裏からは見れないけど見ごたえあり『裏見ノ滝』(日光市)

栃木県

大谷川の支流を流れ落ちる立派な滝。裏側に入ることはできませんが、森の中の遊歩道を進んだ先に広がる姿は見ごたえ抜群です。かつての男体山の噴火によって出来上がった滝であり、溶岩の跡を見ることもできます。

訪問日:2024/7/13(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

日光三名瀑のひとつ

裏見ノ滝は、華厳滝、霧降の滝と合わせて日光三名瀑に数えられる滝です。

元禄2(1689)年に「奥の細道」行脚で日光を訪れた松尾芭蕉が、この滝を見て「暫時は滝に籠るや夏の初(しばらくはたきにこもるやげのはじめ)」の句を詠んだことでも知られています。

駐車場から滝壺までは約500mの遊歩道を進んでいきます。2025年1月14日まで工事のため通行止めとの記載がありましたが、2024年7月時点では解除されていました。

ウッドデッキが続く遊歩道

未舗装ですが歩きやすい道が続いています。とはいえ、アップダウンやぬかるみがけっこうあるので歩きやすい服装がおすすめ。

道中にて謎の木の実を見つけました!サイズはかなり大きく15cmはありそう。この実の正体は一番最後に。

途中からウッドデッキの道に。歩きやすくて超サクサク進める~!と思ったのですが、雨上がりであったためめっちゃ滑ります!!!

しばらく歩くと木々が開けて展望台が見えてきました。駐車場からここまで15分ほど。

裏には行けない裏見の滝

展望台の右手に見える滝が裏見ノ滝。勢いよく水が流れる、高さ約20mの大きな滝です。

滝を裏側から見ることができる滝を、滝の名称とは別に「裏見滝」と呼びます。熊本県の「鍋ヶ滝」や長野県の「雷滝」、茨城県の「月待の滝」など、日本各地にその姿を見ることができます。

この滝もその名の通り裏側から見ることができるタイプの滝。なのですが、現在滝の裏へと通じる道は通行止め。タイミングが悪かったのかと思いきや、案内板にも「現在は崩落により立ち入ることができません」と記載されているため、ここ最近のできごとではなさそう。

裏側へ行ってみたいものですが、通路らしきルートには激しい水しぶきが。確実に全身びしょぬれになりますね。ウワサによると、滝の裏には不動明王が祀られているそうです。

展望台の正面には岩肌をシャワーのように滑る滝。こちらの方が展望台から近く、水しぶきをダイレクトに感じることができます。

午前中の訪問であったため、射し込んだ日光と重なりうっすらと虹が浮かび上がります。なんかちょっとラッキーな気分!

溶岩流が作り上げた景勝

滝の流入口をたどってみると、大きくえぐれた岩場から流れ落ちています。実はこの滝、噴火によってできたといわれる滝。

太古の昔の男体山の噴火によって流れ出た溶岩「荒沢溶岩」がここまで流れてこの滝を形成。今見えている岩肌は、そんな溶岩の断面であるそう。

男体山からの溶岩流は、この滝以外にも中禅寺湖&華厳滝や戦場ヶ原など、奥日光の様々な名所ができあがる要因でもあります。恐ろしい自然災害である噴火ですが、結果的に人々にとって魅力的な土地を造ってきたのですね。

浮世絵にも描かれた姿

前回の霧降の滝と同じく、この滝も江戸時代に浮世絵に描かれていました。

こちらは葛飾北斎ではなく、英泉による「日光山名所之内・裏見ヶ滝」という作品です。

英泉は江戸時代後期に活躍した浮世絵師であり、美人画で知られる人物。名所絵も手掛けており、歌川広重とともに「木曽街道六十九次」も描いています。広重の「東海道五十三次」の成功を受けて企画されたもので、当初は英泉が担当していましたが、途中から広重に引き継がれたそう。いろいろとエピソードがあるのですが、それはコチラの記事にて。

アクセスと駐車場情報

「二社一寺」から車で10分ほど、中禅寺湖湖畔の「船の駅」からは25分ほど。

広々とした駐車場があり、トイレも備えています。

先ほどの霧降の滝も誰もいませんでしたが、ここもまた誰もいません。駐車場には車が停まっていましたが、降りてきた人は滝ではなく森の中へ。どうやら山菜狩りが目的のようです。

あ!道中で見つけた木の実ですが、その正体はホオノキの実でした!熟すと真っ赤に染まり、中から赤い種子が飛び出してきます。若干、集合体恐怖症に抵触する見た目なので、ニガテな方はご注意くださいね。

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