重厚な大拝殿と色彩あざやかな立川流彫刻『静岡浅間神社』(静岡市)

静岡県

大河ドラマの影響で賑わいを見せる静岡、こちらの静岡浅間神社は徳川家康と縁のある神社。圧巻の大拝殿や、随所に施された華麗なる彫刻の数々、さらには期間限定の大河ドラマ館もオープン。多くの参拝客や観光客が訪れる、にぎやかな神社です。

訪問日:2023/2/23(木) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

家康ゆかりの神社

静岡駅から見て駿府城の奥に鎮座する静岡浅間神社は、古来よりこの地で信仰されてきた歴史ある神社。通称「おせんげんさん」と呼ばれ親しまれています。交通量の多い麻機街道に面して建っており、駅から離れているにも関わらずにぎやかな印象です。

静岡浅間神社という名称は実は総称であり、正確には「神部神社」「淺間神社」「大歳御祖神社」の3つの神社からなっています。

徳川家康とも所縁があり、かつて今川義元の人質であった家康が元服式を行った神社でもあるそう。その際に着用したと伝わる具足「紅糸威腹巻(べにいとおどしはらまき)」は奉納され今も残っております。通常は非公開のようですが、新しく駿府城旧三ノ丸跡にオープンした「静岡市歴史博物館」には復元模造品が展示、さらには企画展で実物が展示されることもあるそうです。

江戸時代から残る建築

総門をくぐった先に見える立派な楼門は、江戸時代である文化13年に竣工したもの。水呑の龍や力神などの彫刻で彩られている豪華な門です。

楼門の傍には神厩社があり、徳川家光が奉納したという木製の神馬が奉納されています。かつて徳川家康が奉納した馬を模して、名工として名高い左甚五郎に造らせたと伝わっているそう。どんな願いも叶えてくれるそうで「叶え馬」とも呼ばれています。

楼門の先にあるのは舞殿。楼門とは異なり、色彩の薄い白木づくり。能の始祖とも称される観阿弥(かんあみ)が今川氏に招かれ、能を奉納したそう。その後、この地で没したため、観阿弥が人生最後に舞った場所ともいわれております。

二柱を祀る迫力の大拝殿

舞殿の先にそびえるのが大拝殿。その高さは25mと、写真で想像していたよりもはるかに巨大に感じます。二階建ての楼閣造りで仕上げられた姿は、まるでお城の天守閣のようです。

現在の建築は、11代将軍・徳川家斉の時代に建てられたもの。幕府直営で巨額の資金を投じて建立されたそうです。

この大拝殿は、向かって左が浅間神社(あさまじんじゃ)、右が神部神社(かんべじんじゃ)となっております。

浅間神社は木之花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)を祀り、延命長寿・縁結び・除災招福の神として信仰されています。また、神部神社は大己貴命(おおなむちのみこと=大国主命)を祀り、安産・子授け・婦徳円満の神として信仰されているそうです。

大歳御祖命ってどんな神様?

境内を進んでいくと、見えてくるのが三社のうちの一社である、大歳御祖神社(おおとしみおやじんじゃ)。約1700年前の応神天皇の時代に創建されたと伝わる歴史の深い神社で、大歳御祖命(おおとしみおやのみこと)という神様を祀っています。

社殿の前には赤鳥居と神門が設けられており、こちらも境内の入口となっています。

神門の先にある拝殿は天保7年(1836年)に竣工したもの。大拝殿に比べると少し控えめな印象ですが、朱色と金の装飾があざやか。

ところで、御祭神の大歳御祖命とはどのような神様なのでしょうか。案内によると、もともとはこの地域の商業の中心である「安倍の市」の守護神であったそう。そのため現在は各産業の守護神として信仰されています。お稲荷様の母神でもあるそうです。

引き込まれる立川流彫刻

この神社へ参拝に来たらぜひ注目したいのが、社殿に刻まれた立川流による精巧な彫刻。

「立川(たてかわ)流」というのは 宮大工の流派。信濃国諏訪郡を本拠地としており、諏訪大社下社秋宮の幣拝殿や善光寺大勧進表門など、多くの神社仏閣を手掛けています。この静岡浅間神社でも、そんな立川流の作品が数多く残されているのです。

舞殿に彫られた「獏」。木目を生かした味わいのある素木な彫刻です。

獅子の頭に乗り屋根を支えるのは「力神」(力士との記載もあり)。他の立川流の神社でも見かけることができるモチーフです。

楼門に描かれているのは中国の説話に基づく「虎の子渡し」。

虎が子を3匹生むと、その中には必ず彪(ひょう)が1匹おり、他の2匹の子虎を食べようとします。母虎は川を渡る際、子虎を背中に乗せて往復するのですが、最初に子虎を乗せて岸を渡ると、その間残るのが子虎と彪だけになり子虎が食べられてしまいます。かといって最初に彪を運ぶと、次に子虎を運び2匹目の子虎を連れに戻る際ににやっぱり彪と子虎だけになってしまいます。さぁ、どうしたら良いでしょうか・・・?

彫刻を見ながら、この謎を考えてみるのも面白いです。答えが気になる方は、検索してみよう!

大河ドラマ館もオープン

境内にあるこちらの建物は静岡市文化財資料館。2021年に閉館し、その役目は2023年1月オープンの静岡市歴史博物館に譲りました。

2023年現在は大河ドラマ「どうする家康」の展示施設、大河ドラマ館としてオープンしています。登場人物の紹介や制作陣のエピソード、撮影衣装やここでしか見ることができない映像コンテンツも。徳川家康を中心とした歴史紹介や浅間神社についての展示もあるので、大河ドラマを見ていない人でもそれなりに楽しめる仕上がりとなっています。

館内は基本撮影禁止ですが、一部撮影可能なポイントも。等身大フォトパネルと記念撮影はいかがでしょうか?

開催期間:令和5年1月27日(金)〜令和6年1月28日(日)

アクセス情報

静岡駅よりバスで8分ほど。徒歩だと30分ほどかかりますが、道中に「静岡市歴史博物館」や「駿府城」などがあるため、それほど苦にはならない距離です。

歩きたくない方には、駅前でレンタサイクルもおすすめ!自転車ならば10~15分ほどでアクセスできます。

公式サイト http://www.shizuokasengen.net/

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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