大正時代に造られた旧高橋倉庫の内部に広がるのは色鮮やかなステンドグラス。木造の建築と合わさり、レトロで荘厳な雰囲気を作り上げます。音声ガイドを利用すれば、知識がなくても作品の世界観を知ることができます。
小樽運河周辺にある美術館
最初に向かうのはステンドグラス美術館。小樽運河付近にあるので、小樽駅から歩くと約20分ほど。小樽の町並みに溶け込むレトロな外観です。
ステンドグラス美術館は小樽芸術村の構成施設の1つ。他にも似鳥美術館や旧三井銀行小樽支店などのスポットが集まっており、お得なセット券もあります。
荘厳なステンドグラス
館内に入ると目の前に広がるのは、浮かび上がるたくさんのステンドグラス!どれも色鮮やかで上品な美しさ。作品が際立つように、照明が暗めに設定されているのもポイントです。
ここにあるステンドグラスは、イギリスで制作され、実際に教会の窓を飾っていたもの。床にぼんやりと反射している様子も雰囲気があってとっても美しい。
自由な角度から鑑賞可能
館内は2層になっているのですが、吹き抜け構造となっております。2階部分から見渡すと、1度にたくさんの作品を眺められます。1階からは見えにくかった作品上部も、ここからならじっくり鑑賞可能。
2階部分では床に設置されている作品もあります。見上げて鑑賞するときとはまた違った見方ができます。
作品に込められたストーリー
眺めているだけでも見応えあるステンドグラスですが、その1つ1つにはストーリーが込められています。
そのほとんどはキリスト教のお話のため、ある程度知識が無いと見ただけではわかりません。そんなときに役に立つのが音声ガイド!ここでは無料で借りることができるので、より深く知りたいかたにはとってもおすすめ。
『悪竜を踏みシク大天使 聖ミカエル』
戦いの天使であるミカエルに踏みつけられているのは、火炎を吐く竜。悪竜は、キリスト教に敵対するものや疫病などを表しているそう。
『最後の晩餐』
イエスを中心に12人の弟子たちが描かれた作品。「この中に私を裏切るものがいる」最も驚いた表情を見せるユダの腰には、裏切りで得た銀貨で膨らむ袋が・・・!
明らかに時代が違う服装の作品が。
こちらは『リチャード1世に守護される兵士』と題された作品。そこに書かれているのは第一次世界対戦の頃の兵隊と、全然時代が違う中世・12世紀の王リチャード1世。
リチャード1世は、その勇敢さから「ライオンハート」とも呼ばれる騎士道精神を象徴する王様です。過去の偉人を描きその加護を得ようとしたもので、兵士の家族が無事を祈って教会に寄進したそうです。
レトロな建築も見逃せない
このステンドグラス美術館は、大正12年に大豆倉庫として建築された旧高橋倉庫を利用した美術館。
内部は木造ですが、外側には石が積み上げられている「木骨石造」という建築スタイル。
外壁に利用されている石は小樽軟石といい、小樽近郊で採石された凝灰岩。防火、断熱効果が高いそうです。
作品が無い場所では、簀(すのこ)が張られている様子を見ることができます。貯蔵物が直接壁に触れないように張られていたもので、一部にそのまま残されています。
天井を見上げると、トラス構造を発見しました!三角形を組み合わせることで強度を増し、柱のない広い空間を作り上げることができる建築技法。ここで見ることのできるトラス構造は、トラスクイーンポストトラス(対束組)というもの。大規模空間に適しており、明治・大正期の倉庫ではよく見かけられる建築だそうです。
アクセスと営業情報
JR小樽駅から徒歩約10分。バスに乗れば約5分ほどで到着できますが、最寄りバス停である「小樽芸術村」に停まるバスの本数は少なめ。「本局前」や「稲穂十字街」などで下車して歩いて向かうのも考慮すると良いかもしれません。
休館日:11~4月 無休/5~10月 水曜
料金:700円
※似鳥美術館、旧三井銀行小樽支店との共通券もあります。
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