静岡浅間神社の境内にある石段を登っていくと、賤機山の山上にある円墳の姿を見ることができます。石室内部を覗いてみると、屋根のついた変わったデザインの石棺「家形石棺」の姿が。
神社の中にある古墳
賤機山(しずはたやま)古墳は、静岡市葵区の賤機山南端に造営された古墳。現在は静岡浅間神社の境内となっています。
境内を進み、八千戈(やちほこ)神社のすぐそば、麓山(はやま)神社へ向かう階段を登ります。なかなか迫力のある石段は約105段。思ったよりさくっと登れます。
登った先に石碑を発見!この山が古墳のようですが、どうやら石室とは逆側に来てしまったようで少しわかりにくいです。回り込むことにします。
この先は少し下りになるので、麓山神社へ参拝される方は先に済ませるのがおすすめ。また、大歳御祖(おおとしみおや)神社側からも登ることができ、そちらからの方がスムーズに石室側へたどりつくことができるようです。
山上の円墳
石室の入口と、こんもりとした姿の円墳が見えてきました。
直径は約32メートル・高さは約7メートルと、なかなかの規模です。冬の訪問なので草木が少し寂しいですが、春から夏はに来れば青々とした姿になることでしょう。
この古墳は昭和24年(1949年)に発掘調査が行われ、古墳時代後期に造られたものということがわかりました。続く昭和28年(1953年)にはその価値が認められ、国の史跡に指定されます。現在は復元整備されているため、気軽に見学することが可能な古墳なのです。
レアな家形石棺
この古墳の埋葬施設は横穴式石室。内部に入ることはできませんが、外から見学することは可能。8:00〜18:00には石室内に照明が灯り、ぼんやりと中の様子を見ることができます。
覗いてみると、巨石を積み上げて造られた「羨道(せんどう)」が。そして、その奥の部屋である玄室(げんしつ)には、屋根のような形のフタが載った家形石棺が納められています。このような石棺は東日本ではかなり珍しい形のようです。
この石棺は巨石をくり抜いて造られた「刳抜式(くりぬきしき)石棺」。前後の長さが2.9mとのことなので、かなりの巨石を用いたことがわかります。また、合わせ目部分にはベンガラという赤い塗料も塗られていたそうです。
石室に使用された石はここから10km以上離れた大崩海岸のもの。さらに石棺に使用された石は伊豆産の凝灰岩であるそう。巨大な岩を運び、加工をして山を登る・・・古墳築造には様々な技術が詰まっていることを感じますね。
わかりやすい模型
とはいえ、石室入口からだとあまりよく見えません。家形石棺も、なんとなくシルエットがわかる程度・・・。
そんな探究心つよつよな方のために、古墳前には墳丘模型があります!断面が見えるように作られているため、内部の様子がわかりやすい。手前には、墳丘がどのようにできたかの図解も描かれています。
石室には家形石棺もちゃんと設置されています。これならば、寄棟造りのような姿の屋根の様子がよくわかります。屋根の端っこには突起が造られておりますが、これは縄をかけて運ぶための「縄掛突起」だと思われます。
埋葬者は何者?
過去に盗掘があり副葬品の一部は盗み出されていしまっているそうですが、ガラス玉や冠帽金具などが見つかっています。また、石棺の外には武器や装身具も見つかっているそうです。
これだけ立派な古墳ですが、埋葬者がどのような人物であったのかは明らかになっておりません。
見晴らしの良い場所に築かれていること、巨石を用いた大掛かりな工事が行われたことを考えると、この地域を治めた豪族と考えるのが自然です。
アクセスと営業情報
JR静岡駅より徒歩で30分ほど。バスを利用すれば8分ほど。前述の通り静岡浅間神社内にありますので、基本は神社を目指す感じです。
石室内照明時間 | 8:00〜18:00 |
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公式サイト | https://www.city.shizuoka.lg.jp/000_002439.html |
※掲載の情報は2023年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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