『霧の摩周湖』の異名を持つミステリアスでミスティックな湖。透明度が異常に高く、はっとするような深いブルーの湖面は吸い込まれそうな魅力があります。湖をとりまく3つの展望台全てをめぐって、その実態に迫ります!
孤高の湖・摩周湖
摩周湖は、火山の噴火したあとの窪みに水がたまってできたカルデラ湖。阿寒湖、屈斜路湖と並ぶ、道東で人気の湖で、多くの観光客が訪れるスポットです。
そんな摩周湖には、他の湖とは違うところがあります。それは、湖畔に降りることができないこと。周囲を高い崖に囲まれているので、水面には全く近づけず、高い所から眺めるタイプの湖なのです。イメージとしては、蔵王の御釜(宮城県)や草津白根山の湯釜(群馬県)みたいな感じです。
遊覧船やボートで湖面を進んだり、湖畔を散策したり、はたまた釣りに興じたり、そんな楽しみ方は摩周湖にはありません。ただ眺めることしかできないのです。
さらに人々を突き放す要素が。それは、霧の発生率がとても高いこと。展望台に行っても霧で何も見えない!なんてことも普通にあります。
見ることしかできない上に、それすらも常には叶わない・・・なんとも孤高な湖です。
3つの展望台
摩周湖を見下ろす展望台は全部で3つあります。
②摩周湖第三展望台
③裏摩周展望台
あれ、第一と第三はあるのに、第二は無いのでしょうか?どうやら、かつて第一と第三の間にあったのですが、道が細く危険なため閉鎖されてしまったようです。
今回は3箇所全てをめぐってみたので、それぞれ紹介したいと思います!
①摩周湖第一展望台
弟子屈の市街地方面から向かうと、最初に目に入るのが摩周湖第一展望台。駐車場も広く、軽食やおみやげが並ぶショップがあります。バスツアーなども来ており、最もにぎわっている展望台です。
駐車場は有料500円です。有料駐車場に停めて、霧で摩周湖が見れなかったらすごく損した気分になりそうですが、入庫する際に係の人に尋ねると、見える見えないの情報は教えてもらえます。もしくは先述の「ライブカメラ」で確認するのも良さそうです。
ちなみに駐車料金は近くにある硫黄山の駐車場と共通券なので両方行く人にとっては気にならないかと思います。(どうしても払いたくない人は、この後に紹介する摩周湖第三展望台がおすすめ)
こちらが第一展望台からの眺め。あざやかなブルーの湖面が良く見えます!これは比較的よく見えている方ではないでしょうか?
ショップには摩周ブルーなソフトクリームなど、いろいろなメニューがあります。霧で摩周湖が見えなくても、軽食食べながら霧が晴れるのを待っていられそう。ちなみに建物の屋上も展望台となっております。
写真はないのですが、このショップには「霧の缶詰」なる不思議なおみやげが売ってます!夢とロマンが詰まってるので、開けてはいけない缶詰だそうです。
②摩周湖第三展望台
先ほどの摩周湖第一展望台から車で5分ほど進んだところにあるのが摩周湖第三展望台。屈斜路湖方面から向かうと、最も近いのがこちらです。駐車料金は無料ですが、路肩に停めるタイプ。
無料なのでスタッフさんもいません。すなわち雪かきも完璧にはされてません。5月の訪問でしたが、駐車場から展望台まではちょっとした雪道を進むことになりました。
青く美しい湖面がはっきりと見えます!第一展望台と近いため、見える姿はほぼ同じです。
③裏摩周展望台
3つの展望台の中でも、最もアクセスが悪いのがこちらの裏摩周展望台。第一・第三は、屈斜路湖などの弟子屈(てしかが)方面からスムーズにアクセスできますが、裏摩周展望台はちょうど湖の反対側。摩周湖には湖をまわる周回道路がないので、ぐるーっとかなり遠回りしないと裏摩周にはいけません。近くにある秘境の泉・神の子池と合わせるのがおすすめ。
訪れた時間が夕方だったせいもあり、誰一人いない駐車場。以前はもっと秘境感があったそうですが、現在はかなり整備されています。
駐車場から展望台までの道は雪だらけ!埋まらないように固いところを進んで、展望台のデッキまでたどりつきました。
第三展望台から見た摩周湖がコチラ!
霧で全く見えません!!!
肉眼では湖面がちらちら見えるのですが、写真は真っ白。これぞ霧の摩周湖!なんだか安心しました。
この裏摩周展望台は3つの展望台の中で最も標高が低い位置にあります。
今回は霧でみえませんでしたが、「他の展望台から見えなくても、ここからなら見える」なんてこともよくあるそう。
第一や第二で全く見えなかった場合の切り札的なポジションの展望台です。
日本一の透明度
展望台から見てもわかりにくいのですが、実は摩周湖は日本一の透明度を誇っています。さらに、バイカル湖(ロシア)に続いて世界第2位の透明度でもあります。世界レベルのクリアさなんて、摩周湖すごい!!
さらに摩周湖の全盛期1930年の透明度調査の際に測定された透明度は41.6m!!このときのバイカル湖の透明度は40.5mであったので、その当時世界一の透明度ということになります!そして、未だに破られていない記録だそう。
・・・とはいえ、展望台から見る限りでは、ちょっとわかりにくい気もします。透明度上位の支笏湖ではクリアカヤックやダイビング、グラスボートなどのアクティビティでそのクリアな水を存分に実感できますが、そもそも近づけない摩周湖ではなかなか実感しづらいのが現状です。
ちなみに地底湖も含めると、ランキングは多少揺れ動きます。岩手県にある龍泉洞の第三地底湖は透明度41.5mともいわれており、もしこれが本当なら、日本一、いや世界一の透明度の座は現在龍泉洞なのかもしれません。(参照:龍泉洞観光会館)
実は湖ではない?
スイカは果物ではない、クモは虫ではない、タラバガニは蟹ではない、みたいな話、世の中にはたくさんあります。実は、摩周湖は湖ではないらしいのです。
水深5m以上の陸水なのでどう見ても湖に見えますが、いったいどういうことなのでしょうか!?
摩周湖は流出する河川がない閉鎖的な湖。国土交通省では、河川がないものは湖として管理することはないそう。さらに、湖に樹木がないため農林水産省が管理しているわけでもないとのこと。おそらく、「湖でない情報」の出どころはここではないでしょうか。
でも、農林水産省の外局である林野庁の地方支分部局である北海道森林管理局のWebサイトには湖として載ってます。また、今は消えてしまいましたが、以前は国土交通省のサイトでも「主な湖」として掲載されていました。管理対象外というだけであって、湖と認めないわけではなさそうです。
なお、湖の定義は特にはっきりとしていないようです。「湖沼水質保全特別措置法」という湖沼の水質保全のための法律もありますが、ココで指定されている湖沼はわずか11か所。
慣習として水たまりの中で水深5~10mくらいのものを湖と読んでいるそうなので、『湖であるかどうか』をどうこう言うのもあまり意味がないのかもしれませんね。
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