森に包まれた”入りトンボ”神社『土佐神社』(高知市)

高知県

大きな木々に囲まれた土佐国の一宮。長曾我部元親が凱旋した神社で、若宮八幡宮と対をなす入蜻蛉式で造られています。境内奥に広がるしなねの森を歩けば、心がスーッと落ち着きます。

訪問日:2020/01/27(月)

土佐神社へのアクセス

土佐神社は、高知市街地から車で約15分と市街地近くにあります。
最寄り駅は高知駅から土讃線で6分ほどの土佐一宮(とさいっく)駅。そこから徒歩20分ほどでもアクセスできます。

土佐の一宮

「一宮(いちのみや)」というコトバをご存知でしょうか。特定の地域で最も社格の高い神社をそう呼ぶのですが、一般的にはかつての令制国の一宮を指すことが多いです。例外も多いため言い切ってしまうのは語弊がありますが、「各都道府県で最も格がある神社」みたいなイメージを持っていただければ近いかなと思います。

三嶋大社(静岡県)や鹿島神宮(茨城県)のように現代でも多くの人が訪れる観光スポットとなっている一宮もあれば、地元の人にしか知られていないような場合もあります。

土佐の国(高知県)の一宮がこの土佐神社。通常とは違いここでは一宮を「いちのみや」ではなく「いっく」と読むのが特徴的。神社周辺の地名にもなっています。

歴史ある神社


土佐神社の創建は460年といわれており、かなり深い歴史のある神社です。

祭神は大国主命の息子で、農業の神である味鋤高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)と、一言主神(ひとことぬしのかみ)。国土の開拓や産業繁栄、家内安全や航海安全などのご利益があるそう。
社殿は1563年に戦火によって焼失してしまいますが、1570年に戦国大名・長宗我部元親によって再建されました。

土佐三大祭に数えられる「志那禰(しなね)祭」が行われる場所でもあり、しなね様とも呼ばれています。毎年8/24~25に開催され、土佐の人々にとっては夏の終わりを感じる風物詩となっているそうです。

鳥居の扁額は、第34代・第38代・第39代と3度に渡り内閣総理大臣を務めた近衛文麿の筆。

入りトンボ式の社殿

土佐神社の本殿を上から見ると、弊殿、拝殿と繋がり十字の形をしています。これは、本殿を頭とする、上に向かうトンボを表しているのです。

この様式は入蜻蛉(いりとんぼ)式といい、長宗我部元親が戦から帰った際に凱旋報告するためこのような形にて再建したと考えられています。
そのご利益か、元親はその後1575年に土佐を統一、さらには四国を統一するに至ります。(※四国統一が完成していたかどうかは諸説アリ)

なお、同じく高知市内にある若宮八幡宮は、逆の出蜻蛉(でとんぼ)式。戦に出る前の戦勝祈願を行っていたそうです。

長宗我部元親と縁が深い"出トンボ"神社『若宮八幡宮』(高知市)
四国を統一した英雄・長宗我部元親と縁が深い神社。出蜻蛉式という、戦勝を祈願した神社ならではの建築様式で建てられています。力強く立つ元親像は必見です。

境内散策で見つけたもの

朱塗りで目を引くこちらの建造物は、太鼓を設置するための鼓楼。大きくせり出した屋根が印象的ですが、少しアンバランスにも見えます。

左から事代主神社・西御前神社・大国主神社と摂社が並びます。西御前神社は「家庭円満」事代主神社と大国主神社は「商売繁昌」のご利益があります。

拝殿向かって右手にある輪抜け祓所には、巨大な輪っか状の杉の切り株が。

切り株の直径は2m以上あり、樹齢800年といわれています。こちらをくぐることで心身が清められ、長寿のご利益があるそう。なお、くぐり方は茅の輪くぐりのように左回り、右回り、左回りと3回くぐります。

こちらはみそぎ岩。心身を清める禊神事を行う場所。苔むした白い岩は、まるで切株のように森と調和しています。

水に浮かんだお社が特徴的な厳島神社もあります。

しなねの森

本殿の裏には志那禰(しなね)の森があります。街中とは思えない幻想的な森林が広がっており、遊歩道が整備されているため気軽に散策が可能です。

御神木の大杉。直径は1.5mくらいでしょうか。かなり立派な木ですが、最初通った際はまったく気づかずに素通りしてしまい、もう一周して見つけました。

高い位置にある神明宮。天照大御神と豊受大御神を祭る末社で、もとは伊勢神宮の遥拝所であったそう。御神徳は家内安全と農業繁栄。

こちらの岩は「つぶて石」。その昔、土佐大神という神様が岩を投げて落ちたところに神社を建てたという伝説があるのですが、そのとき投げた石がこちらのつぶて石。社地を定めた石なのです。

なお、この石は珪石という鉱石で、この周辺では見かけないタイプらしい。遠くから飛んできたというのもあり得ない話ではないかもしれません。


このあとはアンパンマンミュージアムへと向かいます!

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