駿府城のすぐそばにオープンした歴史ミュージアム。駿府の歴史や、それに大きな影響を及ぼした徳川家康&今川家に関する展示が盛りだくさん。館内入るとすぐに広がる「戦国時代末期の道と石垣」の遺構は必見です!
駿府城そばの博物館
静岡市歴史博物館は、2023年1月13日というできたてほやほやな歴史ミュージアム。前身である静岡浅間神社の境内にあった静岡市文化財資料館が2021年に閉館後、大河ドラマの追い風も受けて、満を持して誕生しました。
設計を担当したのはSANAA。妹島和世(せじまかずよ)と西沢立衛(にしざわりゅうえ)によるユニットで、金沢21世紀美術館などを手掛けたことでも知られています。
駿府城旧三ノ丸跡に建っているため、駿府城と合わせて訪問するのが一般的。館内の3階には巽櫓を見渡せるビュースポットもあります。
圧巻の道と石垣の遺跡
来館者を出迎えるのは謎の遺跡。こちらは「戦国時代末期の道と石垣」の遺構です。
道幅は2.7m、長さは33m。野面積みで積まれた石垣、その上には土塀が載っていたと考えられています。土塀があるということは、当時の身分から推測するに武家屋敷が並んでいたのではないでしょうか。
一部白くなっている箇所は石膏。地中の水分に含まれていたものが地表に現れたものだそう。
この歴史博物館は、この遺跡を保存・展示するためにこの場所に建てられたのかな?そう思ったのですが、博物館建設の工事中に発見されたものであるそう。それに合わせて、博物館の設計を変えたとのことです。歴史博物館を建てようとしたら、そこから遺跡が見つかるなんて、偶然のようで必然にも感じますね。
わかりやすい展示
遺跡を眺めながらスロープを登っていくと、2階・3階と広がる展示室へとつながります。(※展示室内は撮影禁止)
駿府を拠点に天下を治めた徳川家康、その基礎を築いた今川氏、そしてその後の駿府の発展を軸にした展示が広がります。パネルとデジタルコンテンツが豊富で非常にわかりやすく仕上げられているため、あまり歴史に詳しくない人でも楽しめる仕上がりです。
将軍職を退き大御所となった家康が暮らした駿府は、実質的な首都機能を持っていたそう。『「首都」駿府のにぎわい』コーナーでは、そんな街のにぎわいがデジタルコンテンツで表現されています。
外交に関する展示も豊富で、それに関わったウィリアム・アダムズ、ヤン・ヨーステンなどの外国人や山田長政や以心崇伝といった幕臣たちのストーリーも描かれます。イギリス国王より贈られた望遠鏡、難破したスペイン船を救助したお礼にスペイン国王より贈られた洋時計などの複製品もあり、当時の空気をイメージしやすいです。
もちろん徳川家康ゆかりの品々も。家康が静岡浅間神社で元服の際に着たとされる「紅糸威腹巻(くれないいとおどしはらまき)」の複製、家康が戦場にてかかげた馬標、巨大な黄金の扇子である「金扇馬標(きんせんうまじるし)」など、多数展示されています。レプリカが中心ですが、徳川家康の姿を想像するのには充分過ぎるラインナップ。さらには駿府の発展に影響を及ぼした今川氏に関する展示もあります。
展示を楽しめた方は、久能山東照宮の境内にある「久能山東照宮博物館」もおすすめ!ここで見たレプリカの実物に出会うことができます。どうせ見るならレプリカ→本物の順番で見た方が良いので、「静岡市歴史博物館(レプリカ)」→「久能山東照宮(本物)」とめぐるのがおすすめ。内容的にも静岡市歴史博物館の方がわかりやすくまとめられていますので、深く理解するうえでもこの順番が良さそうです。
企画展示も開催
館内では企画展示も開催しています。私が訪問した際は、静岡市歴史博物館開館記念企画展『徳川家康と駿府』を開催しておりました。
家康ゆかりの品や書物が多数展示されており、常設展示室にレプリカのあった紅糸威腹巻の実物も見ることができました。
少々とっつきにくく感じる書物も、「家康、鷹狩りに出かける、しかし今日は残念」「家康、崇伝、廓山、連携プレーで問題解決」などわかりやすいキャッチフレーズと解説がついている親切な仕上がり。解説を読んでいくだけでも楽しめました。
こちらの企画展示は2023年1月13日〜2月26日の期間限定であるため、もうこの記事がアップされる頃には終了しております。今後はどのような企画展示を展開していくのか非常に楽しみです!
アクセスと営業情報
JR線の静岡駅北口より徒歩15分、静岡鉄道の新静岡駅より徒歩8分ほど。
開館時間 | 9:00~18:00 |
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休館日 | 月曜、年末年始 |
料金 | 基本展示:600円 ※企画展示は別料金 |
公式サイト | https://scmh.jp/ |
※掲載の情報は2023年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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