海辺にたたずむ巨大アート空間『兵庫県立美術館』(神戸市中央区)

兵庫県

多数のアート作品を収蔵・展示する大きな美術館。インパクトのある屋外彫刻や安藤忠雄による建築など、見どころはたっぷり。多めに時間をとって、ゆったりと過ごしたいミュージアムです。

訪問日:2023/7/2(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

海辺に建つミュージアム

「芸術の館」の愛称でも知られる兵庫県立美術館は、阪神淡路大震災で被災した兵庫県立近代美術館をルーツに、2002年に開館しました。

展示室では、「コレクション展」や様々な「特別展」を開催。無料で見学できる「Ando Gallery」、個性的な屋外彫刻、さらに建築そのものも作品として楽しめるという非常に見ごたえのある美術館です。

三宮からは少し離れていますが、阪神線やJR線、バスを利用すればアクセスも良好。海辺のロケーションも素晴らしく、すぐ隣のなぎさ公園と合わせてのんびり過ごすのもおすすめです。

安藤忠雄設計の美術館

この美術館を手掛けたのは、世界的な建築家・安藤忠雄。無機質な外観は、まさに彼の作品といった印象です。

撮影スポットとしても人気なのは「円形テラス」。地下1階の駐車場まで続く螺旋階段は、眺めていると吸い込まれそうです。

16mの吹き抜けとなっているエレベーターホールも見ごたえ抜群。壁と一体化した階段は、なんだかわくわくしてしまう造りです。

館内の2階にはAndo Galleryがあり「住吉の長屋」「光の教会」といった代表作の建築模型やドローイングなどが展示されています。ここは無料で見学することができます。

ユニークな屋外彫刻

まず目につくのは直径2.5mの大きな青リンゴのオブジェ。こちらもまた安藤忠雄による作品のひとつ。すぐ側には、このリンゴにこめられたメッセージも展示されています。

海側へ出ると見えてくるのが《Sun Sister》by ヤノベケンジ。阪神・淡路大震災から20年の記念碑として建てられた作品であり、輝く太陽をその手に掲げています。ちなみに、「なぎさちゃん」という通称があるそうです。

様々な作品が展示されている中でも、見逃しやすいのがこちらの屋上に潜むカエル。オランダのアーティスト、フロレンティン・ホフマンによる作品。公募によって「美かえる」という愛称が付けられています。

刺激的なコレクション展

訪問した際は、コレクション展「虚実のあわい」(1月21日- 7月23日)を開催中。現代美術を中心とした様々な作品がたっぷりと展示されていました。

突然現れる樹木は、《侵食Ⅰ》《覆皮》by 東影智裕。よく見ると、木にはウサギが埋め込まれています。溶け込んでいるようにも、そこから生まれてきたようにも見える不思議な作品です。

一見すると真っ白なキャンバスに見える《影(#394)》by 高松次郎は、その名の通り影を描いた作品。うっすらと落ちる影は、くるんとした髪型から女性のようです。

写真では伝わりにくい《はらださん》by 高橋耕平。壁に貼られているのは詳細な年表、その隣には実写映像が流れています。これは、初老の男性「はらださん」という、ひとりの人生を再現した作品。非常にリアルな設定と、生々しい映像で、一気に引き込まれます。

エリカのテレポンクラブ

今回のコレクション展のポスターにもなっていたのが、《♡ときめきエリカのテレポンクラブ♡》by 西山美なコ。もうこのコレクション展は終了しているため見ることはできない可能性がありますが、非常にインパクトがあったので紹介させてください。

壁一面をうめつくす少女漫画風のガーリーなイラストはアンディ・ウォーホル的なポップアート作品・・・・かと思いきや、社会へと飛び出したプロジェクト的なアート作品。

これはポスターであり、実際につながる『電話番号』が記されています。大阪、京都、東京の街なかに貼り出され、さらには同じ番号が記されたポケットティッシュも配布されたそう。

この番号にかけるとどこにつながるのか・・・。その先にあるのがこちら、ギャラリーに設置された「エリカの個室」というお部屋。ここに訪れた人は、電話がかかってきた場合、それを受けることができました。

街なかでポスターやティッシュの番号を知って電話した人と、ギャラリーに訪れた人、赤の他人同士が作品を通じて会話できるという非常にユニークなプロジェクト。少女的な「リカちゃん電話」とアダルトな「テレクラ(電話で女性を斡旋する店)」を組み合わせた作品であったそうです。

もう30年も前の話なので情報がほとんど残っておりませんが、作品公開当時の世間の反応などがとっても気になります。

アクセスと営業情報

JR神戸線の灘駅より徒歩約10分、阪神電車の岩屋駅より徒歩約8分、阪急電車の王子公園駅より徒歩約20分。

すぐ近くにはバス停「県立美術館前」があり、三宮駅から11分ほど。上手く利用すれば上記のどの駅よりもスムーズにアクセスできます。ただし本数は少なめなので、事前に調べておくと良い感じです。

今回、美術館を出たあと三宮に行くため、岩屋駅まで歩いて阪神電車を使う予定でしたが、ちょうどバスが来るタイミングだったので、かなり楽に移動することができました!

開館時間 10:00~18:00
休館日 月曜、年末年始
料金 コレクション展:500円/特別展:展覧会ごとに異なる
公式サイト https://www.artm.pref.hyogo.jp/

※掲載の情報は2023年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました