな美術館ではありませんが、小さなインスタレーションの部屋も多数備えています。シアスター・ゲーツの部屋では、ブルーのネオン、ペイントされた木のボード、真っ黒に塗られた棚が並ぶ。スピーカーからはピアノやフルートによるアヴァンギャルドなBGMが流れています。

金沢の21世紀美術館でもおなじみのジェームズ・タレルの部屋もあります。ブラウン管のような形の光が壁に映し出される真っ暗な小さな部屋。小規模ですが、椅子に腰掛けぼんやりと光を眺めるとノスタルジックな時間が流れます。

大きな単一周波数ライトが置かれたオラファー・エリアソンの部屋。この部屋の中では、すべてが黄色く染まり、色が識別できなくなります。部屋の入り口にカラフルな旗が置かれているため、モノトーンコーデで来てしまっても、色が消える瞬間を体感できます。

大きなスクリーンが置かれた小さな暗い部屋。ここは、チームラボの部屋。ディスプレイでは、真っ赤な文字「Matter hs Void」が流れては消えていく。チームラボ=大きくて派手なイメージでしたが、ここでは静かに落ち着いた作風を見せてくれます。

暗い廊下に9つのディスプレイが並ぶ、池田亮司の部屋。パダパタとしたスクロール音や、ピッという電子音が鳴り響く空間。目だけでなく、耳にも訴えかけてくる作品です。

渋谷という都心にあるため広々とした美術館ではありませんが、コンパクトながらも様々な世界を体感できるミュージアムでした。混雑もほぼなく、まわりを気にせずじっくりと楽しむことができます。まだあまり知られていない穴場の美術館、今後人気が出来てきてなかなか予約が取れなくなる、なんて可能性もあります。ゆっくり見るなら今がチャンスかもしれません!

アクセスと営業情報

開館時間 10:55~17:30
休館日 月曜
料金 1,800円
公式サイト https://ueshima-museum.com/

※掲載の情報は2025年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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