東海道の宿場町・丸子宿跡にて今も営業を続ける丁子屋。長い歴史を持つとろろ汁を気軽に楽しむことができます。このメニューは日本遺産にも登録されているそうですが、いったいどのような評価を受けたのでしょうか?
東海道の宿場町・丸子宿
かつて江戸と京都をつなぐ交通の大動脈であった東海道。道中には、旅人が休むための宿場町が全部で53ヶ所設けられていました。
静岡県静岡市駿河区にある丸子宿(まりこしゅく)も、そんな東海道の宿場町。江戸から数えて20番目にあたり、東海道の宿場町では最も小さかったそうです。
現在は、一般的な農村地帯となっています。宿場町の面影は少なめですが、幕府からの掟などが掲示された「高札場」の跡があり、天和2年の高札が再現されていたりしています。
戦国時代から続く老舗
そんな丸子宿の名物といえばとろろ汁。現在でも丁子屋(ちょうじや)というお店が営業を続けています。
創業は慶長元年(1596年)。なんと400年以上の歴史を持つ超老舗です。外観から歴史がにじみ出ていますが、実はこの建物は1970年に古民家を移築したものであるそう。
この丁子屋さん、なんと19:30ラストオーダーという営業時間の長さがポイント(※2023年2月訪問時)。宿場町の伝統あるお店は昼しか営業していないことが多いため、夕飯にすることができるのは非常にレアです。
座席は畳敷きの和室に椅子とテーブルが設置されたタイプ。梁の部分には、東海道五十三次が飾られています。
名物のとろろ汁
メインとなるメニューはもちろん「とろろ汁」。「丸子」「本陣」「府中」など、メニュー数に応じたいくつかのグレードの定食があります。
初心者なので、店員さんおすすめの「丸子」にしてみました。とろろ汁・麦めし・味噌汁・香物・薬味がセットになった、最もシンプルな定食。
「本陣」や「府中」にすると、ここに自然薯を揚げた「揚げとろ」や「むかごの揚げ団子」などがプラスされます。これらは一品料理として単品注文もできるので、数人で来たらいろいろ追加してシェアしても楽しそうです。
とろろ汁の食べ方
麦飯をお椀に半分ほど盛り、ごはんが泳ぐくらいにとろろ汁をかけます。
お好みで薬味をかけたら、ざーざーと音を立てて流し込む!卵かけご飯のようによく混ぜるのがポイントとのこと。
自家製の白味噌で味付けされたとろろはさっぱりしたお味。麦飯のぷちぷちと薬味ネギのシャキシャキ感が良いアクセントになります。
現代人にはちょっと薄味に感じますが、そんなときは卓上調味料!醤油、塩、さらにワサビ塩もあるので調整できます。二杯目以降の味変にもおすすめです。
歴史資料館も併設
この丁子屋は、館内に一室を歴史資料館としており、無料で見学可能。旅人たちが使用していた道具や丸子宿にちなんだ浮世絵などが展示されています。
こちらは、先ほどの高札場に掲示されていたと思われる高札。その内容はなんと「大政奉還」!!幕府政治の終わりを告げる大きな出来事、これを見た人々には衝撃が走ったことでしょう。
片膝を立てた木像は、「東海道中膝栗毛」で知られる十返舎一九。丁子屋の12代当主が作成したものであるそうです。この丁子屋、十返舎一九とは深いつながりがあります。
日本遺産にも登録
丁子屋と丸子宿のとろろ汁は日本遺産の構成資産としても登録されています。
日本遺産といえば、日本の文化や伝統を語るストーリーを重視して認定されるもの。この丁子屋が含まれるのは、「日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅 ~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~」。十返舎一九の滑稽本「東海道中膝栗毛」の主人公である弥次郎兵衛と喜多八、通称『弥次喜多』の二人がめぐった場所を中心とした日本遺産です。
ストーリーの中では、とろろ汁まみれでケンカするというユニークな描写があります。気になる方は、こちらでご覧ください。
アクセスと営業情報
静岡駅前よりバスで約30分のバス停《吐月峰駿府匠宿入口》より徒歩3分ほど。車の場合は静岡駅より20分ほど。無料の駐車場も80台分備えています。
営業時間 | 月〜金:11:00〜14:00 土日祝:11:00〜15:00、16:30〜19:00 ※変更の場合もあるので直接店舗へご確認ください |
---|---|
定休日 | 木曜、毎月末の水曜 |
公式サイト | https://chojiya.info/ |
※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
コメント