早朝の奈良井宿散策〜お手軽1時間コース〜(塩尻市)

長野県

まだ日の登りきらない早朝に訪れた奈良井宿。お店はどこもまだ営業していませんが、風情ある町並みは歩いているだけでも楽しいです。霧雨が煙る中、1時間ほど散歩してきました。

訪問日:2020/11/19(木)

風情あふれる宿場町

長野県の塩尻市にある奈良井宿(ならいじゅく)。戦国時代に武田氏が定め、江戸時代には日本橋(江戸)から三条大橋(京都)をつなぐ街道・中山道の宿場町として発展しました。

67ある中山道の宿場町のうち、江戸から34番目の宿場町で、ちょうど真ん中あたりに位置しており、かつては多くの人々で栄え「奈良井千軒」と称されていました。

現在でも江戸の町並みが色濃く残っており、「伝統的建造物群保存地区」にも選定されております。飲食店や雑貨屋さんなども並び、同じく中山道の宿場町である妻籠宿(つまごじゅく)・馬籠宿(まごめじゅく)と合わせて人気のある観光スポットです。

早朝の奈良井宿

散策のはじまりはJR東海・中央本線の停車駅である奈良井駅。ちょうど宿場町の入口に位置しているため、スタート地点にぴったり。宿場町の雰囲気にマッチする木造の駅舎も雰囲気抜群です。

この奈良井駅の海抜は934mと、JR東海の中で最高地点に位置する駅。なぜかスカイツリーと張り合っているのですが、「クサシ」の語呂がとってもシュール。

奈良井宿は南北約1kmにわたる非常に長い宿場町で、奈良井駅からは下町・中町・上町と3つに別れた町並みが続きます。

早朝の清々しい空気の中の散策は気持ち良い。朝7:00頃だったので、町中には小学生がたくさん歩いていました。こういう光景を見ると、観光地とはいえ地元住民の生活の場ということを実感します。

奈良井宿の特徴

奈良井宿の建物をよく見ると、2階部分が妙にせりだしているのがわかります。これは「出梁(だしばり)造り」という建築様式。近づくとヒノキの香りがただよいます。

町中に水が湧き出る「水場」が作られているのも、この奈良井宿の特徴。全部で6ヶ所設置されており、それぞれデザインが異なっているので巡ってみると面白いです。

豊かな湧き水は、かつては生活用水や消火用として利用されてきました。現在はそれぞれの水場ごとに水場組合が設けられ、当番制で管理しているそうです。なお、消毒はされていないので飲み過ぎ注意だそうです。

秘められた信仰

宿場町から一本脇道へ入ると大宝寺(たいほうじ)というお寺があります。こちらの本堂の右手奥に進むと、マリア地蔵尊が姿を表します。

この地蔵尊は、1932年に地元民によって藪の中から発見されたもの。お地蔵様が抱きかかえる稚児が十字架のようなものを掲げているため、隠れキリシタンの信仰対象であったのではないかと考えられています。

言われてみれば十字架に見えなくもないですが、もっと違うモチーフにも見えます。
本当に隠れキリシタンなのか少し疑問に感じますが、同じく中山道の野尻宿にも十字架を掲げたマリア観音が安置されていたりと、木曽エリアには他にもいくつかの隠れキリシタンに関わると考えられる資料が見つかっています。木曽の深い山の中でひっそりと信仰が続いていた可能性は高いと考えられます。

気になるのは、首がない姿。このような仏像を見ると、明治時代に吹き荒れた廃仏毀釈による仏像破壊が脳裏を過ります。破壊されて藪の中に捨てられてしまったのか、それとも経年劣化で落ちてしまったのかもしれませんね。

宿場町の最奥へ

奈良井駅から歩いていくと、最も奥にあるのが奈良井宿高札場。高札というのは、江戸時代に幕府が定めた法令を人々に周知させるために掲げたもの。奈良井駅から見て一番奥に高札場があります。

記されている文字は仮名交じり文なため意外と読めます。中には「キリシタン禁止・もし不審な者を密告すれば褒美あり」といった内容も。先程のマリア観音と繋がってきました。

そして、高札の先にあるのは鎮神社(しずめじんじゃ)。杉の大木がそびえる、広い境内の神社。隣には楢川歴史民俗資料館もあるのですが、まだ開館前でした。

宿場町から一段高い位置に建てられているため、ここからは眺めも良い。歩いているときは気が付かなかったのですが、屋根の上に石を並べた石置屋根が現役で残っています。

木曽の大橋

奈良井宿から線路を渡り国道19号線方面へ進むと、印象的なアーチ橋が見えてきます。

こちらは木曽の大橋。木曽川にかかる立派な橋で、特産のヒノキで造られています。歩行者は24時間自由に通行できます。

この橋は、まるで岩国の錦帯橋のような造りをしています。木の組み方もそっくりで、他人の空似にしては似過ぎているような気が・・・。

気になったので調べてみたところ、どうやら錦帯橋をモデルにして造ったようです。
https://www.kintaikyo.jp/faq/001.php

奈良井宿へのアクセスと道の駅の注意点

電車の場合はJR中央本線「奈良井駅」のすぐ目の前とアクセス良好。車の場合、都心から中央自動車道、長野自動車道と進み、塩尻ICから約30分。トータルで約3時間ほどの場所にあります。

駐車場は、宿場町のすぐ近くに「道の駅 奈良井木曽の大橋」があるので、そちらに停めることができます。線路をくぐる地下通路を利用すれば、宿場町まで徒歩3分ほど。

なお、この道の駅には3つほど注意点があります。

1つ目は、道の駅とはつくものの無人で、トイレと情報コーナーしかないこと。地域の物産を扱うショップや食堂などの施設は併設されていないのです。

2つ目は、夜間消灯しているためものすごく真っ暗。かろうじてトイレは人が入ると付く自動照明ですが、近くには自販機もないたライトがないと歩きにくいです。車中泊などで夜に利用する予定の方はご注意ください。

3つ目は、駐車場が複数あるところ。トイレ棟のすぐ目の前に駐車場がありますが、これとは別に国道19号線沿いにも道の駅駐車場があります。カーナビだとそちらへ指示されることが多いようですが、そこからだと奈良井宿まで少し距離があるため歩行距離が増えます。


早朝だったため、お店や資料館はまだどこもオープンしていませんでした。それでも雰囲気の良い町並みを歩くのは心地良いものです。いずれ日中に再訪したいと思います!

コメント

  1. […] 中山道の宿場町であった馬籠宿は、奈良井宿(ならいじゅく)、妻籠宿(つまごじゅく)と並ぶ人気の観光スポット。こちらもまた他の2ヶ所同様に、当時の面影を色濃く残す風情ある町並みが広がります。 […]

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
タイトルとURLをコピーしました