対馬 Part 3 離島にそびえる鉄壁の山城『金田城』(対馬市)

壱岐・対馬

古来より国防の島であった対馬を守るために作られた古代山城。山中には迫力の石塁や城門跡、明治時代に造られた砲台跡など、多くの遺跡が残されております。対馬に来たら絶対に外せない代表的なスポットです!

2021/4/29(木)

話題の城郭・金田城

さて、突然ですが金田城をご存じでしょうか?

金田城は対馬という離島にある古代山城。建築物などは何も残されておらず、復興天守や模擬天守なども建っておりません。また、「有名な戦国武将の居城であった」というようなエピソードもありません。

そんな離島の城跡ですが、あるタイミングで一気にその知名度を高めました。

そのきっかけとなったのが2019/9/16にNHKで放映された「日本最強の城スペシャル 第4弾」。この金田城が名だたる城を抑えて一位に選ばれたのです。

読み方は、古称だと「かなたのき」ですが、史跡としては「かねだじょう」という名称で登録されているようです。島では後者の呼び方、もしくは「城山」が一般的な印象です。

ハードなアクセス

まず、対馬という離島にあるため、飛行機や船に乗る必要があります。また、島にたどり着いても、そこからもなかなかハード。

登山口までは厳原港から車で30分、対馬やまねこ空港からは車で20分と比較的行きやすい位置にあります。しかし、途中から非常に細い道へと変わるのです。

舗装はされていますが、車1台分しか通れない道へと入っていきます。すれ違い用の待避所はありますが、神経を使う道です。

さらに、後半は未舗装路に。落石やぬかるみに気を付けながらゆっくりと進んでいきます。

わずか数分で駐車スペースが見えてきました!ここは4台ほど駐車可能。もし満車の場合は、引き返して少し離れたところに駐車可能なスペースがありました。

気持ちの良い登山道

駐車場から山頂までは、1時間弱の登山になります。ポストには案内のパンフレット、そして自由に使える杖が設置されています。

ポールを持参していない方は杖を借りて行くのがおすすめ!ヒザの負担を軽減できるし、クモの巣や木から垂れ下がるシャクトリムシを回避するのに使えます。

しばらくは森の中の道が続きます。圧迫感のある岩の壁が両サイドにそそり立つ。

15分ほどで急に視界が開ける。森を抜けた先に広がる展望スポットは物凄く爽快!波穏やかな黒瀬湾を見渡すと疲れも吹っ飛びます!

少し歩くと、すぐに石垣が見えてきます。うねるように海に向かって伸びる石の壁は迫力満点。ここは分岐点となっており、そのまま道なりに進むと山頂、右に降りていくと三ノ城戸となります。

とりあえず、まずは上へ!山頂へ向かって進みます。

虚ろな戦争遺跡

駐車場から50分ほどで城山砲台跡に到着!木々に包まれた円形の砲台跡が広がります。

隣にある石でできた建造物は弾薬庫。内部にも入れますが、虫が多いのでご注意ください。

これらの戦争遺跡は、大日本帝国陸軍が築いた対馬要塞の跡。明治時代に造られたもので、その後太平洋戦争まで使用されていました。

実は、これまで登ってきた登山道はこの山頂を始めとした軍需施設へ資材を運ぶための軍道。そのため、比較的楽に登ることができるようになっているのです。

開放感抜群な山頂

さて、砲台跡から山頂までの道は一気に険しくなります。ぎりぎり手は使わなくも大丈夫ですが、急斜面で木々が生い茂る中を進んでいきます。

10分ほど進むと視界が広がる山頂に到着!!複雑に入り組んだ海岸線や小さな島が美しすぎる光景。苦労して登った甲斐がありました!!

ここで、地元でガイドを務めているAさんと、視察に来ていたツアー会社のNさんと知り合う。お二人から対馬のお話をいろいろ聞いているうちに、「一緒に下山しよう」という流れに・・・!急遽ガイドツアーに混ぜてもらうことに。なんてラッキーなのでしょうか!

迫力の石垣残る城門跡

登ってきた道を引き返していき、東屋分岐点からビングシ方面へ。そこからビングシ土塁、一ノ城戸、二ノ城戸、三ノ城戸と遺跡をめぐっていくことにしました。

■ビングシ土塁
東屋の分岐点から下って行くとビングシ土塁へと繋がります。ここは、広場となっており、かつての城郭の中枢であったと考えられています。柱の土台となる礎石も発掘されており、かつて門が建てられていたそうです。

■一ノ城戸
高さ5mにも及ぶ立派な石垣です。よく見ると、石垣上部と下部では積まれる石のカタチが変化しています。これは、江戸時代に修築されたためと言われています。

■二ノ城戸
海に向かって弧を描くように包まれた石垣。かつて、ここには城門が造られており、海の玄関口であったそう。

■三ノ城戸
かなり大きな石が積まれた迫力の石垣。よく下の方を見ると、雨水を流すための穴が開いており、現在でも流れる様子を見ることができました。

このあとはさくさく歩いて駐車場へ。一部険しい道もありましたが、そこまで苦労することなくめぐることができました!随所でAさんのガイド案内も聞くことができたし、珍しい虫も見つけました。

今回のルート

今回は以下のコースで歩きました。

・駐車場→①戦争遺跡→②山頂→東屋分岐点
・③ビングシ→(⑤二ノ城戸)→④一ノ城戸→⑤ニノ城戸→ビングシ分岐点
・⑥三ノ城戸→駐車場

最初、山頂からぐるっと北回りの周回ルートで歩こうと思っていたのですが、「悪路なので絶対にやめた方が良い」とのことで、一部往復ルートを取っています。

また、山頂往復までは問題ないのですが、ビングシ分岐点~三ノ城戸~駐車場あたりはかなりわかりにくい山道を通ります。「駐車場に帰りたい」と書かれた切実なメッセージも見つけました。

ピンクテープも設置されていませんので、足元で判断するしかなさそうです。

所要時間ですが、駐車場から戦争遺跡&山頂まで往復した場合は約2時間、一ノ城戸まで行く場合は約3~4時間程度見て置いた方が安心かと思います。

思ったより時間がかかることがあるので、午後に登り始める方は日没時間にはご注意を。また、対馬最終日に行く予定の方は帰りの船or飛行機には余裕をもって登頂ください!

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