源平の歴史とエンタメの詰まった『須磨寺』(神戸市)

兵庫県

長い歴史や伝承を持ちつつも境内には「おもろいもん」が並ぶ、遊び心を忘れないお寺。源平の戦いを学んだり、アジアを感じたり、カエルの目玉を回したり、クマの頭に手を乗せて音楽を聴いたりと様々な楽しみ方ができます。

訪問日:2018/1/14(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

異国情緒あふれる寺院

神戸市須磨区にある須磨寺は、少々不思議な空気の流れる寺院。参道を進んで行くと、いきなり現れるのは「亜細亜万神殿」

回廊部分に並ぶのは、ガルーダやナーガといったインド神話の神々の石像。どこかアジアの寺院のような雰囲気です。

神殿の奥には「ストゥーパ」が。日本の寺院における「塔」の基となったといわれており、お釈迦様の遺骨を納めております。ここでは、「仏足石」に触れたり、「マニ車」を回したりといった、独特な参拝作法があります。

ここは2015年に発生したネパール大地震の被災者慰霊と復興を祈るためにつくられた神殿。2016年に完成した比較的新しい建築です。

歴史の深い古刹

最初からエスニックな香りが漂いましたが、この須磨寺は非常に長い歴史を持つ古刹。西暦886年に光孝天皇の勅命によって建立されたと伝えられています。

重厚な本堂は、1602年に豊臣秀頼が片桐且元を奉行として再建したもの。本尊の聖観世音菩薩と、脇侍の毘沙門天・不動明王が安置されています。

朱塗りの三重塔。安土桃山時代の文禄大地震(おそらく1596年の慶長伏見地震のこと)にて倒壊してしまい、1984年に再建されたものです。

塔の周囲には四国八十八ヵ所お砂踏み霊場があり、ガラス越しに各砂を踏んでお参りができます。

源平合戦との深い関わり

そんな歴史ある寺院の境内には、史跡も多く残っています。特に重要なのは、ここ須磨の地が源平合戦の一ノ谷の戦いの舞台となったこと。

境内にある「源平の庭」には、馬にまたがる平敦盛と熊谷直実。一騎討ちを果たした二人の戦いが再現されています。一ノ谷の戦いで敗走する平氏の若武者・平敦盛は、源氏方の武将・熊谷直実の誘いに応じ一騎討ちを受け、そして討ち取られてしまいます。

こちらの古木は「義経の腰掛け松」。源義経がこの松に腰かけ、討ち取られた敦盛の首を実検(本人かどうかの確認)をしたそうです。

そして「平敦盛の首塚」も。悲劇の美少年とも言われる平敦盛はこの地に眠っているそうです。

エンタメ満載なおもろいもん

多くの伝承の残る立派な寺なのですが、あちこちにユニークな「おもろいもん」が並びます。

このカエルは「ぶじかえる」。『ビックリしたい人は目玉を、借金で困っている人は首をまわして下さい』とのことですが、2択のチョイスが限定的過ぎて判断が難しいです。

カエルの次はクマ!こちらの「ミーシャぐま」、ただの石像に見えますが実は仕掛けつき。頭に手をのせると「異国の丘」のメロディが流れます。この曲は、シベリア抑留兵士の間で歌われた曲。このクマはシベリア満蒙戦没者慰霊碑の前に立っています。

6体並んだ「わらべじぞう」。いわゆる六地蔵なのですが、そのポージングはなかなか個性的。特に一番右で両手を挙げているお地蔵様は、いったい何をしているのでしょうか?気になる方は現地にてご確認ください。

他にも多数の「おもろいもん」が置かれています。住職による「オモロイ寺にしたい」という希望で置かれたこれらの様々なモノ、どこか漂う珍スポットの香りがさらにこのお寺を魅力的に仕立てます。

三猿ならぬ五猿

そんなおもろいもんの中でもインパクトがあるのがこちらの「五猿」

見ザル、言わザル、聞かザルの「三猿」は有名ですが、残る2匹は何を意味しているのでしょうか?

4匹目は「怒らザル」。両手で抱えている赤い袋はかんにん袋。その緒は絶対切れないのでしょう。

そして5匹目は双眼鏡を携えた「見てござる」。善い行いも悪い行いも見ている、ということのようですが、見ざるとの関係性は大丈夫でしょうか・・・?

ちなみに頭をなでると、ちょっとだけ動く仕様になっています。

どれも一見すると肩の力が抜けてしまうようなコミカルな内容ですが、とても親しみを感じます。居合わせた子どもたちも大はしゃぎしてました!

アクセスと拝観情報

JR線の須磨駅から徒歩12分、山陽電鉄の須磨寺駅から徒歩5分。

拝観時間 8:30~17:00
拝観料 無料
公式サイト https://www.sumadera.or.jp/index.html

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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