気軽に参加できる非日常体験『国会議事堂 参観(衆議院)』(千代田区・永田町)

東京都(23区)

日本を代表する建築のひとつ、国会議事堂。実は一般人でも案内のもと見学することが可能なのです。今回は「衆議院」の国会参観に実際に参加したレポートをまとめてみました。

訪問日:2024/2/21(水) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

気軽に参加できる一般参観

言わずとしれた国会議事堂。三権分立の立法権を司る国会が開催される場所であり、一般人は内部へ入ることはできません。

しかし!実は気軽に内部見学をすることができるのです。参加方法はとってもカンタン。特別な予約は不要、所定の時間に受付へ向かうだけです。見学スタイルは自由見学ではなく係の人の案内のもとで見学するガイドツアータイプ。所要時間は1時間ほどです。

ちなみに、参観と傍聴とは別モノ。テレビで見かける国会中継を見るのは「傍聴」。今回私が参加した「参観」は、議員たちが国会を開いている姿を見られるものではありません。

国会議事堂裏側の受付

今回は丸の内線の国会議事堂前駅から国会議事堂へ。「国会参観・面会受付所(衆・参)」と案内がある出口1に進み、地上へ出ます。

急に案内が無くなりますが、出口を右へ。すぐに見える交差点を渡らず、建物に沿って右へ進むと受付である衆議院参観通用門が見えてきます。ここは、国会議事堂の裏側。正面口が受付ではないのでご注意ください。

受付は15分前から開始。住所・氏名・電話番号を記載してパンフレットをいただきます。これが入場券代わりとなるそうです。

■衆議院と参議院は別モノ
今回「国会議事堂 見学」と検索して「参議院」のサイトの要項を見て訪れたのですが、途中で違和感・・・私が参加していたのは「衆議院」の参観でした!いずれも同じ国会議事堂の見学ですが、内部で分かれているため見学コースが少々異なります。また、参議院は基本的に平日のみです。

ガイドツアースタート

エスカレーターで降りると広い空間へ。モニターで国会の紹介や国会クイズが流れ、衆議院議長と副議長の写真が飾られる、いわばエントランスホールのようなスペース。ここでトイレを済ませたら、手荷物検査があります。

手荷物検査を終えたら、いよいよツアー開始!「衛視」と呼ばれる国会を警護する係の人が案内してくれます。警察官のような姿ですが、実は警察とは異なる組織。これは、通常の警察は三権分立のうち行政にあたる組織であるため、その影響を及ぼすのを防ぐため立法府において別の警察組織が組まれているのです。

そんな衛視さんは、講和会議の場所でもあったため戦前の建築でありながら金属の手すりが残る階段、1mあたり23,000円もするという赤絨毯、200mに及ぶ廊下、沖縄産の珊瑚石灰石の壁など、様々なポイントを紹介してくれます。

壁に埋め込まれた筒は、郵便投函塔。ここに郵便物を投函することで、地下で集積されていくそう。ハガキ持参すれば投函することも可能なので、気になる方は事前にご用意ください!

ちなみに同様の仕組みが丸の内の「明治生命館」にもありました。

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天皇陛下のための部屋

各政党に割り当てられる控室が続く中、ひときわ特別感の漂う一室。こちらは皇族のための「皇族室」。折り上げ格天井がゴージャスな仕上がりの部屋です。

そして、その隣にあるのが「御休所(ごきゅうじょ)」。天皇陛下がお休みになる部屋であり、純金製の時計や描かれた鳳凰が特別感を漂わせます。

御休所の前には階段が延びており、中央玄関と繋がっています。この玄関が開くのは基本的に天皇陛下のお迎え、国会に儀委が初登院するとき、そして外国の国賓を招くときの3通りのみ。そのため、「あかずの扉」とも呼ばれるそうです。

広々とした中央広場

中央玄関と御休所の間には中央広間が広がっています。壁面にはイギリスから輸入したというステンドグラスがはめ込まれ、四隅には日本の春夏秋冬が描かれている荘厳な空間です。

1階部分に立つのは伊藤博文の銅像。ここからは真下であるため見えませんが、大隈重信板垣退助も配置されています。それぞれ広間の四隅ですが、一か所だけは空座となっています。政治に完成はないためあえて開けておくという未完の象徴であるという意味や、未来のために一席空けてあるという説もあるそうです。また、空座のところに像を立てると皇居におしりを向けることになるため不敬になるともいわれています。

この広間は2階~6階まで吹き抜けとなっており、その高さは32mにも及びます。

議会が開催される本会議場

これぞ国会!といった光景が広がるのが本会議場。ここでは実際に傍聴席へ座り、じっくりと衛視さんの話を聞くことができます。

中央の「議長席」、議長を支える「事務総長席」、左右には大臣や副大臣が前列、事務局員が座る後列など、それぞれ座る人が定められています。

マイクが並ぶ中央の「演壇」は、国会において唯一発言が許される場所。それ以外での発言は不規則発言、通称「ヤジ」になります。

演壇の手前には「速記者席」があり、会議の発言の記録を紙とペンで記録しています。通常の日本語は記すのに時間がかかるため、専用の文字「速記符号」を用いています。

中央上部にあるのが「御座所」。ここは天皇陛下が傍聴する場所です。ただし、これまで一度も使われていないそう。天皇陛下が訪れるのは開会式だけですが、それは参議院で行われているのでここ衆議院の本会議場に訪れることはないそうです。

周囲を囲むのは465の議席。ヤマザクラでできた椅子と机には、出席時に立てる「氏名標」があります。議員が変わる場合も廃棄せず、名前を消して上書きして利用を続けているそうです。

2階部分には「貴賓席」や「傍聴席」に加えて、カメラスタンドがある「新聞記者席」も。よく見ると、各社ごとに指定されています。

外から見る国会議事堂

ガイドツアーもクライマックス。最後は外へ出て、外から国会議事堂を眺めます。途中には1970年に議会開設80周年を記念して贈られた都道府県の木が植えられています。大分県の豊後梅はちょうど花盛りでした。

斜めから見る国会議事堂。テレビなどでお馴染みのアングルも、内部に入らないと見ることができません。

最後は、正面から見る国会議事堂。ここでフリー撮影タイム!なのですが、向かって中央より右側へ出てはいけないというちょっとしたルールがあります。なぜなら、向かって右半分は参議院のエリアなので、衆議院の参観では越えてはいけないそうです。

このとき、参議院側で参加した小学生グループと遭遇。集合写真を撮っていましたが、真ん中のラインは越えないように配慮していました。

ここでツアーはおしまい。正門から出て解散となります。受付とは別の場所での終了となるのでご注意ください。

参加してみた感想

今回案内してくださったのはメガネをかけた若いお兄さんの衛視。何となくお堅い雰囲気をイメージしていたのですが、流暢なトークやくだけた表現がとってもわかりやすくフレンドリーな雰囲気。知識がなくてもしっかり楽しめました。

非常に充実した内容で、無料であるのが申し訳なく感じるレベル。前述の通り手間のかかる手続きも一切ありませんので、ちょっとした非日常を気軽に体験できる場所としておすすめです!

ちなみに、今回平日の13:00の回で参加していたのは私含めて10人くらい。噂では午前中が人が多く、場合によっては団体と一緒になることもあるそうです。

アクセスと営業情報

東京メトロ丸の内線・千代田線の「国会議事堂前駅」1番出口より徒歩3分。もしくは東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線の「永田町駅」より徒歩3分。

開館時間 9:00~17:00
開催日 月曜
料金 無料
公式サイト https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/tetuzuki/sankan.htm

※掲載の情報は2024年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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