様々な公文書を多数所蔵、展示している施設。教科書で名前は見たことあるような文書がずらりと展示されており、近代日本史の記憶がある方はかなり楽しめるはず!非常に固いイメージですが、予約不要・入館無料の施設なので気軽に訪れることができます。
公文書を保存・展示する施設
「公文書」、それは法務に携わる政府や地方自治体など公の施設が作成する書物で、国の諸活動や歴史の記録となります。
国立近代美術館のすぐ隣に建つ国立公文書館は、そんな重要な公文書を保存・展示している施設。昭和46年に開設され、所蔵する公文書は150万冊、さらに古書や古文書も保存されています。
観光要素ほぼゼロの硬すぎる外観は、まるでお役所のようです。なかなか敷居が高く感じますが、受付の方はとっても親切。
なお、こちらの施設は無料で見学できます!お金がかからないのねで、とりあえず入ってみても良いかと…!
歴史を感じる常設展示室
館内入って右側は常設展示室。所蔵する公文書のうち、数点を公開しています。一部屋、というか一通路くらいというボリュームなのでサクッと見るだけならあっという間。フラッシュなしならば撮影も可能です。
展示室に並んでいたのは、「民撰議院設立建白書」、「国会開設の勅諭」、「教育勅語」、「日清講和条約」、「日露講和条約」などなど。いずれも歴史の教科書で見かけた名前ばかり!関東大震災や二・二六事件の記録などもあります。
さらには第二次世界大戦時にアメリカ・イギリスに対して宣戦布告した際の「宣戦の詔書」、玉音放送として国民に伝えられた「終戦の詔書」も。書き連ねられた「堪えがたきを堪え、忍び難きを忍び……」の一言も見ることができます。
戦後の「農地改革」、「教育基本法」、「サンフランシスコ平和条約」、「沖縄返還」、「国鉄民営化」などが記された公文書も。歴史は続いていきます。並んでいる資料を追っていくと、近代日本のあゆみがわかるようになっているため、歴史ミュージアムとしても楽しめます。
並ぶ2つの憲法
1947年5月3日に施行された日本国憲法も、ここで大切に保存されています。「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」の三原則、学校で覚えた記憶が蘇ります。
よく見ると、「裕仁」と書かれた署名、そして大きな「御名御璽(ぎょめいぎょじ)」と書かれた印。このような天皇陛下の国事行為として法律などが公布される際に作成されるものを、御署名原本というそう。連なるように当時の内閣総理大臣である吉田茂をはじめ、国務大臣の幣原喜重郎など各大臣の署名も記されています。
明治23年11月29日に施行されたかつての憲法、大日本帝国憲法も並んでいます。そこに記されているのは昭和天皇の睦仁の名、続いて黒田清隆、伊藤博文、大隈重信、榎本武揚らの名前が連なります。
令和と平成
目を引くのは「令和の書」の複製。
平成31年4月1日、平成の次の元号として発表された令和。菅義偉内閣官房長官(当時)が掲げる姿は、まだ記憶に新しいです。
さらには一つ前の元号、「平成の書」も展示されています。昭和64年1月7日、小渕恵三官房長官(当時)によって発表された平成。記憶に新しい方はさすがにいないでしょうかね。
この2つの元号の書、クリアファイルになって販売しております!1つ300円、2つセットだと500円。訪れた記念にいかがでしょうか?私はうっかり買ってしまいました!
ユニークな企画展
公文書館では毎年春と秋の2回、テーマにそった公文書を展示した展示会を開催しています。2022年10月8日(土)〜12月4日(日)の期間は、「鉄道開業150年 広がる、広げる −公文書で描く鉄道と人々のあゆみ−」。
新橋〜横浜間で日本初の鉄道が開通してから150年、全国各地へ広がっていった鉄道網に関連する資料を集めた展示です。内容はやっぱり固めではありますが、解説パネルはシンプルで読みやすい。
漂流した結果アメリカに流れ着いたジョン万次郎が見た鉄道に関する記録、ペリー一行が持参したという蒸気機関車の絵、日本初の鉄道は板張りだっため生まれた貸座布団営業に対する許可書など、じっくり見てみると面白いものがたくさん。
興味を惹かれるのは計画されながらも実現に至らなかった「幻の鉄道」。資金不足で頓挫した新湊軽便鉄道の免許状、業績不振などにより一部区間しか開業できなかった武州鉄道についての文書が展示されていました。
公文書館の活動
この公文書館の業務についての紹介もあります。公文書の保存を目的とした施設ということはわかりましたが、具体的にはどのようなことをしているのでしょうか。
公文書館が受け入れた公文書は、まず最初にカビや虫などの被害を防ぐために薬剤を浸透させる「くん蒸(じょう)」という処置を行います。
続いて分類、作成年月日などを記録した目録の作成。その後は、温度・湿度が管理された書庫にて保存。紫外線を出さない照明や、徹底した防犯、防火、防虫対策がなされています。さらに、経年劣化や損傷した公文書の修復も行っているそう。
一連の作業は、館内に設置されたモニターで映像としても見ることができます。
また、2階の閲覧室では、誰でも公文書を閲覧可能。折り曲げや書き込みなどを行わない限りは複写の申し込みや撮影もできるそうです。さらに国立公文書デジタルアーカイブはPCを使って誰でも収蔵された公文書を閲覧することができます。
初めて知ったのですが、これすごく便利ですね!!!
アクセスと営業情報
東京メトロ東西線の竹橋駅から5分、都営新宿線の九段下駅から徒歩10分ほど。隣りにある国立近代美術館や、道路挟んで向かいの皇居東御苑と合わせての訪問がおすすめです!
開館時間 | 9:15~17:00 |
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休館日 | 日曜、月曜、祝日 ※展示会期間は無休 |
料金 | 無料 |
公式サイト | https://www.archives.go.jp/ |
※掲載の情報は2022年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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