博多からの船が着港する厳原(いづはら)の市街地にある古刹「万松院」、発掘された庭園「旧金石城庭園」に加えて、少しだけ足を伸ばして元寇の歴史が残る「小茂田浜神社」、独自の建築「椎根の石屋根」まで行ってみました。
万松院
1615年創建と言われる古刹で、対馬藩主である宗家の菩提寺。厳原の市街地にあるため、宿泊している方は歩いても訪問できます。また、門の前に駐車スペースがあるので車でもアクセスしやすいです。
棒の上に小さな太鼓が乗った不思議なもの。こちらは諫鼓(かんこ)といい、領民が領主に対して諫言する際に叩いたもの。「かんこどり」という言葉がありますが、これは諫鼓鶏と書き、諫鼓の上で鳥が留まっている、すなわち諫鼓を用いる必要が無いほど善政が行われているということを意味するそう。
境内には百雁木(ひゃくがんぎ)という場所があります。雁木というのは階段のことで、遥か上部へと続く石の階段とずらりと並んだ灯籠が圧巻です。
百雁木を登っていくと、上御霊屋(かみおたまや)という、宗家の墓所へと繋がります。ここには、19代から32代までの藩主やその家族が眠っているそう。
上御霊屋周辺は、樹齢1,000年を越えた大杉をはじめ多くの木々に包まれた空間。鳥のさえずりと木立の騒ぐ音がなんとも心地よいです。
旧金石城庭園
対馬藩主宗家の居城であった金石城。その庭園は、長い年月を経てすっかり埋め立てられており、中学校のグラウンドとして利用されていました。金石城が史跡に指定されるとともに、その整備事業として発掘調査が行われます。
現在は整備され、旧金石城庭園として名勝に指定されています。心字池を中心に大きな石が無数に配置されたダイナミックな池泉回遊式庭園。天気の良い日は歩いているだけで心地よいです。
万松院のすぐ隣にあるため、合わせての訪問がおすすめです。
対馬バーガー
対州そばやアナゴ料理など、様々なグルメがある対馬。そんな中でも気軽に楽しめるのが対馬バーガー。厳原の街中にある対馬バーガーKiYOというお店で食べることができます。
看板メニューはひじき入りパティとイカが入った「対馬バーガー」、そして対馬名物のとんちゃんを挟んだ「とんちゃんバーガー」。今回はとんちゃんバーガーにしてみました。
とんちゃんというのは、韓国から伝わった料理をアレンジした伝統料理。豚肉を醤油や味噌ベースのタレに付け込んで焼いたもの。日本人はきっとみんな好きな味ではないでしょうか!
また、対馬産のはちみつを使用したはちみつレモンも人気!口の中に濃厚な甘さが広がるドリンクです。
他にも、ロコモコ丼や焼きチーズカレーなどおしゃれなメニューがそろっています。入りやすいお店なので、ランチにもぴったりです!
小茂田浜神社
厳原の街から西へ進むこと20分ほど、小茂田(こもだ)へとやってきました。この集落は、かつてモンゴル帝国が襲来してきた事件「元寇(文永の役)」の舞台となりました。
900隻25,000名といわれる元の大軍に対して、守護代であった宗助国(そうすけくに)はわずか80騎400名という軍勢で挑むも、みな戦没してしまいます。この小茂田浜(こもだはま)神社は、そんな武人たちをお祀りしている神社。現在でも、武者行列や鳴弦の儀などの行事が行われております。
境内のすぐ隣には、小茂田浜海水浴場。はるか昔ここで激しい戦いが行われたことなんて全く感じさせない穏やかなビーチ。さざ波が立つ美しい海水浴場です。
椎根の石屋根
こちらの家屋、普通の家とは違う特徴があるのですが、何かお気づきでしょうか。
正解は屋根。瓦やトタンといった普通の屋根とは異なり、なんと石が乗せられています。風が強い地域で屋根の上に石を乗せている様子は見かけたことがありますが、屋根そのものが石というのは初めて見ました。
この石は周辺で採掘される板石を積み重ねたこの建築は、民家ではなく倉庫。強い季節風や雨露から大事な食料を守るために生み出されたといわれています。
屋根以外の部分は松などの木材を使用しています。斜めに積まれた石屋根は滑り落ちないかと不安になります。現在は金具による補強がされていますが、当時は何かで留めていたのでしょうか。
以前は島内各地に見られた石屋根ですが、今は厳原町の西側にしか残されておりません。そんな貴重な倉庫群は、昭和52年に「椎根の石屋根倉庫群」として、県指定の有形文化財にも指定されました。
さて、13:15のジェットフォイルで壱岐へと向かいます。久しぶりのジェット船!欠航してなくて良かったー!
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