東京・田端にある東覚寺というお寺の護摩堂には、全身を赤い紙で覆われた不思議な仁王像、通称「赤紙仁王」が安置されています。この赤い紙にはいったいどのような意味があるのでしょうか?
2つの赤い物体
田端駅から500mほどのところにある東覚寺(とうかくじ)は、1491年創建の長い歴史を持つお寺。江戸最古の七福神、「谷中七福神」の福禄寿を祀る札所でもあります。
その門前にある護摩堂には、異常なほど映える真っ赤な2つの何かが置かれています。ビビッドな赤色はまるで横尾忠則の世界のようなコントラストの強さ。
ムックのようなピグモンのような不思議な物体、こちらはなんと仁王像。左側が口を閉じた吽像、右側が口を開いた阿像とのことですが、ただの赤い塊にしか見えません。
仁王像を包む赤いものは紙のようですが、いったいどういうことなのでしょうか?
身代わりとなる仁王像
この仁王像は、江戸時代に流行していた疫病を鎮めるために宗海上人が願主となり、1641年に建立されたものであるそう。もともとはすぐ近くの八幡神社に置かれていましたが、明治時代の神仏分離令を機にこの東覚寺へと遷されました。
いつしか災いを焼く火の色である「赤紙」を、仁王像の自分の患部と同じ場所に貼って病気の身代わりになっていただくという参拝方法が生まれます。
赤紙が貼られすぎて、どこがどこかわかりません。
Google Mapのクチコミを見ていると、赤紙の密度が低くそのディティールが見える状態の写真も投稿されていました。訪れるタイミングによって、赤紙の濃さは変わるようです。
赤紙を貼ってみよう
せっかく来たのだから、赤紙を貼らせていただきたいと思います!
赤紙は護摩堂には備えていないので、すぐ隣にある東覚寺へ。境内には弘法大師像や二宮金次郎像など多数の像が並んでおります。谷中七福神に加えて、御府内八十八ヶ所霊場の第66番札所でもあるそうです。
本堂向かって左に見える細い道を進んだ先にある住居が寺務所。玄関のインターホンを鳴らすと、丁寧な女性の方が受け答えしてくれました。
赤紙2枚とお線香2束が1セット320円。なぜ2つあるのかと思ったのですが、2体の仁王像それぞれ同じ場所に赤紙を貼るそうです。線香は火が付いた状態、赤紙は糊が付いた状態での受け取りになるので、頂いたあとは急いで護摩堂まで戻ります。
仁王像の体はどこがどこだかさっぱりわかりませんが、このあたりかな?という場所に目星をつけて赤紙を貼ります。赤紙が貼られ過ぎて地肌にたどり着くことができず、既に貼られた赤紙の上に重ねて貼らせていただきました。
奉納された草鞋
そんな仁王像のすぐ側には、たくさんの草鞋(わらじ)が吊るされています。
こちらは仁王像へのお礼の奉納品。祈願成就のあかつきには、ここに草鞋を奉納するのが慣わしであるそう。
なぜ草鞋なのかといいますと、病人を見舞うため日夜歩き回る仁王様への思いやりとのこと。無病息災などを祈願して奉納する話は比較的ポピュラーですが、お礼として奉納するのは初めて見かけました。
なお、この赤紙信仰、古来より続いてきたものかと思いきや、この赤紙に関する信仰は明治以降にはじまったそうです。近代に生まれたというのは少し意外ですね。
アクセスと営業情報
JR山手線の田端駅より徒歩7分、西日暮里駅より徒歩14分、駒込駅より徒歩14分。今回、「谷中銀座」から歩いてみたところ、15分ほどでした。
公式サイト | https://tabata-toukakuji.jp/ |
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※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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