古代より人々が暮らしていた歴史が残る壱岐。島内にある一支国(いきこく)博物館は、そんな壮大な時の流れを感じることができる歴史ミュージアム。近くには王都であったとされる弥生時代の遺跡も保存・展示されています。
美術館のような歴史ミュージアム
芦辺港から車で10分ほどのところにある、壱岐市立一支国博物館。離島の博物館とは思えない、立派な外観をした本格的なミュージアムです。
自然に溶け込むように造られている独特な建築は、広島市現代美術館などを手掛けた、黒川紀章建築都市設計事務所が担当しています。
この博物館には展望タワーが備わっております。エレベーターで4階まで上がると、目の前には壱岐ののどかな田園風景が広がります。少し視線を上げると、弥生時代~古墳時代の集落を復元している「原の辻遺跡」も見えます。
魏志倭人伝に記された古代の壱岐
受付を済ませて展示室に進むと、青い壁に漢字がびっしりと並んだエントランスが。ここに書かれているのは、3世紀末に記されたとされる中国の歴史書「魏志倭人伝」。邪馬台国をはじめとした日本の国についての記載がされており、古代の日本の様子を知ることができる貴重な資料なのです。
全2008文字で記されているうち、對馬國(対馬)、末廬国(松浦)、伊都国(糸島)などとともに、一支国(壱岐)は57文字で表現されています。いったいどんな風に書かれているか、ここではイラスト風のパネル記載もあったりしてとてもわかりやすい。
なお、書物では「壱岐」ではなく「一支」という表記となっています。そのため、古代をテーマにしたこの博物館も「一支国博物館」という名称を取っています。
シアタールームでタイムトリップ
続いてシアタールームへ。上映作品は「甦る王都、原の辻遺跡」。海を越えた交流によって栄えた一支国の様子を知ることができるコンテンツです。
実写によって描かれる古代の人々の暮らしはかなりリアルで、一気に古代へと引き込まれます。作品が終わると、ちょっとした仕掛けがあります・・・!
この作品は毎時00/30分に上映されているので、効率よく島内周遊される方は、この時間に合わせての訪問がおすすめです。
わくわくする展示室
館内に鎮座するのは、朝鮮半島や日本本土と行き来する際に使用されていたとされる古代船。波除の板が付いている丸木舟で、準構造船というタイプの船です。床板を外すことができ、その内部に交易の品々を搭載していたそう。
原の辻遺跡を再現した模型もあります。かなり細かく作られており、非常に見応えがあります。あちこちで起こっているヒューマンドラマを探してみると、かなり楽しめます。
背の高い棚に発掘された出土品が並んでいるオープン収蔵庫。発掘体験コーナーや、ペーパークラフトなど、体験型のコンテンツがあるので、子供でも楽しめそうです。
この博物館では、定期的に企画展も開催しています。只今の期間は長岡秀星展。名産である「壱岐っ子」のラベルや、アース・ウインド&ファイアーのジャケットを手掛けたことでも知られているイラストレーターです。
不思議な人面石
まるで人の顔のような穴が空いた石。こちらは原の辻遺跡からの出土品。まるで人の顔のような外観から人面石と呼ばれています。
3点が並ぶと人の顔に見えてしまう「シミュラクラ現象」という脳の働きがありますが、この人面石の穴は深さが異なっており、口だけは貫通しています。さらに目のくぼみの間には鼻のような膨らみも感じ取れます。
この人面石はシンボル的な祭器として使用されていたと考えられています。このような人面石が見つかったのは、国内では壱岐だけ。非常に貴重な史料ですが、なんと「人面石くん」というキャラクターにもなっています!
併設のミュージアムショップでは、そんな人面石くんのタオルや缶バッジなどのグッズも販売しています。20cmくらいのぬいぐるみも売っていたのですが、これが枕や腰当てになりそうなサイズでぎりぎりまで買おうか悩みました。
古代ロマンを感じる原の辻遺跡
壱岐国博物館から車で3分のところにある弥生時代の遺跡。ここはかつて一支国の王都であった場所で、濠に囲まれた環濠集落となっています。
この建物は穀蔵。風通しが良く湿気を防ぐことができる、高床式タイプです。各柱にはしっかりねずみ返しが備わってます。
こちらは物見櫓でしょうか。再現されている中で最大の建築物で、足元に立って見上げるとなかなか迫力があります。
この遺跡からは、さきほどの人面石をはじめ、中国や朝鮮半島、日本各地から持ち込まれた様々な遺物が出土しています。
見学は自由なため、早朝や夕方に訪問することも可能。ただし、近くにあるガイダンスセンターは9:00〜17:00と時間が決まっているのでご注意を。また、駐車場はガイダンスセンターを利用するのですが、遺跡までは5分ほど歩きます。
アクセスと営業情報
車の場合、郷ノ浦港から20分、芦辺港から12分ほど。郷ノ浦港、芦辺港それぞれからバスも出ていますが、本数はそれほど多くないのでご注意ください。
開館時間 | 8:45~17:30 |
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休館日 | 月曜、12/29~12/31 |
料金 | 410円 |
公式サイト | http://www.iki-haku.jp/index.html# |
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