北アルプスこと飛騨山脈の自然や人々との関りを知ることができる、山岳をテーマにした博物館。剥製や生体展示で、山々に暮らす生き物について詳しく学ぶことができます。かつては一般人が入ることができなかった時代があるのですが、それはいったい何故でしょうか…?
山岳の博物館
山岳地帯を多く有し、北アルプスへの登山口のある大町市。そんな町に1951年に誕生したのがこちらの山岳博物館。日本で初めて山岳をテーマにした博物館で、「山博(さんぱく)」の愛称で親しまれています。
この博物館のメインテーマは「北アルプスの自然と人」。北アルプスの成り立ちや、そこで暮らす生き物と自然、そして人々との関わりについてわかりやすく展示されています。
3階建ての博物館で、それぞれのフロアに展示室があります。まずはエレベーターで一番上まで上がり、そこから降りながら見学するのが順路です。
抜群の眺望
3階は広がる北アルプスの山々を見渡せる壮大な展望台となっています。
この博物館は市街地から少し離れた丘の上に立っています。そのため、抜群の眺望が楽しめるのがポイント。蓮華岳や鹿島槍ヶ岳など後立山連峰の雄大な山岳を一望できます。
ガラス窓の反射を回避して写真を撮りたい方向けに、自由に開閉できる窓が設置されているのがとっても親切。アングルは限定されますが、嬉しい配慮です。
山で暮らす生き物
2階では、山岳地帯に暮らす生き物の剥製や標本が展示されています。ニホンカモシカやムササビ、ヤマドリなど平地では見ることができない生き物がたくさん。スピーカーからは鳥のさえずりも響きます。
ただ並べているのではなく、それぞれ動きが付けられている剥製たち。躍動感たっぷりで、どんな生活を送っているかのイメージがわきます。
特に注力されているのはライチョウ。北アルプスをはじめとした山岳地帯に暮らす鳥ですが、近年急激に生息数を減らしております。保護するために様々な活動が行われており、その生態についても研究が続けられています。
北アルプスの山岳文化
博物館の1階は、時代によって変化する「北アルプスの山々と人々の関わり」についての展示が広がります。パネルと映像コンテンツでとっても見やすい。
古代から信仰の対象であった北アルプス。中世には立山信仰に代表される山岳信仰の修行の場でした。
江戸時代になると、隣国に対する防備や藩有林確保のため、加賀藩によってその大部分が「御縮山(おしまりやま)」として閉ざされます。立山詣でを除いて、一般人はほぼ立入禁止となっていました。
明治維新がおこり藩政が崩れると、調査研究や学術登山が行われるようになります。
大正時代になると登山は仕事や信仰からスポーツへと変化。夏山登山から、積雪期などより困難な登山を追求するアルピニズムまで、多くの登山家が集まるようになりました。
山岳地帯の動物に会える付属園
山岳博物館の裏側には、「付属園」という小さな動物園・植物園が設置されており、山岳地帯に暮らす生き物が飼育・展示されています。
日本のライチョウも飼育されていますが、保護のため見学は不可。代わりに、外国産のスバールバルライチョウを見ることができます。窓の反射&近づけないため写真に撮るのば難しいですが、肉眼ではヨチヨチ歩く可愛らしい姿をばっちり見ることができます。
ぐでーっとしているニホンカモシカ。生後まもなく親とはぐれていたところを保護され、ここで飼育されています。名前からシカの仲間かと思われますが、実はウシやヤギの仲間。「カモシカのような足」という言葉からスマートな姿でイメージされがちですが、実物は思いのほかずんぐりとしています。
凛々しい姿のトビ。こちらも衰弱していたところを保護しているそう。高山から都市部まで幅広く生息しているため、多くの日本人に最も馴染み深い猛禽類です。
他にもフクロウやチョウゲンボウなど数種類の生き物が飼育されていました。
アクセスと営業情報
JR大糸線の信濃大町駅から徒歩25分。車の場合は安曇野ICから約40分。無料の駐車場を備えています。
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 月曜、翌祝、年末年始 |
料金 | 450円 |
公式サイト | https://www.omachi-sanpaku.com/ |
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